富士登山の装備費用を安く抑えることは可能です。
ですが、それに当たっては、登山初心者だからこその注意点があります。
本格的な登山用品は高価な上に次にいつ使うかもわからないので、買うのをためらう気持ちは分かります。
また、富士登山をするとなると、安価品で構わない装備も安価品では支障がある装備もどちらもあり、初心者のあなたでは判断に困るのではないでしょうか。
私は、標高が低い山から高い山まで、日程も日帰りから泊まりまで、様々な登山をする中で装備を使い分けています。
それらの経験から、今回は、初心者のあなたが失敗しない最適解を得るために、
- 富士登山装備費を安く抑える際の注意点
- 富士登山に適した装備の具体的な商品
- 装備費用を安く抑えるための具体的な方法
についてお話しいたします。
富士登山用の装備を選ぶ際に認識すべき5つのポイント
富士登山に行くのに安易に軽装備で行く訳には行かず、それなりの装備で行かねばならないことは薄々感じていらっしゃることと思います。
ただ、その「それなりの装備」がどの程度かとなると、見解が分かれて、何が正解か判断に困るのではないでしょうか。
富士登山に持っていく装備を選ぶに当たっては、次の5つのポイントを考えに入れて判断する必要があります。
- 1:富士登山とは上級レベルの登山である。
- 2:あなたではコントロールできない天気という不確定要素に依って登山の難易度が変動する。
- 3:遭難の予防や非常時の対応のための装備を携行するのが登山の基本である。
- 4:登山用品のそうでない物との違いは登山という特殊な用途や過酷な条件下で使っても実用に耐え得る仕様・機能・性能・使いやすさを備えている。
- 5:人間の能力では足りない部分を道具の優秀さで補うのが得策である。
これらがそれぞれ何を意味するかを以下で順番にご説明いたします。
1:富士登山とは上級レベルの登山である。
富士登山に限らず、そもそも登山とは次の様な活動です。
- 自然の中を歩く
- 不整地を歩く
- 傾斜地を上り下りする
- 重い荷物を背負って歩く
- 長時間歩き続ける
- 時には大量の汗をかく
つまり街中とは違って不便な所で、体に大きな負荷が掛かる運動をすることを意味します。
そして富士山とは、次の様な所です。
- 日本一標高が高い
- 独立峰である
- 強い風が吹く
- 強い雨が降る
- 登山道に岩場や砂利道がある
- 麓と頂上付近とで気温差が大きい
つまり活動現場の自然環境が厳しいことを意味します。
このように、富士登山とは日本一標高が高く、従って日本一自然環境が厳しい中で負荷の大きな運動をする上級レベルの登山なのです。
上級レベルの登山をするからにはそのレベルに見合った装備で臨む必要があります。
2:あなたではコントロールできない天気という不確定要素に依って登山の難易度が変動する。
「山の天気は変わりやすい」とよく言われます。
これは、「下界は晴れていても山中は雨に降られることもあるからそのための備えをして山に出掛けねばならない」ことを意味します。
ですが、登山中ずっと好天に恵まれ雨具を使う必要が全く無かった、ということは現実にあります。
それならば登山に雨具を持って行かなくても構わないかと言うと、そんな事は決してありません。
なぜならば、あなたが富士登山をする時にそうなる保証が全く無いからです。
例えば、作業服が中心のワークマンやスポーツ用品全般を扱うミズノのレインウェアで十分だという意見もあります。
それは、その人が富士登山をした時の状況で十分だっただけの話です。
さえぎる物が周りに何も無い富士山では、たたき付けるような、あるいは下から吹き上げるような激しい風雨に見舞われることもあります。
ロースペックの安価品で十分間に合うと言っている人は、そこまでの状況を想定して言っているでしょうか?
天気が荒れそうならば、入山を見合わせるか山小屋で待機するのが適切な対処方法です。
では、あなたはそれだけの日程的および費用的なゆとりを確保できますか?
