富士登山に行くことを計画していて、そのための服装や持ち物を揃えたいけれど・・・、
- 何をどれだけ持って行けば良いか
- 仕様や機能・性能面でどんな物が適しているか
が分からずにお困りの人もいるのではないでしょうか。
中には、今回の富士登山が初の本格登山で、登山用品を丸々一式揃えねばならないのではと心配している人もいるかもしれません。
登山は登山でも富士登山をするとなると、富士山ならではの固有の事情があります。
そこで今回は、夏、即ち富士山の開山期間中に、一泊二日の山小屋泊の行程で富士登山をすることに特定して、その場合の服装や持ち物について最適な品目および仕様や数量等についてお話しいたします。
目次
富士登山の服装・持ち物リスト
=「何を」「どれだけ」揃えれば良いか
富士登山だからこその固有の事情に添って、「どの様な物をどれだけ揃えれば良いか」、つまり、「適切な品物および過不足の無い機能・性能や数量」を示したチェックリストを作成いたしました。
このチェックリストを、出発時のみならず、持ち物を準備したり買い揃えたりする時にもどうぞご活用下さい。
「なぜ必要か」や「どの様に活用するか」等を含めた詳しい解説は、後述する内容をお読み下さい。
アイテム※1 | 必要性※2 | 仕様・機能・性能,数量,持ち運び方,注意点等 | |
---|---|---|---|
富士登山に必須の服装・装備その1 = 入山時に身に着ける物※3 | ※1 アイテム名をクリック(タップ)するとその説明に移動します。 | ||
1:肌着(上) | ★★★ | 必ず吸汗速乾性の物を。ポリエステル製やメリノウール製がおすすめ、綿製は厳禁。半袖でも長袖でもOK。 | |
2:肌着(下) | ★★★ | 必ず吸汗速乾性の物を。ポリエステル製やメリノウール製がおすすめ、綿製は厳禁。ショートタイプでOK。 | |
3:行動着(上)=長袖シャツ | ★★★ | 必ず速乾性の物を。ボタン式orスライドファスナー式で前開き仕様の長袖シャツ。襟やポケット付きの物がお勧め。 | |
4:サポートタイツ | ★★★ | 必ず速乾性の物を。サポート系のロングタイプの物を。夜、山小屋で寝る時は脱ぐベシ。 | |
5:行動着(下)=長ズボン | ★★★ | 必ず速乾性とストレッチ性がある物を。いわゆるジャージもOK。 | |
6:登山用靴下 | ★★★ | 厚みは厚手の物を、丈は靴の履き口よりも上に来る長さの物を。速乾性も保温性も備えたウール素材の物がお勧め。 | |
7:登山靴(トレッキングシューズ) | ★★★ | ハイカットまたはミドルカットであること。靴底は十分に硬く溝が深いこと、アッパーは防水透湿性があること。サイズは、登山用靴下を履いた足に合わせ、少し余裕があること。 | |
8:サングラス | ★★★ | 紫外線カット率99%以上、UV400以上をクリアする物。夜、山小屋で寝る時に入れるケースも持参のこと。 | |
9:日本手拭 or マイクロファイバータオル or バンダナ | ★★★ | これらをどんな組合せでも良いので2枚程。木綿素材のタオルはNG。それよりも薄い日本手拭いや、乾きやすい素材でできたマイクロファイバータオルがお勧め。 | |
10:帽子 | ★★★ | あご紐付きか、付いていなければ帽子と服の襟とをつなぐ紐も一緒に。キャップでもハットでも、持っている物でOK。 | |
11:腕時計 | ★★★ | 防水仕様でアラーム機能付きがお勧め。 | |
12:登山計画書 | ★★★ | 同行者全員の住所氏名年齢と緊急連絡先と行程と携行品を記載。自身携行用、登山口提出用、非常時用の合計3部。自身携行用は適当な大きさに折りたたみ、ビニール袋に入れた上で、服のポケットに入れて持ち運ぶ。 | |
13:筆記用具 | ★★★ | 書く物は氷点下でも水に濡れた紙にでも書ける黒の油性ボールペン。服のポケットに入れて持ち運ぶ。書かれる物は自身携行用登山計画書の裏。 | |
14:コンパス(方位磁針) | ★★★ | オリエンテーリングでよく使われるベースプレートコンパスを。すぐに使えるように紐で首から下げて持ち運ぶ。 | |
15:手袋※3 | ★★★ | 滑り止め加工された軍手でOK。他に、雨天時に備えてレイングローブも予備として持つ。 | |
16:リュックサック※3 | ★★★ | 容量30L前後、ウェストストラップとコンプレッションストラップ付き、体格に合ったサイズの物。レインカバーも。 | |
富士登山に必須の持ち物・装備その2 = 登山中に必ず使う物 | |||
17:地図 | ★★★ | 紙に印刷され富士山山域の少し外側までが収められたた地図。ガイド本に付属の地図でもOK。磁北線を1km間隔で予め引いておく。スマホの地図アプリは電池が消耗すると使えないのでNG。 | |
18:行動水(及び非常水) | ★★★ | 量は非常水として常時確保しておく500mlも含め出発時に1.5~2L。残りが500mlに近付いてきたら山小屋で購入して補充。入れ物は水筒に移し替えても、ペットボトル入りのままでもOK。ハイドレーションの活用もOK。中味は単なる水でも麦茶でもOK、スポーツ飲料や経口補水液も◎。コーヒー、紅茶、緑茶、アルコール飲料、炭酸飲料はダメ。 | |
19:行動食(及び非常食) | ★★★ | 例としてはチョコレート、キャラメル、ようかん、飴、塩飴、せんべい、あられ、梅や柑橘類が含まれるもの、ドライフルーツ、ゼリー飲料、魚肉ソーセージ、ナッツ類、おにぎり、パン等々。条件はカロリーが高く、調理不要でそのまま食べられ、保存が効き、栄養バランスを補い合え、あなたの好物で、持ち運びやすく、汚れた手でも食べられる形状であること。量は、一泊二日の行動中に食べる二食分と非常食としての一食分の合計三食分。非常食を行動食とは別々にしても一緒にしてもどちらでもOK。 | |
20:100円玉 | ★★★ | 30枚(3,000円分)程度。内訳はトイレ使用料に1,000円程度、飲み物の追加購入に2,000円程度使う見込み。金剛杖に焼き印を押してもらう計画なら、一回200~500円×回数に相当する金額の100円玉が追加で必要。必要な時にすぐに取り出せるように、小銭入れ等に入れた上でリュックサックのポケットに収納。 | |
21:千円札 | ★★★ | 25枚(25,000円分)程度。内訳は山小屋の宿泊代10,000円前後、山小屋での買物や食料品の購入や非常時(もう一泊せざるを得なかったり、病院に直行する場合)の備えに15,000円程度。 | |
22:レインウェア※4 | ★★★ | 耐水圧20,000mm以上、透湿度20,000g/㎡・24hr以上の防水透湿性能を有する3層構造の生地で登山用に作られたセパレートタイプの物を上下とも。ポンチョやコートはNG。内側に防寒着を重ね着することも考慮して、ゆったり目のサイズの物を。フードの後頭部からドローコードが出ていて、パンツの裾が膝まで開き、ジャケットのポケットの位置が高い物を。視認性の良い色の物がお勧め。 | |
23:防寒着 | ★★★ | 前開き仕様のダウンかフリース。比較的重いがウールでも悪くない。被り仕様はNG。防水袋に入れて。 | |
24:サングラスケース(眼鏡ケース) | ★★★ | サングラス(眼鏡)を買った時に付属していたサングラスケース(眼鏡ケース)で良い。 | |
25:ヘッドライト(と予備電池) | ★★★ | 明るさ100ルーメン以上で防水仕様の物を。明るさ(照射距離)を変えられるとなお良い。電池を予め装着した上で、予備電池一式も持つ。 | |
26:ビニール袋(ゴミ袋) | ★★★ | 大1枚、中2~3枚、小1枚程度。穴が開いていないこと。 | |
富士登山に必須の持ち物・装備その3 = 様々な事態に備える持ち物 | |||
27:リュックサックのレインカバー※4 | ★★ | 専用品がリュックサックに付属しているならそれを、付属品が無ければリュックサックの容量に見合った物を。 | |
28:レイングローブ※4 | ★★ | 防水透湿性と滑り止めの機能を持つ物を。 | |
29:スパッツ(ゲイター)※4 | ★★ | 防水透湿素材で作られた物を。ショートタイプで良い。 | |
30:着替え | ★★ | 1:肌着(上)、2:肌着(下)、3:行動着(上)、5:行動着(下)、6:登山用靴下を各一着(一足)のセット。防水袋に入れて。 | |
31:予備靴紐※5 | ★★ | 履く登山靴に使われているのと同程度の長さの靴紐を二本(一足分)。 | |
32:ヘッドライトの予備電池※5 | ★★ | ヘッドライトの仕様に合った本数を防水袋に入れて。 | |
33:布製ガムテープ※5 | ★★ | 1~2m程度を小分けして芯なしで巻き直すか、非常水用ボトルに巻き付ける。色は赤がお勧め。 | |
34:救急絆創膏※5 | ★★ | 5枚ほどを防水袋に入れて。 | |
35:医薬品※5 | ★★ | 日常生活で服用している薬を日数分、他に胃腸薬、痛み止め、筋肉痛等の薬適量を小分けし、防水袋に入れて。 | |
36:サバイバルシート※5 | ★★ | ポテチ袋の様にアルミが蒸着された2.1m×1.3m程度の保温性・防風性・防水性に優れたシート。一人一枚携行。 | |
37:ツェルト※5 | ★★ | ツェルトとは軽量コンパクトに収納できる簡易テント。同行者全員を収容可能なサイズ及び数量を。 | |
38:折り畳み傘 | ★★ | 軽量の物がお勧め。 | |
39:非常水 | ★★ | 500ml程度の単なる水を水筒やペットボトル等に入れて。 | |
40:非常食 | ★★ | 行動食と同様の物をもう一食分。行動食と分けても一緒にしても構わない。 | |
41:携帯トイレ※5 | ★★ | 市販の携帯トイレを1~2セット。 | |
