一口に登山リュックと言っても、容量は10L程度から100L程度まで幅広くあります。
その中でも利用頻度が高く、持っていて無駄にならないのは容量30L程度のリュックです。
また、登山を始めるに当たり持つべき最初のリュックとして適した容量は30L程度だとも言われています。
今回は、その理由と選び方(選ぶ時のチェックポイント)をお話しし、男女別におすすめを紹介いたします。
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ミレー:
サース フェー 30+5(男性用)
サース フェー 30+5 LD(女性用)
おすすめの理由
「ファーストクラスの背負い心地」をコンセプトにしているメーカーが作った、ハイキングから本格縦走まで幅広く対応できる定番のロングセラー商品です。
日帰りや食事付き山小屋泊登山に使うのに丁度良い容量です。
背負い心地や使い勝手を良くするために登山リュックに求められる仕様や機能が網羅されています。
右側底部のサイドポケットはリュックを背負ったままでも水筒を出し入れできます。
ウエストストラップに付いているポケットは折りたたみ式で、比較的大きな物も収納できます。
雨蓋の位置を上下に移動させられるため、荷物の大幅な増減に対応できます。
男性用(M,Lサイズ)
女性用(Sサイズ)
30L登山リュックの適した用途と利点
登山を始めるに当たり持つべき最初のリュックとして適した容量は30L程度と言われています。
なぜならば、30L程度の登山リュックは、短時間のトレッキングや日帰りの低山登山から食事付き山小屋泊の本格登山まで、幅広く活用できるからです。
下に、登山リュックの用途別の適する容量の目安をお示しします。
用途 | 適する容量の目安 |
---|---|
日帰りの低山登山、トレッキング、ハイキング | 20 L 程度 |
日帰りの本格登山、食事付き山小屋泊登山 | 30 L 程度 |
自炊道具や食材も持参する日帰り又は山小屋素泊まり登山 | 40 L 程度 |
テント泊(自炊)登山 | 60 L 以上 |
現実には、季節、標高、歩行時間、山中での過ごし方、雪の有無等によって防寒着、水、食料、調理器具、雪山装備等をどの程度持参するかも変わります。
そして、それに伴いリュックの最適な容量も変わります。
容量が小さ過ぎれば、必要な荷物が入りきらないので使い物になりません。
容量が大き過ぎれば、荷物がリュックの底の方に片寄ったり中で動いたりして背負い心地が悪くもなりますし、リュック自体の重さも重くなるため、体力を余分に消耗してしまいます。
ですが、少し大げさに言うと、30L程度の登山リュックは、テント泊を除けばどんな登山でもこれ一つで間に合う、という利点があります。
なぜならば、登山リュックには荷物の増減に合わせて容量を調節できる機能が備わっているからです。
そして、30L程度の登山リュックでは10L程度の容量変動に対応可能だからです。
例えば、荷物が少ない時は、雨蓋を深く被せてリュックの背を低くしたり、コンプレッションストラップを締めてリュックを薄くしたりして対応できます。
なので、容量20Lのリュックで十分間に合う量の荷物を容量30Lのリュックに入れても、底の方に片寄ったり中で動いたりすること無く、適切にパッキングすることは可能です。
逆に、荷物が多い時は、雨蓋を浅く被せてリュックの背を高くしたり、コンプレッションストラップを緩めてリュックを厚くしたりして対応します。
更に荷物が増えたら、外部装着することで対応可能です。
つまり、短時間のトレッキングで持ち運ぶ荷物量から食事付き山小屋泊で持ち運ぶ荷物量までが、30L程度の登山リュックの許容量と一致しているのです。
即ち、差し当たりあなたが計画している登山で持ち運ぶ荷物を入れるならば、万事これ一つで済ませられるのです。
ここまで幅広く対応できるリュックは必要無く、もっと少ない荷物だけで済む用途で使うならば、容量20L程度のリュックが適するかもしれません。
その様な方は こちらの記事 をお読み下さい。
30L登山リュックの選び方
重視すべき11のチェックポイント
リュックと言うからにはショルダーストラップがあることは当然です。
更には、重い荷物を長時間背負う登山という活動に適するように、登山リュックのショルダーストラップは幅広肉厚になっています。
ここでは幅広肉厚のショルダーストラップが付いていることが前提で、更にどの様な点に注意して選べば良いかお話ししていきます。
1.背面長(サイズ)を合わせる
登山リュックには、容量とは別に、「背面長(サイズ)」という大きさを表す指標があります。
ちなみに容量とは、リュック内に収容できる荷物の量がどれくらいかを表す指標です。
一方、背面長(サイズ)とは、そのリュックを背負うのに適した人の背丈(胴体の長さ)がどれくらいかを表す指標です。
あなたの背面長に合ったサイズのリュックを選ぶ必要があります。
なぜならば、靴を選ぶ場合と同様で、小さ過ぎても大き過ぎても体にフィットせず背負い心地が悪くなるからです。
