登山でハイドレーションを活用すれば、水を飲みたい時に、わざわざ立ち止まったり面倒な手数をかけたりすること無く、楽に素早く簡単に水を飲むことができます。
この様に便利なハイドレーションですが、登山で活用するためには、ハイドレーション器具の側にも、それらを持ち運ぶリュックの側にも注意すべき点や押さえておくべきポイントがあります。
そこで今回は登山で使うのに適したハイドレーションパックやチューブのおすすめと、リュックがハイドレーションに対応しているかどうかの確認方法及びおすすめのリュックについてお話しいたします。
目次
サイト運営者イチオシの
ハイドレーションパック
プラティパス(Platypus):ビッグジップ EVO
容量は1.5L、2L、3Lの3つから選べます。
冷凍使用も可能です。
口が大きく開くため水を入れやすく、また、洗浄や乾燥もしやすいです。
開口部の留め具が本体と紐で結ばれているため紛失しにくいです。
満水状態にしても膨らみにくい構造になっているためリュックへのパッキングがしやすいです。
リュックのショルダーストラップ付近にチューブを固定するための留め具が付属しています。
飲み口の汚れ防止用のカバーは別売りです。
サイト運営者イチオシの
ハイドレーション対応リュック
短時間の日帰り登山向け
コロンビア:
ブルーリッジマウンテン 25L(男女兼用)
日帰りのハイキングやトレッキングや低山登山など、短時間の登山に適した容量のハイドレーション対応リュックです。
充実した機能が備わっていて、レインカバーも付属する上に、比較的安価です。
長時間の日帰り登山から山小屋泊登山向け
ミレー:
サースフェー 30+5(男性用)
サースフェー 30+5 LD(女性用)
長時間の日帰り登山から山小屋泊登山に適した容量のハイドレーション対応リュックです。
背負い心地や使い勝手を良くするために登山リュックに求められる仕様や機能が網羅されています。
雨蓋の位置を上下に移動させられるため、荷物の大幅な増減に対応できます。
ハイドレーションチューブの通し口は左右の側面のどちらにもあります。
★ 男性用(M,Lサイズ)
★ 女性用(Sサイズ)
テント泊登山向け
グレゴリー:
バルトロ85(男性用)
ディバ80(女性用)
テント泊登山等どこにでも行ける大容量のハイドレーション対応リュックです。
背負い心地を良くする機能も使い勝手も良くする機能も満載で、ハイドレーション以外の登山に求められる要素も網羅されています。
ハイドレーションチューブの留め具がショルダーストラップ右側のチェストストラップの留め具に組み込まれています。
ハイドレーションスリーブを取り出して、独立した臨時小型リュックとして使うことができます。
★ バルトロ85(男性用)
★ ディバ80(女性用)
ハイドレーションとは
ハイドレーションの意味
「ハイドレーション(hydration)」という言葉そのものの意味は「水分補給をすること」です。
なので、旧来の「水筒の蓋を開けて中の水を飲む行為」も、厳密に言うと、「ハイドレーション」に該当します。
ですが、ここでは、この様な水分補給の仕方はハイドレーションとは別の行為という扱いをします。
ここでは限定的に、「水が入った柔らかい容器とそこから口元まで引かれた管を活用する方法で手数をかけずに素早く水分補給する行為」だけをハイドレーションと呼ぶことにして話を進めて行きます。
ハイドレーションの目的や必要性
登山をする時には、体から失われる水分量に合わせて、適量を小まめに補給することが望ましいです。
なぜならば、重い荷物を背負い険しい山道を進む登山は、時には大量の汗をかくこともある激しい運動です。
一説には、人が喉の渇きを感じる時には、既に脱水症状になりかけているとも言われます。
脱水症状がひどくなると、筋肉がつって満足に動けなかったり、意識がもうろうとして頭が満足に働かなくなったりしかねません。
また、喉がカラカラに渇いてから水を一度にガブ飲みしても、飲んだ水の全てがすぐに吸収される訳では無いため、無駄になってしまいます。
それを避けるためには、喉の渇きを感じる前に、小まめに水分補給するのが効果的だからです。
その、小まめに水分補給するに当たって頻繁に生じる毎回の面倒な手間を省く方法がハイドレーションです。
登山においてハイドレーションを活用する目的は、登山をすることによって体から失われる水分をすかさず補給することです。
それによって体力が維持でき、より安全に登山をすることができるため、登山においてハイドレーションを活用することは有効であり、またその必要があるのです。
ハイドレーションのメリット
ハイドレーションを活用することによって以下の様なメリットが得られます。