42:トイレットペーパー or ポケットティッシュ※5 | ★★ | トイレットペーパーなら数メートルを芯無しで巻き直し、ポケットティッシュなら1~2包みを。防水袋に入れて。 | |
43:携帯電話 | ★★ | 出発前に満充電にし、登山中は電源OFFに。 | |
44:健康保険証※5 | ★★ | コピー不可。下山後病院に直行する場合に備えて山中に持ち込む。 | |
あれば有用かもしれない物 = ある意味で余計な物 | |||
45:トレッキングポール(ストック) | ○ | 長さ調節できる登山用の物を。持って行くなら十分有効に扱えるように事前に練習すベシ。 | |
46:カメラ | ○ | 携帯電話のカメラ機能を活用するなら出発前に満充電にし機内モードにして予備バッテリーも必携。防水対策も。 | |
47:予備バッテリー | ○ | 街中より山中の方が電池の消耗スピードが早いことを想定した上で十分に大容量の物を。防水対策も。 | |
48:携帯酸素 | △ | 高山病の症状が現れた場合に、一時しのぎとして活用。高山病になってしまったら、選択肢は下山をするのみ。ゆっくり上り酸素が薄い環境に体を順応させることと、小まめに十分に水分を取ることで高山病を予防する。 | |
49:日焼け止め | × | 無用。衣服や帽子や手拭い等で体を覆い、素肌の露出を無くして対応する。 | |
50:ウェットティッシュ | × | 無用。手袋を着用して手を汚さないことや、汚れた手でも食べられる形状の行動食を選ぶことで対応する。 | |
51:アイマスク | × | 無用。手拭いまたはタオルで代用。 | |
52:耳栓 | × | 無用。トイレットペーパーまたはポケットティッシュを丸めて代用。使い終わっても捨てず、別の機会に再利用。 | |
53:マスク | × | 無用。手拭いまたはタオルで代用。 | |
54:使い捨てカイロ | × | 無用。持っている全ての衣類を重ね着し、更にはサバイバルシートを羽織り、それでも寒ければ体を動かして対応。 |
※1 アイテム名をクリック(タップ)するとその説明に移動します。
※2 必要性の欄に示された印の意味は以下の通りです。
★★★:必ず使う物。
★★:使わずに済むこともあるが必ず携行すべき物。
○:無くても構わないがあなたと登山との関わり方に依っては必要な物。
△:心配ならば持って行っても構わない物。
×:むやみに持って行かずに済ませるべき物。
※3 雨が降っていないことが前提です。
※4 雨が降っている場合は、「16:リュックサック」に「27:リュックサックのレインカバー」を被せ、「15:手袋」の代わりに「28:レイングローブ」をはめ、更に「29:スパッツ(ゲイター)」と「22:レインウェア」を身に着けます。
※5 これら10品目を一つの防水袋にまとめて入れて、リュックサックの奥にパッキングします。
富士登山の服装・持ち物を揃える際に考慮すべきこと
登山で使う物を登山用品専門店に買いに行き、店員さんに相談すると、おそらく、次のことを逆質問されるはずです。
- どこの山に行くか。
- いつ行くか。
- どの様な行程か。(日帰りか、山小屋泊か、テント泊か等)
なぜならば、これらが異なると答も異なるからです。
先にも述べた通り、今回は、以下の前提で登山する際の持ち物選びです。
- 富士山
- 夏の開山期間(7月上旬~9月上旬)
- 一泊二日の山小屋泊
同じ登山でも富士登山となると、富士山には富士山ならではの固有の事情があります。
そのため、他の山に登るなら使わなくても、富士山に登るならば使う物もあります。
逆に、一般の登山では使っても、富士登山には適さない持ち物もあります。
富士山の特徴
登山をするという目的で富士山が意味することを挙げると、富士山には以下の様な特徴があります。
言い換えると、登山をするという観点で「富士山とはどんな山か?」という質問の答でもあります。
- 独立峰
- 日本一標高が高い
- 強い風が吹く
- 強い雨が降る
- 紫外線が強い
- 空気が薄い
- 麓と頂上付近とで気温差が大きい
- 水場が無い
- テント設営禁止
- たき火禁止
- 登山道が比較的よく整備されている
- 山小屋やトイレや売店等の施設が多くある
- 登山道のほぼ全域で携帯電話がつながる
登山の持ち物を取捨選択する際の考え方
一般的に、登山に持って行く物を取捨選択する際には以下の考え方に沿って判断します。
そして、この考え方は富士登山にもそのまま当てはまります。
- 安全登山や遭難対策のための荷物は必携。
- 汗で体を過剰に冷やさない。
- 汗や雨で服装や持ち物を濡らさない。
- スピーディーに行動できることを重視する。
- 汎用性の高い物を優先する。
- 機能や性能を維持した上で軽量コンパクトも意識する。
- 余計なパッケージは省き中身だけ持って行く。
これらのことを頭に入れておくと以後の説明がより理解しやすくなると思います。
富士登山に必須の服装・装備その1
=入山時に身に着ける物
雨が降っていないことが前提で、登山口を出発する時に身に着ける物について順番にご説明いたします。
ここで考慮すべきは以下のことです。
- 汗で体を過剰に冷やさない。
- 日焼け予防をする。
- 暑さ寒さのいずれにも対処できるように備える。
なぜならば、山道を歩けば大量の汗をかくことも十分あり得ます。
汗で体を過剰に冷やさないためには、身に着けている衣類に速乾性は必須です。
また、日差しや紫外線が強い環境下ですから日焼け予防も必要です。
そのために、素肌の露出部分をなるべく減らし、衣服などで覆うことで対策します。
また、歩けば暑いけど止まると寒かったりもします。
なので、暑さ寒さのいずれにも対処できる仕様の服を選びます。
これらも考慮した上で、富士登山に最適な服装や持ち物の仕様、機能・性能、素材・材質、注意点、使い方、数量等について以下でご説明いたします。
1:肌着(上)
機能面では、肌着に速乾性は必須です。
なぜならば、肌着に速乾性が無いと、肌着に残っている水分で体が過剰に冷やされて、最悪の場合は命を失いかねないからです。
単に速乾性とは言わず、吸汗速乾性と言うこともありますが、商品がどちらをうたっていてもOKです。
速乾性があるとは、即ち、素材がポリエステル製、あるいはメリノウール製であるという意味です。
逆に、木綿製(綿、コットン)は厳禁です。
なぜならば、速乾性が無いからです。
形状は半袖のTシャツ、または長袖のロングTシャツのどちらでもOKです。
富士登山に適した吸汗速乾インナーに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
モンベル:ジオライン L.W. Tシャツ
男性用
女性用
2:肌着(下)
機能面では、「1:肌着(上)」と同様に、肌着(下)にも速乾性は必須です。
なぜならば、肌着に速乾性が無いと、肌着に残っている水分で体が過剰に冷やされて、最悪の場合は命を失いかねないからです。
単に速乾性とは言わず、吸汗速乾性と言うこともありますが、商品がどちらをうたっていてもOKです。
速乾性があるとは、即ち、素材がポリエステル製、あるいはメリノウール製であるという意味です。
逆に、木綿製(綿、コットン)は厳禁です。
なぜならば、速乾性が無いからです。
形状はトランクスやブリーフやショーツと言ったショートタイプでOKです。
富士登山に適した吸汗速乾インナーに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
ミズノ:ドライベクター エブリ トランクス、ショーツ
男性用
女性用
3:行動着(上)
機能面では、肌着と同様に速乾性は必須です。
そして同様に、素材はポリエステル製、あるいはメリノウール製の物がおすすめで、木綿製(綿、コットン)は厳禁です。
形状は、前開きの長袖シャツがおすすめです。
なぜならば、暑さ寒さに多様に対処できるからです。
例えば、前開きであれば、暑ければ前を全開に、寒ければ前を全閉に、程々ならば部分開放状態にと、自在に対処できます。
ですが、被りのシャツでは、着るか脱ぐかのどちらかしか選択肢がありません。
また、長袖であれば、暑ければ袖をまくり、寒ければ袖を伸ばして対処できます。
ですが、半袖シャツの袖を伸ばすことはできません。
つまり、被りよりも前開きの方が、半袖よりも長袖の方が汎用性が高く様々な状況に広範囲に対応できます。
長袖ならば、腕を日焼けから守ることもできるため、腕に日焼け止めを塗る必要も無くなります。
先に「登山の持ち物を取捨選択する際の考え方」の項でお示しした、「汎用性の高い物を優先する。」という考え方に沿った服装選びの例です。
前開きの部分は、ボタン仕様、またはスライドファスナー仕様のどちらでもOKです。
富士登山用の行動着に適した長袖シャツに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
ミズノ:マジックドライ長袖トレイルシャツ
男性用
女性用
4:サポートタイツ
サポートタイツとは、着用することによって疲労回復が促進されたり下半身の筋力が補われたりするなどの効果が得られる高機能衣類です。
レギンスやスパッツとは似て非なる高機能製品です。
重い荷物を背負って、標高差も大きく長距離の山道を長時間歩く富士登山においては、登山経験が少ない初心者にとっては大いに有効な装備で、脚に来る下りで特に威力を発揮してくれるはずです。
短時間短距離の低山登山では不要かもしれませんが、富士登山ならばこそ必須の装備です。
機能面では、肌着と同様に速乾性は必須です。
コンプレッション系よりもサポート系が、ハーフタイプではなくロングタイプがおすすめです。
夜、山小屋で寝る時は脱ぐことをお勧めします。
サポートタイツに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
CW-X(ワコール):スポーツタイツ ロング丈 スタビライクスモデル