荒天の中をどうしても移動せねばならなくなったとして、相手が初心者であっても自然は手加減してくれません。
安易な状況しか想定していない人の意見を鵜呑みにして、ひどい目に遭うのはあなたです。
それが元で、万が一あなたが遭難したり救助が必要になったとしたら、捜索隊員や救助隊員にまで負担を強いる事になります。
そうならないように、最悪な天候を想定した装備選びをせねばなりません。
天気をあなたはコントロールできないということを忘れないで下さい。
3:遭難の予防や非常時の対応のための装備を携行するのが登山の基本である。
遭難の予防や非常時の対応のための装備を携行するのは登山の基本です。
なぜならば、登山とは自然の中で行なう活動だからです。
例えば、欲しい物があっても現場で簡単に手に入れることは難しいです。
また、具合が悪くなっても救急車がすぐに駆け付けてくれません。
なので、何か困った事が起こったとしても、その場で自力で対処せねばなりません。
それを可能にするための最低限の装備、つまり遭難の予防や非常時の対応のための装備を登山をする際には常時持ち歩かねばなりません。
それが登山の基本です。
登山に限らず、運動でも音楽でも仕事でも、何事も基本を疎かにしてはまともな結果は得られません。
登山をするならば、遭難の予防や非常時の対応のための装備費用が必要になることも認識して下さい。
4:登山用品とそうでない物との違いは登山という特殊な用途や過酷な条件下で使っても実用に耐え得る仕様・機能・性能・使いやすさを備えている。
登山用品は他の用途を対象にして作られた汎用品と比べて価格が高い傾向にあります。
なぜならば、登山とは過酷な環境や条件の下で行なう特殊な活動です。
登山用品は、その様な特殊な用途で使い物になる仕様・機能・性能・使いやすさを備えているから高価なのです。
その仕様・機能・性能が何であるかや、どの様に使いやすいかは、使ったことがないと分からないかもしれません。
初心者のあなたにとっては仕方がないことかも知れません。
ですが、登山用品の他の物との違いが分からないが故に、必要ではない・有用ではない・高いと感じ、登山用品じゃない物で間に合わせようとすると、辛い思いをするのはあなたです。
消防士が消火活動をする時に消防服を着るように、登山をするならば登山用品じゃないと間に合わない物があることを認識して下さい。
5:人間の能力では足りない部分を道具の優秀さで補うのが得策である。
登山で使う服装・持ち物・装備の中には登山用品じゃないとダメな物も、登山用品じゃなくても構わない物もどちらもあります。
登山用品じゃないとダメな物が具体的に何であるかは後述します。
では、それらについてはなぜ登山用品じゃないとダメかという理由は、登山用品ではない物は登山という特殊で過酷な条件下で使うには機能や性能が不十分だからです。
十分な機能や性能を有する装備はその分高価です。
初心者は、高価な物じゃなくても、程々の物で構わないという考え方が通用する場合も通用しない場合もどちらもあります。
程々のレベルの活動に対しては程々の物で構いません。
ですが、富士登山は上級レベルの登山です。
あなたが初心者であるか上級者であるかに関係なく、上級レベルの登山に対しては上級レベルの装備が必要です。
富士登山をするに当たっては初心者こそ、むしろ高価な高機能高性能品を使って、経験やスキルの不足を道具の優秀さで補うのが得策であることを認識して下さい。
富士登山をする上でこれだけは譲れない7つの装備
富士登山をするならば、次に挙げる7つの装備だけは、登山用品である・ないに関わらず、お示しする条件を満たす物を必ず使って下さい。
該当する物は、登山用品の中から探すのが手っ取り早いかもしれません。
登山用品ではなく安いことを優先する場合でも、以下でお話しする仕様・機能・性能を備えている物を必ずお選び下さい。
1:靴
富士登山で履く靴は以下の仕様・機能・性能を備えていることが必須の条件です。
- ハイカット(またはミドルカット)
- 防水透湿性を有する
- 靴底が硬い
- 靴底の溝が深い
この様な仕様・機能・性能が備わった靴とは、結局のところ「登山靴(トレッキングシューズ)」に尽きるかもしれません。