リュックの背面長はショルダーストラップの付け根からウエストストラップの下端までの長さのことで、サイズはこの長さによって決まります。
一方、人の背面長はその人の第七頚椎(あごを引いたとき首の後ろで一番出っ張っているところ)から骨盤の上端までの長さです。
両者が一致することが理想ですが、プラスマイナス5cm程度であれば許容範囲内で、ショルダーストラップの締め具合で対応できます。
物によっては背面長(サイズ)を変えられるリュックもあります。
このような仕様のリュックは背面長をきめ細かく調節でき、背負う人の体にフィットさせやすいです。
同じ容量のリュックでも背面長が長くなるとそれに伴ってウエストストラップも長くなることがあります。
あなたの背面長が複数のサイズの許容範囲内に入る場合は、あなたがスリムならば小さいサイズの方を、あなたがポッチャリならば大きいサイズの方を選ぶと良いかもしれません。
2.ウエストストラップ
幅広肉厚のウエストストラップが付いていることは必須条件です。
なぜならば、ウエストストラップは主に以下の2つの働きをしてくれるからです。
- リュックを体に固定する。
- リュックの荷重を腰でも支える。
荷物が少なくて軽い場合でも、ウエストストラップを活用してリュックを体に固定することによって、安全に快適に歩くことができます。
また、容量30Lのリュックに荷物をいっぱいに詰め込んだら、重さは10kgを超えるかもしれません。
これほどの重さのリュックを肩だけで支えるのはつらいです。
そんな時、肩だけでなく腰にも荷重を分散してリュックを支えた方が疲れにくいです。
そのためには、ウエストストラップが幅広肉厚であることが適した仕様だからです。
なので、幅広肉厚のウエストストラップが付いている物を選ぶ必要があります。
更には、ウエストストラップにポケットが付いているとリュックを背負ったままで物を出し入れできるため重宝するかもしれません。
3.コンプレッションストラップ
コンプレッションストラップが上下二箇所以上あることは必須条件です。
なぜならば、コンプレッションストラップは主に以下の2つの働きをしてくれるからです。
- リュックの中で荷物がむやみに動かないように容量調節する。
- 外部装着したい荷物を固定する。
リュックの容量に比べて荷物が少ない場合、そのままでは荷物がリュックの底の方に片寄ったり中で動いたりして背負い心地が悪くなります。
コンプレッションストラップを締めることで、そうならずリュックをコンパクトにすることができます。
他には、例えばトレッキングポールなどをリュックに外部装着する時、コンプレッションストラップで固定するという使い方もできます。
コンプレッションストラップは登山リュックには無くてはならないパーツです。
4.レインカバー
変わりやすい山の天気に備えて、登山の持ち物にレインウェアが必須なのと同様に、レインカバーも必須です。
専用のレインカバーが付属している物も付属していない物もどちらもあります。
付属しているかどうかを確認します。
付属していなければリュックの容量に見合う大きさのレインカバーも合わせて購入する必要があります。
雨が降っていなくても、濡れた物を包むためにレインカバーを使うのもありです。
5.ポケット類
少なくとも両サイドの下部にポケットが付いている物がおすすめです。
なぜならば、この位置にあるポケットにはリュックを背負ったままで手が届くからです。
ここに例えば水筒を入れたりします。
先にお話ししたウエストストラップにポケットが付いていれば、ここにもリュックを背負ったままで手が届くため、ここには行動食を入れておくと良いかもしれません。
こうしておくと、リュックを背負ったままで素早く水分補給や栄養補給をすることができるからです。
他にもう一つ大きめのポケットがあると便利です。
なぜならば、本体収納部よりもポケットの方が中味を素早く出し入れできるからです。
例えば、水筒や行動食の他にも、地図とコンパス、レインカバー、ヘッドライト、山小屋泊ならば財布等は、頻繁に、あるいは必要な時すぐに取り出したいです。
なので、この様な物は、他の諸々の荷物に埋もれさせず、分けてポケットに収納できるように、他にもう一つ大きめのポケットがあると便利です。
後でお話しする雨蓋式であれば、雨蓋をそのためのポケットとして活用することができます。
なので、サイドポケットの他に、1~3箇所、使いやすい位置や大きさのポケットがある物を選びます。
6.背面パッド
リュックを背負った時に背中に接する面を「背面」と言います。
リュックの背面が単なる一枚の生地ではなく、メッシュや溝が付いたパッドが使われている物を選びます。
それによって通気性が保たれ、背中にかいた汗が逃がされ、快適に登山をすることができます。
7.雨蓋式
リュック上部に被さり本体収納部への雨水の侵入を防ぐ働きをする蓋を備えたリュックを雨蓋式と言います。