男性用
女性用
5:行動着(下)
機能面では、肌着と同様に速乾性は必須で、また、ストレッチ性がある物がおすすめです。
そして同様に、素材はポリエステル製、あるいはメリノウール製の物がおすすめで、木綿製(綿、コットン)は厳禁です。
形状は、長ズボンがおすすめです。
なので、運動用のジャージでも悪くはないです。
なぜならば、ストレッチ性がある方が脚を楽に大きく動かしやすいからです。
そして、長ズボンの方が岩場で擦ったり転んだ時のケガや日焼け等から脚を保護できるからです。
逆に、サポートタイツ+短パン or スカートの組合せはお勧めいたしません。
なぜならば、頂上付近でご来光を待っている時にこのスタイルでは寒いからです。
サポートタイツを活用すること自体はとても有効です。
ですが、それでもその外側には長ズボンを履くことをお勧めいたします。
富士登山用の行動着に適したズボンに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
ノースフェイス:アルパインライトパンツ
男性用
女性用
6:登山用靴下
登山用靴下は登山靴を選ぶ際の前提になる非常に重要なアイテムです。
なぜならば、登山靴は登山における三種の神器と言われる程必須で重要な装備であり、その登山靴を選ぶに当たっては、登山をするための靴下を履いた足に合った登山靴を選ばねば意味が無いからです。
機能面においては速乾性と共に保温性も必須です。
これらの機能を備えた最適な素材はメリノウール製です。
生地の厚さでは厚手と言われる物を選びます。
サイズ(指先からかかとまでの長さ)は、足にピッタリと合ったサイズの物を選びます。
また、丈(かかとから履き口までの長さ)は、靴の履き口よりも靴下の履き口が上に来る長さの物を選びます。
上の図の様になればOK!
上の図の様ではNG!
富士登山に適した登山用靴下に関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
キャラバン:RLメリノ・アルパイン
男女兼用
7:登山靴(トレッキングシューズ)
登山靴(トレッキングシューズ)は、富士登山で使う装備の中で必須で最重要な装備です。
決して、履き慣れた靴だからと、普段使いのスニーカーや運動靴で富士登山はしないで下さい。
なぜならば、そのような靴は、富士登山という上級レベルの登山においては機能や性能や耐久性などが不十分で使い物にならないからです。
富士登山という使用条件に十分対応できる登山靴(トレッキングシューズ)は決して安くはなく、これだけのためにわざわざ購入するのをためらわれる気持ちはわかります。
ですが、富士登山をするためには、十分な機能や性能や耐久性などを備えた装備で出掛けねばならないことをご理解下さい。
富士登山で使う登山靴(トレッキングシューズ)には、以下の仕様の物を選びます。
- ソール(靴底)が十分に硬い
- ソール(靴底)の溝が深い
- アッパーに防水透湿性がある
- 履き口の高さがミドルカットまたはハイカット
登山靴(トレッキングシューズ)の選び方に関する基本的なことは こちらの記事 をご覧下さい。
サイズは、「6:登山用靴下」でお話しした靴下を履いた足に合わせ、少し余裕のある物をお選び下さい。
登山靴(トレッキングシューズ)において、あなたの足に最適なサイズの選び方に関しては こちらの記事 をご覧下さい。
富士登山に最適な登山靴(トレッキングシューズ)に関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
キャラバン:トレッキングシューズ C1_02S ゴアテックス
男女兼用
8:サングラス
標高が高くなるほど紫外線も強くなります。
夏の富士登山においては、降り注ぐ強烈な紫外線から目を保護するためにサングラスの着用も必須です。
紫外線のみならず、砂埃が目に入るのを防ぐ多少の効果も得られます。
機能・性能面では以下の条件をクリアする物を選んで下さい。
- 紫外線カット率99%以上
- UV400以上
眼鏡を常用している人は、クリップ式の物を眼鏡に後付けするのが便利です。
普段眼鏡をかけない人はこちらの商品がおすすめです。
Glazata:偏光スポーツサングラス
男女兼用
普段眼鏡をかける人はこちらの商品がおすすめです。
Glazata:前掛けクリップ式サングラス
男女兼用
9:日本手拭い、マイクロファイバータオル、バンダナ
日本手拭い、またはマイクロファイバータオル、またはバンダナをどの様な組合せでも構いませんので、合わせて2枚ほど持って行くと重宝します。
首に巻いたり頬被りをして身に着けます。
以下の様な幾つもの用途で活躍してくれます。
- 汗拭き
- 日焼け予防
- 防寒
- 鼻をかむ
- マスクの代わり
暑い時の汗拭きとして、また、服装で覆いきれずにむき出しになっている素肌(首筋や顔面)の日焼け予防として、逆に、寒い時の防寒として、他にも、鼻をかんだり砂埃を吸い込まないようにマスクの代わりとして、様々に活用できます。
濡れると重くて乾きにくいので、木綿素材のタオルはNGです。
化繊素材のマイクロファイバータオル、または薄地の日本手拭いやバンダナがおすすめです。
既にお持ちの物で間に合わせて構いません。
10:帽子
強い日差しからも、多少の雨からも、寒さからも、多用途で頭部を保護するために、夏の富士登山においては帽子の着用も必須です。
ハットでもキャップでも、好みの物で構いませんし、有り合わせの物でも構いません。
ただし、強風で飛ばされないようにあご紐付きの物を着用しましょう。
あるいは、ストラップで服に繋ぎ留めることで、強風で帽子が脱げても飛ばされないように対策しておきましょう。
ストラップに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
服に繋ぎ留めるストラップは、こちらの商品がおすすめです。
ノーブランド品:キャップキーパー
男女兼用
帽子は、こちらの商品がおすすめです。
ノースフェイス:ゴアテックスハット
男女兼用
11:腕時計
計画通りに行動できているかや、最終的に無事下山できるか等の行程管理のために時計は必須の持ち物です。
登山口や登山道の分岐点や○合目の標識や山小屋や頂上等のチェックポイントに、到着した時刻や出発した時刻を適宜メモし、それらの区間の歩行時間がコースタイム(計画時に設定した時間)と比べて速いか遅いか同等かを確認し、順調か、行動を修正する必要があるか等を判断します。
スマホでも時刻を確認できますが、わざわざポケットやリュックサックの中から取り出さなくてもすぐに見られるように、防水仕様の腕時計がおすすめです。
早朝にきちんと目を覚ませるようにアラーム機能付きが便利です。
登山時計ほどの多機能は富士登山では特に必要ありません。
ですが、登山時計にご興味があるならば、 こちらの記事 をご覧下さい。
12:登山計画書
登山計画書とは、実施する登山内容の詳細を書き記した書類です。
登山中に適宜見返すために必携の持ち物である他に、登山届として提出したりもします。
書式が統一されている訳ではありませんが、以下の項目を明記して下さい。
- 日程(入山予定日時および下山予定日時)
- 行程(入山予定登山口、歩行ルート、経由地点、宿泊予定山小屋名、下山予定登山口など)
- 安全対策(計画通りに実施できなかった場合の対策および救助要請先の電話番号)
- パーティー代表者の氏名、性別、年齢、住所、電話番号など
- パーティー同行者全員の氏名、性別、年齢など
- 緊急時の連絡先になってくれる人の氏名、電話番号
- 食料や水の量も含めた持ち物すべてを列挙
例えば、静岡県警察からは この様な書式(PDF形式) が公開されています。
登山計画書を作成し携行することによって以下のメリットが得られます。
- 準備段階で、安全面等に無理や不備や過不足が無いかをシミュレーションし検討できる。
- 実施段階で、順調に進んでいるかを確認でき、そうでなければ対策を考えられる。
- 万が一遭難した場合に、捜索・救助活動を適切に進めるための情報源になる。
単独行、あるいはパーティーのリーダーは3部用意します。
なぜ3部必要かと言うと、自身の携行用と、登山口への提出用と、非常時に万が一救助要請する場合に要請相手に手渡す予備の3部です。
同行者は1部を携行します。
予備は防水袋に入れた上でリュックサックの奥にしまい込んでしまって構いません。
ですが、携行する物は適当な大きさに折りたたみ、先ず、汗や雨で濡れてボロボロにならないようにビニール袋に入れます。
そして、シャツかズボンに付いていて落とさないように口が閉じられるポケットに入れていつでも活用できるようにしておきます。
遭難が疑われる場合に捜索活動に誤りを生じさせないように、登山計画書には極力正確な内容を記載して下さい。
これは例えば、捜索活動において「行動予定がこのルートだからこの範囲のどこかにいるだろう。」と推測した的中確率を高め、迅速に救出するためです。
13:筆記用具
登山中は以下の事柄を把握したり確認したりして、行程管理もせねばなりません。
- 計画通りに実行できているか
- その日の宿泊地の山小屋に時間内に到着できるか
- 下山日ならば下山口に時間内に到着できるか
そのためには、以下のことを適宜記録します。
- 登山口、あるいは山小屋の出発時刻
- 休憩地点
- 休憩地点の到着時刻および出発時刻
- 分岐点や目印になる主要地点の通過時刻(休憩しない場合)
- 途中の登山道の様子
- 山小屋、あるいは下山口の到着時刻
そのために筆記用具が必要で、服のポケットに入れて持ち運びます。
書かれるものは自身が携行する登山計画書の裏や余白でOKです。
計画と実際とを一枚の紙の上で見比べることができます。
書くものは氷点下でも水に濡れた紙にでも書ける黒の油性ボールペンがおすすめです。