普段使いのスニーカーや運動靴で富士登山をしたならば、これらの仕様・機能・性能が備わっていないために、不快や苦痛に見舞われる羽目になってしまいます。
つまり、富士登山をするに当たっては登山靴(トレッキングシューズ)は必須の装備です。
この様な仕様・機能・性能がなぜ必要かを順番にお話しいたします。
その上で、費用を安く抑えるためにどうすれば良いかについては後述いたします。
ハイカット(またはミドルカット)
靴のアッパーの仕様は、履き口がくるぶしよりも上にある物、つまりハイカット(またはミドルカット)の物を使って下さい。
ローカットは不可です。
出典:MAMMUT公式
なぜならば、ハイカット(またはミドルカット)仕様の靴であれば次の利点が得られるからです。
- 足首が保持され捻挫のリスクが減る
- 小石や雨水が侵入しにくい
富士登山では、岩場や石が軽がっている道や砂利道の傾斜道を重い荷物を背負って上り下りします。
この様に足元が不安定な道を歩く時は、ハイカット(またはミドルカット)仕様の方が足首が保持されるため、捻挫のリスクが減ります。
また、ハイカット(またはミドルカット)仕様ならば、小石や雨水が侵入しにくいです。
更には、ハイカット(またはミドルカット)仕様ならば、スパッツ(ゲイター)の併用も可能になるため、小石や雨水の侵入を更に防ぎやすくできます。
防水透湿性を有する
防水透湿性とは、外部からの浸水を防ぐ(防水)機能も、内部で発生した水を水蒸気として外部に排出する(透湿)機能も、どちらも持ち合わせていることを意味します。
防水透湿性が必要な理由は次の利点が得られるからです。
- 雨水が浸水しない(防水性)
- 蒸れにくい(透湿性)
山の天気は変わりやすいため、雨に降られても靴の中への浸水を防いでくれる防水性は必須です。
時には大量の汗をかく程の激しい運動でもある登山をすれば、足にも汗をかきますので、靴の中が蒸れないように透湿性も必須です。
防水透湿性を有する代表的な素材はゴアテックスです。
防水透湿性素材は他にもありますが、ゴアテックスが使われていれば大丈夫です。
靴底が硬い
靴底が硬いことが必要な理由は次の利点が得られるからです。
- わずかな岩の出っ張りに靴底の一部が掛かっただけの状態でも体を安定して支えることができる
- 尖った石や岩の上に足を置いても足の裏が痛くならない
靴底が硬ければ、わずかな岩の出っ張りに靴底の一部が掛かっただけの状態でも体を安定して支えることができます。
靴底が硬ければ、尖った石や岩の上に足を置いても足の裏が痛くなりません。
靴底の溝が深い
靴底の溝が深いことが必要な理由は次の利点が得られるからです。
- グリップ性能に優れる
靴底の溝が深いと優れたグリップ性能が得られ、足元が滑りやすい所でも安定して歩くことができます。
富士登山に適した登山靴(トレッキングシューズ)のおすすめ3選
どれも、ハイカット(またはミドルカット)仕様で、防水透湿性を有し、靴底が硬く、靴底の溝が深い物ばかりです。
比較表
キャラバン: トレッキングシューズ C1_02S ゴアテックス | マムート: デュカン ミッド ゴアテックス | メレル: カメレオン8ストームミッドゴアテックス | |
---|---|---|---|
履き口の高さ | ミドルカット | ミドルカット | ミドルカット |
防水透湿性 | 有り(ゴアテクス) | 有り(ゴアテクス) | 有り(ゴアテクス) |
サイズ設定(cm) | 男女兼用:22.5、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0、25.5、26.0、26.5、27.0、27.5、28.0、28.5、29.0、30.0 | 男性用:25.0、25.5、26.0、26.5、27.0、27.5、28.0、28.5、29.0、29.5、30.0、30.5、31.0、31.5 女性用:22.0、22.5、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0、25.5、26.0、26.5、27.0 | 男性用:25.0、25.5、26.0、26.5、27.0、27.5、28.0、29.0、30.0 女性用:22.5、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0 |