リュックの容量が小さい場合は、正面がスライドファスナーによって逆U字形に開くタイプのリュックの方が使いやすいかもしれません。
ですが、容量30L程度のリュックを選ぶ場合は雨蓋式がおすすめの仕様です。
なぜならば、雨蓋式のリュックは
- 荷物の増減に大幅に対応できる。
- パッキングしやすい。
- 耐久性に優れる。
- 雨蓋自体も一つのポケットとして使える。
- 本体と雨蓋の間に荷物を挟むという使い方もできる。
という利点があるからです。
なので、容量30L程度のリュックを選ぶ場合は雨蓋式がおすすめの仕様です。
8.二気室式
容量がある程度大きくなると、大概の登山リュックでは本体収納部分を上下に仕切ることができる仕様になっています。
上部をメインコンパートメント、下部をボトムコンパートメント、この様な仕様のリュックを二気室式と呼びます。
そして、大概の二気室式登山リュックでは仕切って使うことも仕切らずに使うこともどちらもできる仕様になっています。
この様な両用式の二気室式がおすすめの仕様です。
なぜならば、この様な二気室式リュックは
- 荷物を多様にパッキングできる。
- 底の方にある荷物を取り出しやすい。
という利点があるからです。
なので、仕切って使うことも仕切らずに使うことも自由にできる、両用式の二気室式がおすすめの仕様です。
9.外部装着機能
荷物を外部装着するためのループや留め具や紐の通し口などがリュックのあちこちに配置されている物がおすすめです。
なぜならば、登山で使う道具や装備には、リュックの中に入れるよりも、リュックの外にくくり付けて運ぶ方が適する物もあるからです。
そして、登山リュックは、荷物を収納するだけでなく外部装着することも想定して作られているからです。
例えば、濡れたカッパ、トレッキングポール、ピッケル、わかんやスノーシュー等は、中に入れると、他の荷物を濡らしたり汚したり傷付けたり、中に納まりきらなかったりで、リュックの中に入れずに運んだ方が都合が良いです。
なので、外部装着するためのループや留め具や紐の通し口などがリュックのあちこちに配置されている物がおすすめです。
はじめからそのためのゴム紐(バンジーコード)が付いている物もあります。
どの様に使うか想像できなかったり、外部装着するための仕様だとそもそも気付かない箇所もあるかもしれません。
ですが、これらは外部装着する時に使うことを想定した、意味の有る有用なパーツです。
リュックの中に入れられるにもかかわらずわざわざ外部装着するのは間違っています。
ですが、外部装着するのが得策であるならば、メーカーが想定した常識的な使い方じゃなくても、リュックも荷物も破損せず確実に固定できて安全に行動できるならば、そして使い勝手が良くなるならば、どの様に外部装着しても構いません。
上手に活用して幅広く登山を楽しんで下さい。
10.ショルダースタビライザーとウエストスタビライザー
ショルダースタビライザーとはショルダーストラップの上端付近とリュック本体の上部とを、ウエストスタビライザーとはウエストストラップとリュック本体の下部とを結ぶストラップのことです。
これらはリュックの上部や下部を体に近付けて体への負担を軽減する働きをします。
容量が小さいリュックにはどちらも付いていませんが、容量30L程度の登山リュックならば、ショルダースタビライザーやウエストスタビライザーが付いているに越したことはありません。
ショルダースタビライザーやウエストスタビライザーは、荷物が大きく重くなる程必要性や効果が増すパーツと考えられます。
11.チェストストラップ
チェストストラップとは、鎖骨や脇の下の高さ辺りで左右のショルダーストラップを橋渡しするように付いているストラップのことです。
チェストストラップが付いているに越したことはありません。
大概の登山リュックに標準装備されているみたいです。
ですが、荷物が軽ければ必要無いかもしれません。
必要ならば後付けすることもできます。
30L登山リュックおすすめ5選
おすすめ品の比較表
メーカー: 商品名 | ミレー: サース フェー 30+5(男性用): サース フェー 30+5 LD(女性用) | ミレー: ウビック30(男性用) ウビック30W(女性用) | ドイター: フューチュラ プロ 36(男性用) フューチュラ プロ 34 SL(女性用) | ノースフェイス: テルス35(男性用) Wテルス30(女性用) | カリマー: ランクス 28 タイプ1(ユニセックス) |
---|---|---|---|---|---|
容量(L) | 30+5 | 30 | 36:36 34 SL:34 | 35 M:36 35 L:38 W30 M:35 W30 L:36 | 28 |
重量(g) | 30+5 LD:1,450 30+5:1,500 | 1,265 | 34 SL:1,560 36:1,580 | 35 M:1,310 35 L:1330 W30 M:1250 W30 L:1270 | 1,140 |