具体的にはこちらの商品がおすすめです。
三菱鉛筆:油性ボールペン パワータンク スタンダード 0.7mm 黒
14:コンパス(方位磁針)
コンパス(方位磁針)は、地図と組み合わせて使うことで次の3つの重要な情報を得ることができる、登山をする上で必須の道具です。
- これから進むべき方向がどちらであるか
- 自分が現在いる位置が地図上のどこであるか
- 地図から読み取った間隔が実際にはどのくらいの距離であるか
登山口を出発する前に、先ず、地図とコンパス(方位磁針)を使って、あなたがこれから歩くルートの様子や形状や差し当たって進むべき方向等を確認します。
富士登山で使うのに適したコンパス(方位磁針)は、ベースプレートコンパス、あるいはマップ用コンパスと呼ばれるタイプのコンパス(方位磁針)です。
具体的には、以下の4つのパーツで構成された物が適しています。
- 1:透明な台座(ベースプレート)
- 2:台座に取り付けられた回転させられ、透明なカプセルリング
- 3:カプセルリングの中に組み込まれた北を指す磁針
- 4:台座の端に開いた穴に通された首から吊るすのに適した長さのストラップ
以下の3つの仕様が備わっていることも必須です。
- 5:進むべき方向を示す矢印(進行線)が台座に記されている。
- 6:進むべき方向に自分の向きを合わせたら北がどちら側になるかを示す印(ノースマーク)がカプセルリングに記されている。
- 7:スケール(物差し)の目盛が台座に刻まれている。
富士登山には、上の黄色い下線を引いた7つの要素が全て備わっているコンパス(方位磁針)を持って行って下さい。
更には、台座に縮尺目盛が刻まれていたり拡大レンズが組み込まれているコンパス(方位磁針)ならばより便利かもしれません。
時計をリュックサックの中に収納せず手首に装着するのと同様に、コンパス(方位磁針)も、必要な時にすぐに取り出して使えるように、登山中は紐で首から下げて持ち運びます。
ぶらぶらして邪魔にならないように、使わない時は行動着のシャツの内側か胸ポケットに入れておきます。
台座に通された紐は、地図上の曲線や折れ線の長さを知るために使うこともあります。
登山で使うのに適したコンパス(方位磁針)に関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
YCM:オリエンテーリングコンパス(畜光) TYPE 3
15:手袋
富士登山をする際、雨が降っていない前提で、入山時にはめる手袋としては滑り止め仕様の手袋であれば先ずはOKです。
登山において手袋を着用することによって、以下の不快や苦痛から手を保護する効果が得られます。
- 傷、怪我
- 汚れ
- 日焼け
- 寒さ、冷え
- 雨、濡れ
- 蒸れ
どの様な手袋でも、指先がむき出しになっていなければ、上の1~4の効果は普通に得られます。
その上で、富士登山をする際に考慮すべきことは、岩場の様に手も使って登る場面でも確実に機能することです。
そのために必須の条件が滑り止め仕様であることです。
これだけならば、手のひら側に滑り止め加工が施された軍手でも構いません。
日常でも使う場面が有り得ますから、既にお持ちかもしれません。
ただし、雨に降られた場合は滑り止め加工された軍手では間に合いません。
その場合は、身体にレインウェアを着るのと同様に、手にもレイングローブを着けます。
レイングローブに関しては、後程改めて詳しくご説明いたします。
滑り止め加工された軍手は、こちらの商品がおすすめです。
福徳産業:軍手 滑り止め
16:リュックサック
足元の悪い不整地を長時間歩く富士登山で使う荷物を持ち運ぶカバンとしては、両手を自由に使えてあなたの体にフィットするリュックサックが適しています。
富士登山に適する仕様のリュックサックの選び方は、以下の条件を満たすことがポイントです。
- 容量30リットル程度
- あなたの体格に合ったサイズ(=背面長)
- ウェストストラップ付き
- コンプレッションストラップ付き
- レインカバーも合わせて用意
レインカバーに関しては改めてお話しいたしますが、雨に降られたならば、人間がレインウェアを着るのと同様に、リュックサックにもレインカバーを被せます。
なので、被せるリュックサックの容量に合ったレインカバーも一緒に揃えます。
一泊二日山小屋泊富士登山に適したリュックサックに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
どれも専用のレインカバーが付属している物ばかりです。
富士登山に適したリュックサックとしては、こちらの商品がおすすめです。
ミレー:サース フェー 30+5(男性用)、サース フェー 30+5 LD(女性用)
男性用
女性用
富士登山に必須の持ち物・装備その2
=登山中に必ず使う物
これまでは、入山時に身に着ける物、つまり、登山口を出発する時点で必ず使う物についてお話ししてきました。
ここからは、登山中に、つまり、出発した後で必ず使う物についてお話しいたします。
17:地図
富士登山に限らず登山をする時は、歩こうとしている山域の少し外側までが収められた地図を、先にお話ししたコンパス(方位磁針)と一緒に携行せねばなりません。
なぜならば、登山中は全行程の中のどこに居るかを把握したり、道に迷いそうになった時に進むべきルートを判定したりして、無事に目的地までたどり着かねばならないからです。
紙、あるいは水に濡れても破れにくい合成紙に印刷された地図を持って行って下さい。
スマホの地図アプリで代用することはお止め下さい。
なぜならば、山中ではスマホの電池が下界よりもはるかに速いスピードで減って行くため、いざという時に使い物にならなくなってしまうからです。
また、転ぶなどして万が一破損した場合も、スマホでは使い物にならなくなってしまいますが、紙に印刷された地図ならば、多少破れても十分使い物になるからです。
そして、コンパス(方位磁針)とセットで使うため、地図に磁北線を1km間隔で予め引いておく必要があります。
富士登山に行くならば、こちらのガイド地図がおすすめです。
昭文社:山と高原地図 32 富士山 御坂山地・愛鷹山
18:行動水(及び非常水)
行動中に必要な水の量
一泊二日山小屋泊での富士登山で合計10時間程度行動する想定で、行動中に必要な飲み水の量は合計で最低4リットル程度です。
なぜならば、登山で必要な飲み水の量の目安(下限値)は、次の計算式で算出できます。
(自分の体重[kg]+荷物の重量[kg]) × 行動時間[時間] × 5[ml]
鹿屋体育大学 山本正嘉教授の研究結果 より。
ですから、例えば自分の体重と荷物の重量の合計が70kg、行動時間が10時間の場合は最低で3500mlの飲み水を要する計算になります。
更に、予定よりも行動時間が長くなってしまった場合や、飲む以外に、ケガをして傷口を洗う等で水が必要になることもありますので、非常水として単なる水を500ml程度常に余分にキープしておかねばなりません。
これらを合計して、最低4リットル程度必要だということです。
行動中に持ち運ぶ水の量
登山中に必要な水の全量を持って登山口を出発することはお勧めいたしません。
なぜならば、水や飲み物は途中にある山小屋で購入できるからです。
そして、持ち運ぶ水の量を減らせば荷物が軽くなるため、上の計算式にも示される様に、余計な飲み水の量も減らすことができるからです。
また、荷物が軽くなれば、体力の消耗を抑えることもできますし、いざという時に速く歩くことも可能になるからです。
水を余分に持ち運ぶが故に荷物の重量が増え、必要な飲み水の量が増えてしまっては本末転倒です。
なので、出発時は1.5~2リットル程度を持ち、残り500mlに近付いてきたら途中の山小屋で買い足すことをお勧めいたします。
つまり、富士登山中は常に500ml以上の水をキープして持ち運ばねばならないということです。
無事に下山したら、このキープしておいた水を帰りの道中で喉を潤すために飲んでも構いません。
持ち運ぶ水を補充する時の注意事項
ただ、山小屋で水や飲み物を買うと下界よりもはるかに高く、標高が上がれば更に値段も高くなるので、その心の準備はしておいて下さい。
500mlのペットボトル入り飲料が500円くらいするかもしれません。
ですが、水よりもお金の方が軽くてかさ張りません。
安全や快適を買うと考えて下さい。
あなたが持っている飲み物の残りの量と、目的地に着くまでに必要になるであろう量と、登山ルート上でこの先どこに山小屋があるかを考慮して、途中の山小屋で適宜購入して下さい。
登山をする際の水や飲み物の種類の適否
非常水として500ml程度確保しておく分は単なる水が最適です。
飲み水としては、単なる水でも構いませんし、麦茶でも構いません。
スポーツ飲料や経口補水液は体内に吸収されやすい上に水分と一緒に糖分や塩分も摂取できるため好都合かもしれません。
コーヒーや紅茶や緑茶のようにカフェインが多く含まれている飲み物やアルコール飲料は利尿作用があり、体から水分が失われてしまうため登山中の飲み物には適しません。
炭酸飲料も、炭酸によって胃が膨れ不快感を引き起こしかねないので、これも登山中の飲み物には適しません。
水分を摂取する頻度と量
登山中に水を飲むタイミングや一回当たりに飲む適量は、30分に一回100~200ml程度が目安です。
例えばサッカーの試合中でも、暑い時季は前・後半の30分頃に飲水時間が設けられたりもします。
また、マラソンでもこれに近い間隔で給水所が設けられたりします。
なので、登山においても30分間隔で水を飲むのは一つの正解と言えると思います。
ですが、登山で疲れにくい歩行時間と休憩を取るタイミングは、30分よりも長く、50~100分歩いて10分程度休憩を取るのが望ましいと言われます。