片足分の参考重量 | 590g(26.0cm) | 470g(25.5cm) 400g(23.0cm) | 510g(27.0cm) 430g(24.0cm) |
キャラバン:トレッキングシューズ C1_02S ゴアテックス
比較的重いことは承知の上で比較的安価な物を望む人にはコレがおすすめです。
登山入門者から経験者まで幅広く支持され、富士登山にも適した、キャラバン社の代表的なトレッキングシューズです。
比較的安価です。
比較的重いのが残念な点ですが、その代わり、耐久性に優れます。
★ 男女共用
マムート:デュカン ミッド ゴアテックス
比較的高価なことは承知の上で比較的軽い物を望む人にはコレがおすすめです。
日帰りのハイキングからレベルの高い登山まで多目的に使うことができ、富士登山にも適したトレッキングシューズです。
比較的軽いため、足を運びやすく疲れにくいという利点も備わっています。
比較的高価なのが残念な点です。
★ 男性用
★ 女性用
メレル:カメレオン8ストームミッドゴアテックス
おしゃれなデザインの物を望む人にはコレがおすすめです。
機能性に優れ、富士登山にも適したトレッキングシューズです。
更にはファッション性も加わり、アウトドアでもタウンでも幅広く活用できます。
幅が細めに作られているため足に合わない場合もあるかもしれません。
★ 男性用
★ 女性用
メレル製のカメレオン 8 ストーム ゴアテックスに関してより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。
富士登山で履くのに適した登山靴(トレッキングシューズ)に関してより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。
富士登山という上級レベルの登山をする際に履くのに適した靴は、端的に言えば登山靴(トレッキングシューズ)です。
登山初心者であれば登山靴(トレッキングシューズ)はお持ちでないと思います。
その際、まともに買えば高額の出費になることは避けられないかもしれません。
それを避けて安く済ませる方法はあります。
その詳細については こちらの記事 をご覧下さい。
2:靴下
登山靴(トレッキングシューズ)を履く時は登山用靴下、つまり、その靴専用の靴下を履きます。
登山用靴下に求められる条件は以下の通りです。
- 厚手
- 丈が登山靴(トレッキングシューズ)の履き口よりも上に来る
- 速乾性
厚手
登山靴(トレッキングシューズ)を履く足に履くのに適した靴下の厚みは「厚手」の靴下です。
理由は、硬い登山靴(トレッキングシューズ)との当たりを和らげるクッション性を得ることと、フィット具合を高めるためです。
靴下はどなたもお持ちだと思いますが、「厚手」と言われる厚みがある靴下をお持ちの人はなかなかいらっしゃらないと思います。
仮に今お持ちの靴下で間に合わせようとするならば、靴下を重ね履きするという方法があります。
ですが、ビジネス用の薄い靴下では、重ね履きしても厚みが足りません。
スポーツ用ソックスでも三枚くらい重ねないと必要な厚みに到達しないかもしれません。
靴下を重ね履きして歩いていると、中でズレるなどして履き心地が悪くなることがありますのでご注意下さい。
丈が登山靴(トレッキングシューズ)の履き口よりも上に来る
靴下の丈(かかとから履き口までの長さ)は、靴の履き口よりも靴下の履き口が上に来る長さになる必要があります。
理由は、靴の履き口部分と脚が擦れるのを保護するためです。
下の図のようになればOKです。
下の図のようではNGです。
速乾性
登山で履く靴下には速乾性も必要です。
なぜならば、靴下は素肌に直接身に着ける衣類の一つです。
登山をする時に素肌に直接身に着ける衣類は、どれも速乾性が必須です。
登山とは時には大量の汗をかく激しい運動でもあります。
かいた汗で濡れたままの衣類を身に着けていると、体温を過剰に奪われ、最悪の場合は命を失います。