- 手間や時間をかけずに素早く水分補給できる。
- 行動を中断せずに水分補給できる。
- 小まめに効率よく水分補給できる。
- バテにくくなる。
- 中身を飲み終わった空容器をコンパクトに収納できる。
なぜならば、仮にハイドレーションを活用せずに水分補給するならば、しかも、リュックを背負ったままでも手が届くポケットに水筒やペットボトルを入れていなかったとすると、
- 立ち止まる。
↓ - リュックを下ろす。
↓ - リュックを開ける。
↓ - リュックから水筒を取り出す。
↓ - 水筒の口を開ける。
↓ - 水を飲む。
↓ - 水筒の口を閉める
↓ - リュックに水筒を入れる。
↓ - リュックを閉じる。
↓ - リュックを背負う。
と、これだけの行為を割り込ませる必要が生じます。
ですが、ハイドレーションを活用すればこれらの行為を省くことができるからです。
つまり、これらの手間や時間をわざわざかけること無く、立ち止まらずに、楽に素早く簡単に水を飲むことができるというメリットが先ず得られます。
そして、バテにくくなったり中味を飲み終わった空容器をコンパクトに収納できたりというメリットも合わせて得られます。
ハイドレーションのデメリットや注意点
ハイドレーションを活用することによって得られるメリットは多々ありますが、以下の様なデメリットもあります。
- 中身にゴムの臭いが移りやすい
- メンテナンスが面倒
(洗いにくい、乾かしにくい、カビが発生しやすい) - 残量がわかりにくい
- 対応リュックでないとチューブを上手く外に出せない
- 冬は凍結する可能性がある
- 中身として水を入れるならば、塩分や糖分を他で補給する必要がある
- 他の荷物が既にパッキングされたリュックに後からでは入れづらい
(チューブの折れ曲がりにも注意)
この様なデメリットがあるため注意や対策が必要になることもあります。
ですが、これらのデメリットを上回って余りあるメリットがハイドレーションを活用することによって得られます。
ハイドレーションの使い方
ハイドレーションパックの中身
ハイドレーションパック(容器、給水袋、ソフトボトル、リザーバー)の中身として何を入れるかのおすすめは水です。
なぜならば、カビが最も発生しにくく、使用後に洗う手間が最もかからないからです。
注意すべきは、容量よりも多く水を入れないということです。
なぜならば、水を入れ過ぎるとパックの破損につながりかねないからです。
そして、ハイドレーションパックの中に空気も一緒に残っているならば、中の空気は抜きます。
なぜならば、空気も一緒に入っていると、水が中で動き、歩きづらかったりバランスを崩したりしかねないからです。
また、ハイドレーションパックの中に氷を入れたり凍らせることも可能です。
その際は、氷は容量の半分程度にして、残りは水で満たします。
空気抜きは忘れずに行なって下さい。
ハイドレーション器具のセット方法
ハイドレーション対応リュックならば、ハイドレーションパックを入れるのに適した内ポケットが、リュックが背中と接する側に設けられています。
ハイドレーションパックをリュックのどこに入れるかの答は、ずばりこの内ポケットです。
そして、一緒に持って行く他の荷物の尖った部分に接したり押されたりしないようにパッキングします。
リュックへの入れ方にも注意点があります。
ハイドレーションパックを入れる向きは、チューブの取り付け口から外側にだけチューブを伸ばすタイプの物は、チューブの取り付け口が下になる向きに入れます。
よろしければ、次の動画も参考にして下さい。
チューブの取り付け口よりも中にチューブを挿し込めるタイプの物は、チューブの取り付け口が上になる向きに入れます。
よろしければ、次の動画も参考にして下さい。
ハイドレーションパックを入れる順番は、他の荷物をパッキングする前に、最初に入れるのがおすすめです。
なぜならば、既に他の荷物が入った状態で柔らかいハイドレーションパックやチューブを専用ポケットに割り込ませることはしづらいからです。
また、下手をするとチューブが折れ曲がってしまい、中身が出てこないこともあるからです。
また、ハイドレーション対応リュックならば、チューブの通し口が、リュック上部の側面から背面にかけてのどこかに設けられています。
そして、それを示す文字や水滴の形のマークが表示されています。
チューブの先の飲み口はココから出しショルダーストラップの辺りに固定します。
ハイドレーション対応リュックの中には、ショルダーストラップの辺りに留め具が付いている物もあります。
無ければ別売の留め具を後付けすることもできます。
ハイドレーション器具の洗浄方法と保管方法
適当な大きさのブラシやたわしを使って隅々まで洗います。