その一方で、喉の渇きを感じてから水を飲んでいては遅いとも言われる様に、効果的に水分摂取するには、30分よりも短く、5分おきに一口という説もあります。
脱水症状や熱中症や高山病の予防のためにも小まめな水分摂取は有効です。
頻繁に休憩を取らず、しかし水分を小まめに取る方法として、次でお話しするハイドレーションシステムの活用があります。
ハイドレーションシステムを活用して水分摂取
登山におけるハイドレーションシステム(略してハイドレーション)とは、リュックサックの中に入れた飲水ボトルから口元近くまで管を引き、リュックサックを下ろすことも飲水ボトルを取り出すこともせずに、手軽に水分摂取することを可能にする方法および器具一式のことを言います。
ハイドレーションを活用することの利点は、先にもお話しした通り、
- リュックサックをわざわざ下ろすことなく
- 飲水ボトルをわざわざ取り出すことなく
- 歩きながらでも
楽に素早く水分摂取できることです。
ハイドレーションの欠点は、
- ボトルの中味が見づらい
- 飲んだ量や残量が分かりにくい
- 荷物が既に入っているリュックサックにハイドレーションボトルを後からでは入れづらい
- 器具の洗浄や乾燥などのメンテナンスに手間や時間がかかる
ことが挙げられます。
ですが、水分摂取が休憩のタイミングだけに限られてしまうよりは、ハイドレーションを活用して水分を小まめに取った方が有効で有利です。
ハイドレーションの活用には一長一短ありますが、検討してみるだけの価値はあると思います。
ハイドレーションに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
19:行動食(及び非常食)
行動食とは、休憩などで立ち止まった時に素早く、あるいは歩きながらでも簡単に食べることができる食べ物や行為のことです。
目的やスケジュールにもよりますが、登山では、まとまった時間を取って昼食を食べるということはあまりせず、小まめに行動食をとりつつ歩きます。
その理由および目的は、
- エネルギー不足で動けなくなることを避ける
- 長時間休むことで冷えてしまた体を再び活動モードに戻すための余分な時間を省く
ためです。
行動食には、カロリーが高くエネルギーに変わりやすい糖分や、汗と一緒に失われてしまう塩分や、エネルギーの代謝を促進するビタミンBやクエン酸や、筋肉の元になるタンパク質等が含まれる食べ物が適します。
具体的な食べ物の例としては以下の物が挙げられます。
- チョコレート
- キャラメル
- ようかん
- 飴
- 塩飴
- せんべい、あられ
- 梅や柑橘類が含まれるもの
- ドライフルーツ
- ゼリー飲料
- 魚肉ソーセージ
- ナッツ類
- おにぎり
- パン 等々
行動食を選定する際は、以下の点を考慮して下さい。
- カロリーが高い
- 調理不要でそのまま食べられる
- 保存が効く
- 栄養バランスを補い合える
- あなたの好物
- 持ち運びやすい
- 汚れた手でも食べられる形状
持って行く量は、一泊二日の行動中にあなたが食べるであろう二食分に加えてもう一食分多めに、つまり三食分持って行きます。
この、多めに持って行く一食分は非常時に備えての非常食で、何事も無ければ下山時に一食分が残っている計算になります。
この残った食料は、帰りの道中のおやつとして食べても構いません。
20:100円玉
トイレを使用する時も、山小屋で飲み物や食べ物を買う時も、100円玉が必要になります。
100円玉を30枚(3,000円分)程度用意しておいて下さい。
公衆トイレや山小屋のトイレを使わせてもらう場合、利用するトイレにもよりますが、一回当たり100~300円が必要です。
二日合計で3~5回程度トイレに行くことになると思いますので、1,000円程度必要です。
飲み物が残り少なくなって買い足すならば、標高が高くなると値段も高くなり、500ml一本で400~500円することもあります。
残りの行程で飲む量を計算して四本買うとすると、2,000円ほど必要になるかもしれません。
トイレの使用と飲み物の追加購入で掛かる費用を合計して、100円玉を30枚程度用意しておくのが無難です。
これは各自の自由ですが、金剛杖を買い、途中の山小屋で焼き印を押してもらいながら富士登山をするのも楽しい思い出になって良いかもしれません。
金剛杖に焼き印を押してもらうならば、押してもらう焼き印の数に見合う金額の出費が追加で生じます。
お釣りが発生しないように払うと親切なので、100円玉が追加で何枚も必要になります。
金剛杖に焼き印を押してもらうには一回200~500円が必要です。
途中にある全ての山小屋で焼き印を押してもらうならば、更に何千円分かの100円玉が必要です。
21:千円札
一泊二食付きの山小屋の宿泊代は一万円前後で、お釣りをもらわなくて済む様に千円札で用意しておくのが親切です。
宿泊代以外に千円札15枚(一万五千円)程度を、山小屋での買物や食料品の購入や、予定外で山小屋にもう一泊せざるを得ない等の事態に備えて用意しておくのが無難です。
22:レインウェア
レインウェアは、名前からは雨具を連想することでしょうが、「登山においてレインウェアは雨具にもなる防風防寒着である」という認識をお持ち下さい。
つまり、雨が降っていなくてもレインウェアを活用する場面があるということです。
例えば、風が強い時には、ウインドブレーカー代わりにレインウェアを着ます。
ウインドブレーカーで雨をしのぐことはできませんが、レインウェアで風をしのぐことはできます。
登山においては汎用性の高い物を複数の用途で使い回し、持ち物をなるべく減らすように努めます。
風をしのぐ場面ではウインドブレーカーを、雨をしのぐ場面ではレインウェアをと、二つも持って行くのではなく、兼用あるいは代用できるならば汎用性が高い方だけを一つ持って行くことで対処します。
また、例えば、夜明け前に頂上付近でご来光を待っている時の気温はおそらく5℃程度で、真冬の寒さです。
その時は、持っている衣類を重ね着することで寒さをしのぎます。
防寒のために重ね着する衣類のうちの一つとしてレインウェアも活用します。
もちろん、雨に降られた時にもレインウェアを着ます。
富士登山に適する仕様のレインウェアの選び方は、以下の条件を満たすことがポイントです。
- 上下セパレートタイプを上下とも
- 耐水圧が20,000mm以上
- 透湿度が20,000g/㎡・24hr以上
- 生地が3層構造
- フードの後頭部からドローコードが出ている
- パンツの裾が膝まで開く
- ジャケットのポケットの位置が高い
- 少しゆったり目のサイズ
- 視認性の良い色
富士登山に適したレインウェアに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
富士登山に適したレインウェア(上)は、こちらの商品がおすすめです。
ノースフェイス:マウンテンレインテックスジャケット
男性用
女性用
富士登山に適したレインウェア(下)は、こちらの商品がおすすめです。
ノースフェイス:クライムライトジップパンツ
男性用
女性用
23:防寒着
標高が高い富士山では夏でも気温が低いため、防寒対策も必須です。
日の出前に頂上付近でご来光を待っている時には気温が0℃近くまで下がることを想定して、それに耐えられるだけの保温性能がある防寒着をご持参下さい。
軽くて暖かくてかさ張らないダウンやフリースがおすすめです。
前開き仕様であることが必須条件です。
理由は、前開き部分の開閉度合いによって保温度合いを多段階に調節できるからです。
ウールのセーターでも悪くはありませんが、比較的重くてかさ張ることと、被りだと前を適切に開ける着方ができないことが難点です。
既にお持ちの物があれば、おそらく、それでも十分に間に合うと思います。
これを機に新調するならば、こちらの商品がおすすめです。
コロンビア:バックアイスプリングスジャケット
男性用
女性用
24:サングラスケース(眼鏡ケース)
山小屋で寝る時はサングラス(あるいは眼鏡)を外すはずです。
外したサングラス(眼鏡)は、ケースに入れてリュックサックの中に収納しておくことをお勧めします。
そのために、買った時に付属していたサングラスケース(眼鏡ケース)も持って行って下さい。
25:ヘッドライト(と予備電池)
富士登山では、荷物を持ち運ぶカバンを手に持たずにリュックサックを活用するのと同様に、暗闇を照らすライトも手に持たず、顔の動きに追従して視線の先を照らしてくれるヘッドライトを活用します。
夜間に行動する計画でなくてもヘッドライトは必携です。
なぜならば、昼間のうちに行動を完結させられない不測の事態(体調不良や登山道の渋滞等)に備えるためです。
また、山小屋で夜間の消灯後や夜明けよりも前に必要になる場面もあり得るからです。
以下の条件を満たす物がおすすめです。
- 防水仕様
- 明るさは100ルーメン以上
いつでもすぐに使えるように、電池を装着した上で、リュックサックのポケットに収納しておきます。
また、予備電池も、規格が合った物を一式用意します。
ヘッドライトのおすすめは こちらの記事 をご覧下さい。
こちらの商品がおすすめです。
GENTOS(ジェントス):LED ヘッドライト VA-05D 単4電池式
26:ビニール袋(ゴミ袋)
登山中に発生したゴミ(食べ物が入っていた空容器や包み紙等)は全て家まで持ち帰るのが登山の基本です。
ゴミの他にも、汚れた物や濡れた物を入れたり、何か複数の物を一まとめにしておきたい時に備えて、ビニール袋大1枚、中2~3枚、小1枚程度を、穴が開いていないことを確認した上で持って行って下さい。
ついでに申し上げると、濡れると困る物(衣類や紙類や携帯電話等)は、ビニール袋やジップロックの様な水を通さず口を封じられる袋に予め入れてからリュックサックにパッキングして下さい。
ジップロックがご入用ならば、こちらの商品はいかがでしょうか?