それを避けるために、登山をする時に素肌に直接身に着ける衣類は、どれも速乾性が必要なのです。
このことは靴下にも当てはまります。
なので、登山で履く靴下には速乾性も必要なのです。
富士登山に適した靴下のおすすめ3選
キャラバン:RLメリノ・アルパイン
履き心地の良さを重視するならこれがおすすめです。
右足用と左足用とで別々に専用設計されています。
左右の指先形状に沿って親指側を長く高く、小指側を短く低くするなどの立体成型でフィット性が高く履き心地良くできています。
1954年に創業し登山靴作りから始めた日本のメーカーによる靴下で、日本人の足にフィットしやすく作られています。
メリノウール主体の素材構成で、保温性、吸汗性に優れています。
★ 男女共用
ダーンタフ:ハイカー ブーツソック フルクッション
耐久性の高さを重視するならこれがおすすめです。
生涯保証制度もあります。
右足用も左足用も共通です
メリノウール主体の素材構成で、保温性、吸汗性に優れています。
つま先部分の縫い目を無くし履き心地を良くしています。
★ 男性用
★ 女性用
ノースフェイス:テックソックス トレッキングDH メリノ マルチ パイル
保温性よりも速乾性と価格の安さを重視するならこれがおすすめです。
化学繊維主体の素材構成で、速乾性が高められています。
右足用と左足用とで別々に専用設計されています。
比較的安い価格です。
★ 男女共用
富士登山で履くのに適した靴下に関してより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。
3:レインウェア
富士登山で使うレインウェアは以下の仕様・機能・性能を備えていることが必須の条件です。
- 上下セパレートタイプを上下とも
- 生地の耐水圧が20,000mm以上
- 生地の透湿度が20,000g/㎡・24hr以上
- フードの後頭部からドローコードが出ている
- パンツの裾が膝まで開く
これらがなぜ必須であるかを順番にご説明いたします。
上下セパレートタイプを上下とも
富士登山で使うレインウェアは、上下セパレートタイプの仕様の物が上下どちらも必要です。
言い換えると、以下の2つのことを意味します。
- ジャケットのみならずパンツも必要である。
- コートタイプやポンチョタイプは不可である。
パンツも必要な理由は、ジャケットだけでは脚までカバーできないからです。
コートタイプやポンチョタイプが不可の理由は、富士山では強い風雨に見舞われることがあり、横殴りの雨や下から吹き上げるような雨の中ではコートタイプやポンチョタイプのレインウェアでは、風にあおられて雨や風を防ぎきれないからです。
従って、富士登山で使うレインウェアは、上下セパレートタイプの仕様の物が上下どちらも必要なのです。
コンビニや100均でも手に入るようなビニール合羽では全く使い物になりませんので決して持って行かないで下さい。
生地の耐水圧が20,000mm以上
耐水圧とは、しのげる雨の強さがどのくらいかを示す指標です。
富士登山で使うレインウェアならば生地の耐水圧は20,000mm以上が必要です。
なぜならば、富士山のような周りに遮るものが何も無い山では強烈な風雨に襲われることがあるからです。
雨の強さとそれがしのげる耐水圧の目安は以下の通りです。
雨の強さ | しのげる耐水圧の目安 |
---|---|
小雨 | 300mm |
中雨 | 2,000mm |
大雨 | 10,000mm |
嵐 | 20,000mm |
つまり、富士登山で使うレインウェアは生地の耐水圧が20,000mm以上の性能が必要だということです。
生地の透湿度が20,000g/㎡・24hr以上
簡単に言うと、透湿度とは蒸れにくさのことです。
言い換えると、透湿度とは生地がどれだけ素早く水分を排出できるかを示す指標です。
富士登山で使うレインウェアならば生地の透湿度は20,000g/㎡・24hr以上が必要です。
なぜならば、富士登山とは不整地の傾斜道を重い荷物を背負って上り下りする激しい運動だからです。
ちなみに、透湿度を考える上で考慮すべき発汗量の目安は、以下の表の通りです。
運動の程度 | 1時間当たりの発汗量 |
---|---|
安静時 | 約50g |