パックは可能ならば裏返して洗うのも有効です。
チューブは、外せる所は可能な限り外して洗うと洗い残しが無くなります。
物によって耐熱温度は異なりますが、お湯を使うと汚れを落としやすいです。
洗剤を使うならば中性洗剤がおすすめです。
漂白剤を使うことが適さない物もあります。
乾かす際は、パックの口を大きく開けておくと乾きやすいです。
洗浄や乾燥が不十分だとカビが生えやすくなります。
耐冷温度が低く乾燥しづらい物は、冷凍庫内で保管するのもありです。
パックを保管する際は丸めるのは良いですが、折り目を付けないように気を付けます。
次の様なクリーニングキットを使うと上手く洗浄、乾燥できます。
チューブを乾かす際に、次の動画のようにグルグルとブン回している人もいるようです。
3分30秒付近からです。
ハイドレーション器具の選び方
ハイドレーションパックの口の形や大きさ
中に手を入れられるくらい口が大きく開く物がおすすめです。
なぜならば、
- 飲み水を入れやすい
- 洗いやすい
- 乾かしやすい
というメリットが得られるからです。
例えば、最初に紹介した「プラティパス(Platypus):ビッグジップ EVO」の様に、チューブの接続口とは別に、ジッパー式の開け口が設けられている物がよく見られます。
ですが、ペットボトルくらい口が小さいソフトボトルを既にお持ちで、それをハイドレーションシステムに組み込みたいと考えている方もいるかもしれません。
例えば次の様なソフトボトルのことを言っています。
その場合は、チューブだけを購入して、今お持ちのソフトボトルを有効活用する手もあります。
例えば、接続口の形が合えば、次の様なチューブと組み合わせて使うこともできます。
市販のペットボトル飲料の中にはこの商品と接続可能な物もあるため、そうであればペットボトルがハイドレーションに早変わりするという裏技が使えます。
ハイドレーションパックの容量
登山中に必要な水の量よりも容量が大きめの物を選ぶのが良いです。
ちなみに、登山で必要な飲み水の量の目安(下限値)は、次の計算式で算出できます。
(自分の体重[kg]+荷物の重量[kg])×行動時間[時間]×5[ml]
鹿屋体育大学 山本正嘉教授の研究結果 より。
ですから、例えば自分の体重と荷物の重量が合わせて70kgで行動時間が8時間の場合は2800ml、自分の体重と荷物の重量が合わせて60kgで行動時間が3時間の場合は900mlの水を要する計算になります。
この値は下限値ですし、行動中に飲む以外にも何かを洗うこと等に水が必要になることもありますので、多少多めに持って行くのが得策です。
また、パックの容量よりも多く水を入れるのはおすすめしませんが、容量よりも少なめに水を入れても構いません。
そして、登山中にハイドレーションパックに水を補充するとパッキングがしづらいです。
なので、登山中に必要な水の量よりも容量が大きめの物を選ぶのが良いです。
現実的には1L~3L程度の容量のハイドレーションパックがおすすめです。
ハイドレーションパックの中仕切りの有無
ハイドレーションパックに中仕切りが有ることによるメリットは、パックに水をいっぱいに入れてもむやみに膨らまないため、後からでもパッキングしやすく、リュックの中で納まりが良いことです。
その一方で、洗いにくかったり乾きにくかったりというデメリットもあります。
逆に、中仕切りが無いハイドレーションパックは、水を入れるとパックがむやみに膨らみリュックの中で納まりが悪くなりかねない一方で、裏返して洗うこともできるため、洗いやすかったり乾きやすかったりします。
どちらが良いかは人によって好みが分かれる所でしょうが、中仕切りが有る物の方が登山中の扱い易さに優れます。
ハイドレーション対応リュックの選び方
必要な仕様
- チューブの通し口がある
- パックを入れるポケットがある
ハイドレーション対応リュックならば、チューブの通し口が、リュック上部の側面から背面にかけてのどこかに必ずあります。
なぜならば、この通し口があることによって、チューブが折れ曲がったり圧迫されたりすることなく、パックから口元までチューブを持って来ることができるからです。
そして、通し口の位置にはそれを示す文字や水滴の形のマークが表示されています。
もう一つ、ハイドレーション対応リュックならば、ハイドレーションパックを入れるのに適した内ポケットが、リュックが背中と接する側に設けられています。
なぜならば、ハイドレーションパックは一緒に持って行く他の荷物の尖った部分に接したり押されたりすると破れかねないです。
それを避けるために、ハイドレーションパックは周りを保護し他の荷物とは分けてリュックに入れます。
それが容易にできるように、ハイドレーション対応リュックはハイドレーションパックを入れるポケットが設けられています。