富士登山に必須の持ち物・装備その3
=様々な事態に備える持ち物
これまでにお話しした物は、全て、必ず使う物です。
一方、これからお話しする物は、どれも、場合によっては使わずに済むかもしれない物ばかりです。
ですが、どれも、必ず持って行かねばなりません。
なぜならば、富士登山では、先に示した「安全登山や遭難対策のための荷物は必携」という考え方に従った持ち物選びをせねばならないからです。
順調に事が進まない時でも対応できるように、また、万が一遭難してしまっても救助されるまで持ちこたえられるように、全てを必ず持って行って下さい。
たとえ結果論として必要無かったとしても、それは、ただ単に運が良かっただけです。
どれとは言えませんが、使うことになる物が一つや二つ出て来るはずです。
27:リュックサックのレインカバー
雨に降られたら、人間がレインウェアを着るのと同様に、リュックサックにもレインカバーを被せます。
なぜならば、リュックサックは完全防水ではないからです。
レインカバーを被せても依然として完全防水にはなりませんが、被せないよりは被せた方が防水性能は上がります。
濡れると困る物(衣類や紙類や携帯電話等)は、予めビニール袋やジップロックの様な水を通さない袋に入れてからリュックサックにパッキングして下さい。
雨が降っていない時にリュックサックではない何かをレインカバーで包むという使い方をしても構いません。
専用のレインカバーがリュックサックに付属しているなら、それでOKです。
付属品が無いならば、リュックサックの容量に見合ったレインカバーを別途用意して下さい。
こちらの商品がおすすめです。
ノースフェイス:スタンダードレインカバー30L(NM92357)
28:レイングローブ
雨に降られた時はレインウェアを着るのと同様に、手にもレイングローブを着けて濡らさないように保護することが大切です。
なぜならば、標高が高い富士山は気温が低いため、手が濡れて冷えると満足に動かせなくなり危険だからです。
求められる機能としては、防水性と共に透湿性も必要です。
また、「15:手袋」で触れた通り、滑り止め仕様である必要もあります。
レイングローブは手袋の予備という役割も兼ねています。
また、手袋一重だけでは保温性が足りない時は、手袋の外側にレイングローブを “重ね着” するという使い方もできます。
こちらの商品がおすすめです。
イスカ(ISUKA):ウェザーテック レイングローブ
29:スパッツ(ゲイター)
富士登山においてスパッツ(ゲイター)の使い途は以下の3つです。
- 登山靴の中に雨水が侵入することを防ぐ
- 登山靴の中に小石が侵入することを防ぐ
- 足元の防寒
強い風雨の中を歩かざるを得ない時に、靴の履き口から内部に雨水を侵入させないためには、スパッツ(ゲイター)の活用が有効です。
また、須走ルートや御殿場ルートを下山道に選ぶと、火山性砂利から成る砂場のような「砂走」あるいは「大砂走り」と呼ばれる所を、足が砂の中に半分埋もれながら延々と下ることになります。
こんな場面では、靴の中に小石が入らないように、スパッツ(ゲイター)の活用が有効です。
他にも、日の出前に頂上付近でご来光を待っている時、足元が寒かったり冷えたりするならば、レッグウォーマー代わりに使っても構いません。
スパッツ(ゲイター)は雨具としての役割がありますから、防水透湿性がある物を選んで下さい。
こちらの商品がおすすめです。
イスカ(ISUKA):ウェザーテック ライトスパッツ
30:着替え
登山中は、たとえ大汗をかいたとしても、基本的には着替えません。
着替えずに済ませられる対策という意味もあり、速乾性の衣類を着るのです。
ですが、汗や雨でずぶ濡れになり寒くて耐えられない時や、ひどく汚れていたり汗臭かったりで山小屋内をそのままの服装で過ごすのが適さない場合の予備として、着替え一式を防水袋に入れて持って行きます。
着替え一式とは、「富士登山に必須の服装・装備その1 入山時に身に着ける物」でお示しした以下の物を各一着(一足)です。
- 1:肌着(上)
- 2:肌着(下)
- 3:行動着(上)
- 5:行動着(下)
- 6:登山用靴下
防寒着もレインウェアも全て重ね着しても依然として寒い時は、重ね着する一つにこの着替えを追加しても構いません。
下山したら、この着替えに着替えてから帰路についても構いません。
31:予備靴紐
丈夫なはずの登山靴用の靴紐でも、本当に切れることもあります。
その際、結んで使うという手もありますが、短かかったり、結び目が邪魔だったりして使いづらいです。
なので、靴紐の予備も必ず持ちます。
履く登山靴に使われているのと同程度の長さの靴紐を二本(一足分)、予備として持って行きます。
名前は靴紐ですが、靴ではない他の何かを縛ったり締めたり吊るしたりするために使っても構いません。
こちらの商品がおすすめです。
32:ヘッドライトの予備電池
富士登山では、以下の様な不測の事態に備えて、ヘッドライトの予備電池も必ず持って行って下さい。
- 想定以上に長時間ヘッドライトを使わざるを得なくなった
- 夜明け前に頂上を目指す人たちの渋滞に巻き込まれてしまった
- 体調不良で日没前に下山できず暗い中を長時間歩くことになってしまった
- 使っていない時に誤ってスイッチが入ってしまっていた
ヘッドライトの仕様に合った本数を防水袋に入れて持って行きます。
33:布製ガムテープ
布製ガムテープは以下の場面で必要になるかもしれません。
- ウェア類やリュックサックや防水袋等が破損してしまった時に補修する
- 捻挫や骨折をしてしまった時に負傷部位を固定する
- マメや傷口を覆う大きめの絆創膏を自作する
- 何かに目印として貼り付ける
使う場面は意外に多いかもしれません。
ハサミやナイフを持っていなくても手で切ることができ、粘着力が強い布製のガムテープがおすすめです。
色は、できれば赤がおすすめです。
理由は、目印として使う時に目につきやすいからです。
丸々一巻ではなく、1~2m程度を小分けして持って行きます。
端を5mm程度折り曲げて芯にして巻き直しても良いですし、後でお話しする非常水を入れたボトルに巻き付けて持って行くこともありです。
こちらの商品がおすすめです。
ニチバン:布テープ 50mm×25m巻 102N1-50 赤
34:救急絆創膏
ちょっとした擦り傷、切り傷、靴擦れ、マメ等の応急手当に救急絆創膏が役に立ちます。
小分けして、5枚ほどを防水袋に入れて持って行きます。
ご家庭の救急箱に既にある物で構いません。
無ければ、こちらの商品はいかがでしょうか。
ニチバン:救急絆創膏 ケアリーヴ Mサイズ
35:医薬品
日常生活で薬を服用されている方は、富士登山にもその薬を日数分持って行きます。
他にも、胃腸薬、痛み止め、筋肉痛の薬等が役に立つこともあるかもしれません。
適量を小分けし、防水袋に入れて持って行きます。
36:サバイバルシート
サバイバルシートとは、ポテチの袋の様に、ポリエステルなどにアルミが蒸着された、身体を包めるくらいの大きさの極薄のシートです。
サバイバルシートと言うよりも、緊急シート、エマージェンシーシート、エマージェンシーブランケット、ビバークシート、レスキューシート、ヒートシート、断熱シート、保温シート、防寒シート、アルミシート、アルミブランケット等の別名で呼んだ方がわかりやすいかもしれません。
サバイバルシートは保温性、防風性、防水性に優れ、寒さから身を守るのに役立ちます。
サバイバルシートは、以下の様な場面で、ブランケット代わりとして羽織ったり体を包んだり下に敷いたりして活用します。
- 山小屋で借りる布団のシーツ代わり
- 山小屋の布団だけでは寒い時
- 持って来た衣類を全て着込んでも寒い時
- 計画通りに行動できず、やむを得ず野宿(ビバーク)する時
- 遭難時
- 休憩時のレジャーシート代わり
- 登山中以外で災害時にも
サバイバルシートは元々は遭難対策としての持ち物ですが、遭難とは関係ない時に積極的に活用しても構いません。
こちらの商品がおすすめです。
Eco Ride World:サバイバルシート
37:ツェルト
ツェルトとは、軽量コンパクトに収納できる簡易テントです。
体調や天候の悪化により計画通りに行動できず、やむを得ず野宿(ビバーク)する時等に、寒さや風や雨等をしのぐシェルター代わりに使います。
同行者全員を収容可能なサイズ及び数を持って行って下さい。
1~2人用はこちら。
アライテント:スーパーライト・ツェルト1
2~3人用はこちら
アライテント:スーパーライト・ツェルト2 ロング
38:折り畳み傘
登山で使う雨具の選択肢の一番はレインウェアですが、以下の条件が全て揃っている場合は、傘を使うという選択もありです。
- 片手が傘でふさがっても登山道を無難に通過できる程に登山道が通りやすい。
(岩場の様な手も使わないと通過できない所ではない。) - 雨や風がさほど強くない。