軽い運動時 | 約500g |
激しい運動時 | 約1,500g |
つまり、激しい運動の一つである富士登山では、1時間当たりの発汗量が1,500gを超える時もあるということです。
これだけの量の水分を排出するためには、結論として、生地の透湿度が20,000g/㎡・24hr以上必要だということです。
フードの後頭部からドローコードが出ている
レインウェアのフードが頭にフィットすることも重要です。
それを可能にするための仕様になっているかどうかの判断材料は、フードの後頭部からドローコードが出ていることです。
つまり、富士登山で使うレインウェアはフードの後頭部からドローコードが出ていることが必須です。
なぜならば、このドローコードを締めて後頭部とフードの間の隙間を無くし、フードが頭にフィットすると、顔を大きく左右に向けてもフードが頭の動きに追随し、フードが視界を遮ることがなくなるからです。
逆に、フードがユルユルだと、顔を大きく左右に向けた時にフードの中で頭だけが空回りし、フードによって視界が遮られかねず、大変危険です。
なので、富士登山で使うレインウェアは、フードの後頭部からドローコードが出ていることが必須なのです。
パンツの裾が膝まで開く
富士登山で使うレインウェアのパンツは裾が膝まで開く仕様になっていることが必須です。
なぜならば、パンツの裾が膝まで開くことで、硬くて大きい登山靴(トレッキングシューズ)を履いたままでも短時間で容易に着脱することが可能になるからです。
ロングパンツよりもショートパンツのほうが着脱がし易いのと同様です。
雨に突然降られても、パンツを素早く履けるため、濡れずに済みます。
雨が止みパンツを履いたままでは暑い時、パンツを素早く脱げるため、時間をロスすること無く次の行動に移れます。
登山用品のレインウェアだからこそ備わっている仕様・機能です。
登山用品ではないレインウェアにはこの様な仕様・機能は無いか、あっても不十分で使いづらいです。
登山用品のレインウェアの中には、開く範囲が膝までに留まらず、下から上まで全開する物もあります。
これだと着脱は更にスムーズに行なえます。
なので、富士登山で使うレインウェアには、パンツの裾がせめて膝まで、あるいはそれ以上開くことが必須なのです。
富士登山に適したレインウェアおすすめ3選
ノースフェイス:
マウンテンレインテックスジャケット
クライムライトジップパンツ
実績と信頼が高いゴアテックスを表地と裏地ではさんだ3層構造の生地が使われていて、防水性、透湿性、耐久性、軽量性に優れたレインウェアです。
ジャケット正面はスライドファスナーとドットボタン(スナップボタン、ホック)の併用で、開閉度をきめ細かく調節できます。
パンツの裾が膝まで開き、容易に着脱できます。
★ 男性用 ジャケット
★ 男性用 パンツ
★ 女性用 ジャケット
★ 女性用 パンツ
モンベル:
ストームクルーザー ジャケット
ストームクルーザー フルジップパンツ
実績と信頼が高いゴアテックスを表地と裏地ではさんだ3層構造の生地が使われていて、防水性、透湿性、耐久性、軽量性に優れたレインウェアです。
パンツの裾がサイドファスナーで全開になるので、最高に容易に着脱できます。
パンツは各サイズとも股下の長さがショート、レギュラー、ロングの3つの選択肢があります。
★ 男性用 ジャケット
★ 男性用 パンツ
★ 女性用 ジャケット
★ 女性用 パンツ
モンベル:
レインダンサー ジャケット
レインダンサー パンツ
実績と信頼が高いゴアテックスを表地と裏地ではさんだ3層構造の生地が使われていて、防水性、透湿性、耐久性、軽量性に優れたレインウェアです。
比較的お値打ちな価格設定です。
パンツは各サイズとも股下の長さがショート、レギュラー、ロングの3つの選択肢があります。
パンツの裾が膝まで開き、容易に着脱できます。
★ 男性用 ジャケット
★ 男性用 パンツ
★ 女性用 ジャケット
★ 女性用 パンツ
富士登山で使うのに適したレインウェアに関してより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。