リュックの背面長(cm) ※全て固定式 | 30+5(Mサイズ):48 30+5(Lサイズ):51 30+5 LD(Sサイズ):43 | 30:46 30W:40 | 非表示 | 42 | |
背負うのに適する人の背面長(cm) ※全て固定式 | 35 M:43-51 35 L:48-56 W30 M:39-47 W30 L:42-50 | ||||
幅広肉厚のウエストストラップ付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ウエストストラップにポケット付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
コンプレッションストラップ付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
レインカバー | 専用品付属 (雨蓋のポケットに収納) | 専用品付属 (雨蓋のポケットに収納) | 専用品付属 (底部のポケットに収納) | 専用品付属 (正面のポケットに収納) | 専用品付属 (底部のポケットに収納) |
両サイドの下部にポケット付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
背面パッド付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
雨蓋式である | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
雨蓋自体がポケットになっている | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
雨蓋の上下移動の可否 | ○ | × | × | × | × |
二気室/一気室切り替え | 両用可 | 両用可 | 両用可 | 一気室専用 | 両用可 |
外部装着用のループ、留め具、通し口付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ショルダースタビライザー付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ウエストスタビライザー付き | ○ | ○ | ○ | ウエストストラップと連動 | ○ |
チェストストラップ付き | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
備考 | ウエストストラップに付いている折りたたみ式のポケットにはスマホも楽々入る。 背負い心地の良さと使い勝手の良さを実現するための仕様や機能のほとんど全てが備わっている定番のリュック。 | トレッキングからクライミング、バックカントリーまで幅広く活用できるオールラウンドモデル。トレッキングポールやスキーやスノーシューなどの様々な道具を外付けできる作りになっている特徴的なリュックで、発展的に使うことができる。 | 背面全体に広がるメッシュパネルによって背中とリュックの間に隙間が保たれることが特徴で、通気性は最高に良い反面、重心が身体から離れたり隙間に雪が詰まるなどの欠点にもなる。 今回紹介している中では最も重い。 | 生地強度を高めながら軽量化が進められている。 一気室専用モデル。 | 日帰り登山やライトトレッキングを対象にした軽量モデル。 |
ミレー:
サース フェー 30+5(男性用)
サース フェー 30+5 LD(女性用)
使い勝手と背負い心地のバランスの良さを重視して堅実に選ぶならばコレがおすすめです。
男性用(M,Lサイズ)
女性用(Sサイズ)
ミレー:
ウビック30(男性用)
ウビック30W(女性用)
将来発展的に使うことも視野に入れて選ぶならばコレがおすすめです。
男性用
女性用
ドイター:
フューチュラ プロ 36(男性用)
フューチュラ プロ 34 SL(女性用)
背面の通気性の良さを重視して選ぶならばコレがおすすめです。
男性用
女性用
ノースフェイス:
テルス35(男性用)
Wテルス30(女性用)
二気室構造を必要としないならばコレがおすすめです。
男性用(M,Lサイズ)
女性用(M,Lサイズ)
カリマー:
ランクス 28 タイプ1(ユニセックス)
軽量性を重視して選ぶならばコレがおすすめです。
男女兼用
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登山者の必需品!30L登山リュック
沢山ある登山リュックの中でも利用頻度が高く、持っていて無駄にならないのは容量30L程度のリュックです。
この便利で有用な容量30L程度の登山リュックを有効に適切に活用して、あなたも存分に山を楽しんで下さい。
ミレー:
サース フェー 30+5(男性用)
サース フェー 30+5 LD(女性用)
男性用(M,Lサイズ)
女性用(Sサイズ)
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