- レインウェアを着ると暑くなり、大量にかく汗で結局濡れてしまう。
以下の様な使い方をしても構いません。
- 日差しが強い場合に日傘代わり
- 雨が降る中で休憩をする時に雨をしのぐ
- やむを得ず屋外で用を足す時の目隠し
- ツェルト内で傘を広げて空間を確保する
- 骨折してしまった時の添え木代わり
折りたたみ式で、軽量の物がおすすめです。
新調しなくても、今持っている物で構いません。
新調するならばこちらの商品がおすすめです。
モンベル:折りたたみ傘
39:非常水
富士登山では、計画通りに行動できずやむを得ず野宿(ビバーク)する場合に備えて、一定量の飲み水を予備として常に携行せねばなりません。
「18:行動水(及び非常水)」の項でもお話しした通り、順調に下山できたら非常水として単なる水500ml程度が残っているように、行動水が残り少なくなってきたら、山小屋で適宜買い足して下さい。
無事に下山したら、帰り道で喉を潤すために飲んでも構いません。
40:非常食
富士登山では、計画通りに行動できずやむを得ず野宿(ビバーク)する場合に備えて、一定量の食べ物を予備として常に携行せねばなりません。
「19:行動食(及び非常食)」の項でもお話しした通り、順調に下山できたら非常食として一食分程度が残っているように、行動食が残り少なくなってきたら、山小屋で適宜買い足して下さい。
非常食も行動食と同様の点を考慮して揃えて下さい。
非常食の品揃えは、行動食と同じでも異なっても構いません。
また、非常食の扱いは、行動食とは別にしてリュックサックの中に詰めても、一まとめにしても扱っても構いません。
いずれにしても、一食分を余分に持って行って下さい。
無事に下山したら、帰り道でおやつ代わりに食べても構いません。
41:携帯トイレ
人間が生きて行く以上、飲食もしますし排泄もします。
近くに公衆トイレや山小屋が無い所でどうしても我慢できない場合、登山ではごみを全て持ち帰るという基本に従い、排泄物も持ち帰ります。
その時にこの携帯トイレを使用します。
計画通りに行動できずやむを得ず野宿(ビバーク)する場合にもこの携帯トイレを使用します。
こちらの商品がおすすめです。
トパック:片手で秒速トイレ
42:トイレットペーパー または ポケットティッシュ
富士登山中に近くに公衆トイレや山小屋が無い所でどうしても我慢できない場合や、計画通りに行動できずやむを得ず野宿(ビバーク)する場合に、先に述べた携帯トイレを使用するのに合わせて、このトイレットペーパーまたはポケットティッシュを使用する場面が生じます。
トイレットペーパーならば、数メートルを小分けして芯無しで巻き直し、ジップロック等の防水袋に入れて持って行きます。
ポケットティッシュならば、1~2包みほどをジップロック等の防水袋に入れて持って行きます。
ちなみに、登山道にある公衆トイレや山小屋のトイレを使わせてもらうならば、トイレットペーパーが既に用意されています。
中には、備え付けのトイレットペーパー以外の使用を禁止しているところさえあります。
なので、非常事態に陥らない限りはほとんど必要無いかもしれません。
43:携帯電話
ケガや病気でどうしても動けなくなった場合に救助要請するために携帯電話を持って行きます。
富士山は、独立峰だということもあり、登山道のほぼ全域で携帯電話がつながります。
ただし、電波状態が万全とは限りません。
街中に比べると電池の減るスピードがはるかに速いです。
出発前に満充電にしておいて下さい。
非常時にこそ使えるように電池を温存するために、登山中は基本的に電源をOFFにして、通話の必要が生じた時だけ電源を入れます。
デジカメと兼用で、あるいは他のアプリも使う目的で携帯電話(スマホ)を持って行くとしても、使わない時は電源をOFFにするか機内モード(電波OFFモード)にし、予備電源も必ず持って行って下さい。
どうしても動けなくなった場合は、110番または119番または以下の連絡先に救助要請の電話をかけて下さい。
そのために、登山計画書作成時に、以下の連絡先の電話番号も書き添えておいて下さい。
【富士登山 救助要請先電話番号表】
利用ルート | 電話番号 | 連絡先 |
---|---|---|
全ルート共通 | ||
110番 | 警察 | |
119番 | 消防 | |
吉田ルート | ||
0555-22-0110 | 山梨県警富士吉田警察署 | |
0555-22-0119 | 富士五湖広域行政事務組合富士五湖消防本部 | |
090-5190-0167 | 山梨県富士山五合目総合管理センター | |
須走ルート、 御殿場ルート | ||
0550-84-0110 | 静岡県警御殿場警察署 | |
0550-83-0119 | 御殿場市・小山町広域行政組合 消防本部・本署 | |
富士宮ルート | ||
0544-23-0110 | 静岡県警察富士宮警察署 | |
0544-22-1198 | 富士宮市消防本部 | |
090-2182-2239 | 富士宮警察署富士山富士宮口臨時警備派出所 |
44:健康保険証
実は、富士登山中に健康保険証を使う場面はほとんど全くありません。
救護所で診てもらう場合でも、健康保険証は必要ありません。
救助要請をして病院に運び込まれたり、自力で下山した場合でも病院に直行する場合に初めて必要が生じます。
健康保険証を携行していなければ、一時的にせよ、治療費を現金で全額払わねばなりません。
健康保険証を携行していれば、自己負担割合分の支払いで済みます。
コピー不可です。
登山中に使わない他の荷物と一緒に駅や登山口にあるコインロッカーに入れてしまったら、コインロッカーに寄る暇が無い場合もあり得ますから、山中に必ず持ち込んで下さい。
あれば有用かもしれない物
=ある意味で余計な物
富士登山に持って行く物を選定するに当たって、「安全登山や遭難対策のための荷物は必携」です。
従って、これまでにお話しした物は、結果として使わずに済むことも有り得ますが、必携の持ち物ばかりです。
一方、この項でお話しする物は、あなたの登山の楽しみ方に依っては必需品かもしれませんし、使う時間は限られるものの役に立つ場面が高確率で訪れる物かもしれません。
ですが、富士登山に持って行く物を選定するに当たって、「余計なものをむやみに持たずに軽量化に努める」ことも重要です。
ここでお話しする物に関しては、絶対に必要かどうかを改めて真剣に考えて下さい。
道中を安全に歩き無事に下山するという目的で考えるならば余計な物とも言えます。
これまでにお話しした物で代用するなどして、無しで済ませることが可能ならば、持って行かないことをお勧めします。
45:トレッキングポール(ストック)
富士登山でトレッキングポールを使うことを私は決して否定はしません。
ですが、結論を先に言うと、トレッキングポールは持って行かず、サポートタイツを着用して行くことを私はお勧めします。
なぜならば、いつでも自由に使えるように両手を空けておくのが登山の基本だからです。
私とは逆に、トレッキングポールを積極的に使うことを推奨する意見もあります。
実際、富士登山をする際にトレッキングポールを使わねばならない訳でもありませんし、使ってはいけないという規則もありません。
トレッキングポールを使うことで以下の利点が得られます。
- 体勢を保つ支えになる。
- 上りで推進力の補助になる。
- 下りで膝や脚にかかる衝撃や負担を軽減する。
つまり、トレッキングポールは自分の身体能力だけでは足りない部分を補うことができる有用な道具の一つだということです。
一方で、体力面等で十分に準備をしないまま安易に富士登山に挑戦すべきではないという意見もあります。
ですが、自分の身体能力だけでは足りない部分を道具で補うことは一つの正解です。
ただし、トレッキングポールは簡単に使いこなせる道具ではなく、十分有効に扱えるようになるには練習が必要です。
実際のところ、富士登山でトレッキングポールを使う人も使わない人も、どちらも沢山います。
使うことも使わないことも、最終的には、あなたの自由です。
自分の身体能力だけでは足りない部分を補う道具として何を使うかの私のおすすめは、サポートタイツは着用すベシ、しかし、トレッキングポールは置いて行くベシです。
トレッキングポールを持って行くならば、持ち運んだり管理したりするべき余計な荷物が一つ増えることを承知の上で持って行って下さい。
そして、限られた区間ではありますが、富士山の登山道の中には、岩場を通過する場合の様に、両手も使って上り下りする必要に迫られる所があります。
この様な場面でトレッキングポールを両手に持ったままではむしろ危険で、邪魔なお荷物と化してしまうことを覚えておいて下さい。
トレッキングポールに関して興味がある方は こちらの記事 をご覧下さい。
トレッキングポールを持って行くならば、こちらの商品がおすすめです。