その他、物によっては、チューブを固定する留め具がショルダーストラップに付いているリュックもあります。
留め具が付いていれば活用しても構いません。
付いていなくて必要ならば、後付けできる留め具も別で売られています。
現在市場に出回っている登山用リュックは、ハイドレーションを活用することを想定して作られている物が多くあります。
あなたが登山リュックを既にお持ちならば、以上の点に着目してハイドレーションに対応可能かどうか確認されると良いと思います。
ハイドレーションパック+チューブセットおすすめ2選
プラティパス(Platypus):ビッグジップ EVO
容量は1.5L、2L、3Lの3つから選べます。
冷凍使用も可能です。
口が大きく開くため水を入れやすく、また、洗浄や乾燥もしやすいです。
開口部の留め具が本体と紐で結ばれているため紛失しにくいです。
満水状態にしても膨らみにくい構造になっているためリュックへのパッキングがしやすいです。
リュックのショルダーストラップ付近にチューブを固定するための留め具が付属しています。
飲み口の汚れ防止用のカバーは別売りです。
プラティパス(Platypus):バイトバルブカバー
ソース(SOURCE):ハイドレーションパック ワイドパック
容量は1.5L、2L、3Lの3つから選べます。
冷凍使用も可能です。
口が大きく開くため水を入れやすく、また、洗浄や乾燥もしやすいです。
満水状態にしても膨らみにくい構造になっているためリュックへのパッキングがしやすいです。
飲み口の汚れ防止用のキャップが付属しています。
リュックのショルダーストラップ付近にチューブを固定するクリップは別売りですが、まとめて買うこともできます。
ソース(SOURCE):ハイドレーション マグネットクリップ
ハイドレーションチューブ単体おすすめ2選
チューブだけを新たに購入し、既に持っているソフトボトルや水筒や、市販のペットボトル飲料に取り付けてハイドレーションシステムに早変わりさせたい場合は次の商品がおすすめです。
チューブをボトルの底まで挿し込み、ボトルの口を上向きにして使います。
ソース(SOURCE):ハイドレーション コンバーチューブ SC-2031160200
口径が24、28、42、63㎜の4種類のボトルに取り付け可能です。
よろしければ次の動画も参考にして下さい。
エバニュー(EVERNEW):ハイドレーションチューブ EBY271
エバニュー(EVERNEW)のウォーターキャリー(ソフトボトル)やペットボトルに取り付けて使用可能です。
ハイドレーション対応リュックおすすめ3選
短時間の日帰り登山向け
コロンビア:
ブルーリッジマウンテン 25L(男女兼用)
日帰りのハイキングやトレッキングや低山登山など、短時間の登山に適した容量のハイドレーション対応リュックです。
充実した機能が備わっていて、レインカバーも付属する上に、比較的安価です。
長時間の日帰り登山から山小屋泊登山向け
ミレー:
サースフェー 30+5(男性用)
サースフェー 30+5 LD(女性用)
長時間の日帰り登山から山小屋泊登山に適した容量のハイドレーション対応リュックです。
背負い心地や使い勝手を良くするために登山リュックに求められる仕様や機能が網羅されています。
雨蓋の位置を上下に移動させられるため、荷物の大幅な増減に対応できます。
ハイドレーションチューブの通し口は左右の側面のどちらにもあります。
★ 男性用(M,Lサイズ)
★ 女性用(Sサイズ)
テント泊登山向け
グレゴリー:
バルトロ85(男性用)
ディバ80(女性用)
テント泊登山等どこにでも行ける大容量のハイドレーション対応リュックです。
背負い心地を良くする機能も使い勝手も良くする機能も満載で、ハイドレーション以外の登山に求められる要素も網羅されています。
ハイドレーションチューブの留め具がショルダーストラップ右側のチェストストラップの留め具に組み込まれています。
ハイドレーションスリーブを取り出して、独立した臨時小型リュックとして使うことができます。
★ バルトロ85(男性用)
★ ディバ80(女性用)
ハイドレーションを活用して登山をとことん楽しもう
ハイドレーションは登山中に水を飲む時間や手間を減らし、効率良く水分補給できる便利な方法です。
それによって、使わない場合と比べると、行動範囲が広がりもう少し先まで足を延ばすこともできるでしょう。
あるいは、同じコースを歩くにしても歩行時間が短縮でき、途中の景色の良い所でのんびりする時間も増やせるでしょう。
この様に登山中の可能性を広げてくれるハイドレーションを活用して、あなたも目いっぱい存分に登山を楽しんで下さい。