DABADA(ダバダ):トレッキングポール アルミ製
46:カメラ
道中を安全に歩き無事に下山するためだけならば、カメラは無くても済みます。
ですが、せっかくの富士登山ですから、頂上で記念撮影したり気に入った景色を写真に撮るのもありです。
写真を趣味や職業にしている人なら、カメラを持ち物から外すことはあり得ないでしょう。
カメラを持って行くならば、防水対策をしっかりして下さい。
携帯電話やスマホのカメラ機能を使うなら、使わない時は電源を切り電池の消耗を防ぐとともに、予備バッテリーも持って行って下さい。
47:予備バッテリー
ケガや体調不良等でどうしても動けなくなり救助要請する場合こそ携帯電話の出番です。
携帯電話は非常時の命綱みたいなものです。
富士登山中に携帯電話(スマホ)の電源をうっかり切り忘れたままにしておくと、街中よりも電池の消耗スピードが速いです。
できるならば、携帯電話(スマホ)は富士登山中は非常時に通話する時のみ電源を入れそれ以外では他のアプリも含めて使わない前提で再考して下さい。
例えば、スマホの地図アプリを使うことを考えているとしても、富士登山では紙に印刷された地図も必ず持って行かねばなりません。
紙に印刷された地図だけを使い、スマホの地図アプリを使わずに済ませることを検討して下さい。
携帯電話(スマホ)を、通話以外に他のアプリも使う予定で持って行くならば、それも計算に入れて電池が尽きないだけの十分に大容量の予備バッテリーを持って行って下さい。
出発前に満充電状態にしておいて下さい。
ジップロックの様な防水袋に入れて、濡らさないように対策して下さい。
48:携帯酸素
携帯酸素は高山病になってしまった時に役に立つかもしれません。
ですが、役に立ったとしても、せいぜい一時しのぎです。
高山病になってしまったら富士登山を続けることはそこで断念して下山して下さい。
携帯酸素を吸って多少なりとも元気になり動けるようになったら、とにかく標高の低い所へ移動する、つまり下山するに限ります。
なぜならば、標高が高い所に行く程、空気が薄くなり、従って酸素濃度も低くなり、高山病の症状が悪化するからです。
酸素濃度が低いために酸欠状態になり、高山病になっているのです。
なので、対処方法は、酸素濃度が高い所、つまり標高が低い所へ行くしかありません。
携帯酸素は、高山病になってしまった時に下山する行動を補助する用途で使って下さい。
望ましくは、携帯酸素を使わずに済むように予防することです。
予防方法は、酸素が薄い環境に体が順応するようにゆっくり上ることです。
どんなに速く上ったとしても、標準のコースタイムよりも短くならないようにして下さい。
それだけの時間を使っても余裕を持って目的地に到着できる行動計画を予め立てて下さい。
更に、小まめに十分に水分を取ることも高山病の予防に有効ですので、合わせて実行して下さい。
あなたが高山病にならず、携帯酸素を使う必要が生じず、富士登山を無事に終えられることをお祈りいたします。
念のため携帯酸素を持って行きたいとお考えならば、こちらの商品がおすすめです。
イワタニ(Iwatani):リフレッシュ酸素缶
49:日焼け止め
富士山の様に標高が高い所が下界と異なる点の一つは、紫外線が強いことです。
日焼け予防は欠かせません。
私のおすすめは、長袖シャツや長ズボンや帽子やサングラスや手拭いや手袋などで露出部分を覆うことです。
日焼け止めを塗ることも間違いではありませんが、上の様にすることで十分日焼け予防できます。
日焼け止めをどうしても使いたいならば、余計な荷物が一つ増えることを承知の上で持って行って下さい。
50:ウェットティッシュ
休憩時に行動食を食べる際に汚れた手を拭く等で、ウエットティッシュを持って行こうと考えている人もいるかもしれません。
私のおすすめは、
- 手袋を着用して手が汚れるのを防ぐ
- 汚れた手でも食べられる形状の物を行動食に選ぶ
です。
ウェットティッシュをどうしても使いたいならば、余計な荷物が一つ増えることを承知の上で持って行って下さい。
51:アイマスク
頂上でご来光を見ようと計画しているならば、おそらく、日の出よりも前に起きて山小屋を出発するはずです。
となると、まだ明るいうちに、あるいは山小屋の消灯時刻よりも前に就寝するはずです。
周りが明るくて眠れない場合に備えてアイマスクを持って行こうとお考えなら、手拭いまたはタオルで代用することをお勧めします。
アイマスク一つの重さは大したことないかもしれません。
ですが、持って行かないことで、管理すべき荷物の数を一つ減らすことができます。
アイマスクをどうしても使いたいならば、余計な荷物が一つ増えることを承知の上で持って行って下さい。
52:耳栓
山小屋泊では基本的に相部屋ですから、周りがうるさい中で就寝する可能性もあります。
その対策として耳栓を持って行こうとお考えなら、トイレットペーパーまたはポケットティッシュを丸めて代用することをお勧めします。
使い終わったトイレットペーパーまたはポケットティッシュはゴミにはしません。
広げて取っておき、別の機会でトイレットペーパーやポケットティッシュが必要になった時に再利用します。
耳栓の大きさや重さは大したことないかもしれません。
ですが、持って行かないことで、管理すべき荷物の数を二つ減らすことができます。
耳栓どうしても使いたいならば、余計な荷物が二つつ増えることを承知の上で持って行って下さい。
53:マスク
山小屋で寝る時にほこりや臭いが気になることを心配して、あるいは、下山道で砂走りや大砂走りを歩く予定があり砂埃対策としてマスクを持って行こうとお考えなら、手拭いまたはタオルで代用することをお勧めします。
マスク一つの重さは大したことないかもしれません。
ですが、持って行かないことで、管理すべき荷物の数を一つ減らすことができます。
マスクをどうしても使いたいならば、余計な荷物が一つ増えることを承知の上で持って行って下さい。
54:使い捨てカイロ
頂上付近でご来光を待つ時の防寒対策として使い捨てカイロを持って行こうとお考えなら、本当に必要かを考えて下さい。
出発する時点で、あなたは肌着に加えて、上は長袖シャツを、下はサポートタイツと長ズボンを既に身に着けています。
頂上付近でご来光を待っている時は、更に防寒着としてフリースやダウンを着、その外側にレインウェア(上下とも)を重ね着しています。
他にも、帽子をかぶり、首に手拭いを巻き、手袋をはめ、厚手の登山用靴下と登山靴(トレッキングシューズ)も履いています。
ひょっとしたら、脚にスパッツ(ゲイター)も着け、サバイバルシートも羽織っているかもしれません。
それなりに暖かいはずです
それでも寒ければ行動食を食べ体を動かして発熱して下さい。
ご来光の後は、お鉢巡りをする計画であっても下山する計画であっても、山道を再び歩きます。
ご来光を待つ時間は、休憩時間でもありますが、その先の行程を歩くための準備の時間でもあります。
休息モードに入らず、ウォーミングアップの時間として過ごして下さい。
この様にして過ごしていれば、使い捨てカイロは不要なはずです。
使い捨てカイロをどうしても使いたいならば、余計な荷物が一つ増えることを承知の上で持って行って下さい。
装備費用を安く抑える方法
富士登山をするとは、上級レベルの登山をするということを意味します。
そのためには、上級レベルの登山で用を成す仕様・機能・性能・耐久性等を備えた装備が必須です。
全てを買い揃えるならば結構な出費になると思います。
そこまで予算が無いならば、例えば、レンタルを活用するという方法もあります。
レンタルを活用するならば、こちら で検討してみてはいかがでしょうか。
他にも方法はあります。
具体的には こちらの記事 をご覧下さい。
それをするに当たっては注意事項がございます。
その詳細は、こちらの記事 をご覧下さい。
服装や持ち物以外に準備すべきこと
富士登山に行こうと思ったら、服装や持ち物を揃える以外にも、
- 登山する日を決める
- 登山ルートを決める
- 登山口までの往復の交通手段を決める(公共交通機関を利用するならばチケットも手配する)
- 宿泊する山小屋を予約する
- 体力トレーニングする
等々、やるべきことは他にも沢山あります。
それらに関する詳細は、こちらの記事 をご覧下さい。
必要十分な服装や持ち物で、安全・安心・快適な富士登山を
富士山は日本一高い山です。
富士登山をするとは、上級レベルの登山をするということを意味します。
そのためには、上級レベルの登山をするに見合った準備が必要です。
機能・性能・仕様が十分な道具を選定することのみならず、余計な荷物を持って行かない、つまり荷物を取捨選択して軽量コンパクトに努めることも重要です。
今回お話しした、富士登山に持って行くべき、あるいは持って行かないべき服装や持ち物の品目、仕様、数量等を参考にして、あなたも安全・安心・快適な富士登山を楽しんで下さい。