登山初心者であれば、富士登山という上級レベルの登山の使用条件下でも十分に使い物になる高機能高性能のレインウェアは、お持ちでないと思います。
その際、まともに買えば高額の出費になることは避けられないかもしれません。
それを避けて安く済ませる方法はあります。
その詳細については こちらの記事 をご覧下さい。
4:サバイバルシート
サバイバルシートとは、ポテトチップスの袋の様に、ポリエステルなどにアルミが蒸着された、身体を包めるくらいの大きさの極薄のシートです。
サバイバルシートとは言わず、緊急シート、エマージェンシーシート、エマージェンシーブランケット、ビバークシート、レスキューシート、ヒートシート、断熱シート、保温シート、防寒シート、アルミシート、アルミブランケット等々の別名で呼ばれたりもします。
ですが、ここでは「サバイバルシート」という名前を使わせていただきます。
多くの人が携行しない、あるいはそもそも持っていないかもしれませんが、サバイバルシートも富士登山における必携の装備です。
なぜならば、遭難の予防や非常時の対応のための装備を携行するのが登山の基本だからです。
そして、サバイバルシートもこの「遭難の予防や非常時の対応のための装備」の一つだからです。
サバイバルシートは、例えて言うと、自動車のシートベルトの様な物です。
仮にシートベルトを締めずに自動車に乗っていたとしても、法律違反であるかどうかは別として、普通に乗っているならば、安全上まったく支障なく済むことがほとんどではないでしょうか。
ですが、交通事故に万が一遭遇してしまった時には、シートベルトを締めていることでリスクを減らすことができます。
同様に、遭難の危機や非常事態に万が一直面した時に、サバイバルシートにくるまることによって寒さや冷えから体を守ることができます。
サバイバルシートを持たずに富士登山をしてはいけないという規則は無いかもしれませんが、サバイバルシートも富士登山における必携の装備です。
サバイバルシートは以下の用途で活躍してくれます。
- 山小屋で借りる布団のシーツ代わり
- 山小屋の布団だけでは寒い時
- 持って来た衣類を全て着込んでも寒い時
- 計画通りに行動できず、やむを得ず野宿(ビバーク)する時
- 遭難時
- 休憩時のレジャーシート代わり
- 登山中以外で災害時にも
富士登山に携行するサバイバルシートのおすすめ
Eco Ride World:サバイバルシート
5:ヘッドライト
富士登山で使うヘッドライトは以下の仕様・機能・性能を備えていることが必須の条件です。
- 防水仕様(IPX6以上)
- 明るさ100ルーメン以上
これらがなぜ必須であるかを順番にご説明いたします。
防水仕様(IPX6以上)
富士登山で使うヘッドライトならば防水性能がIPX6以上の物が適します。
なぜならば、富士山ではたたきつけるような激しい雨が降ることがあります。
これほどまでに激しい雨の中での使用にも耐えられる防水性能はIPX6以上だからです。
なので、富士登山で使うヘッドライトはIPX6以上の防水性能の物が必携なのです。
明るさ100ルーメン以上
例えば頂上付近でご来光を見る計画のように夜の登山道を歩くならば、100ルーメン以上の明るさが得られる照射性能が必要です。
なぜならば、明るさ100ルーメンが、夜間でも登山道の状況がある程度しっかりと分かり安全に歩くことができる最低の明るさだからです。
なので、富士登山で使うヘッドライトは明るさ100ルーメン以上の物が必携なのです。
富士登山に適したヘッドライトのおすすめ
GENTOS(ジェントス):VA-05D
登山で使うのに適したヘッドライトに関してより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。
6:肌着と行動着
富士登山をする際に身に着ける肌着と行動着は、以下の仕様・機能・性能を備えていることが必須の条件です。
- 速乾性
なぜならば、富士登山をしていると汗だくになるほど大量の汗をかくこともあります。
そんな時、汗で濡れたままの服を着ていると、体が過剰に冷やされてしまい、最悪の場合は死に至ります。
それを避けるために、富士登山をする際に身に着ける肌着と行動着には速乾性が必須なのです。
単に速乾性とは言わず、吸汗速乾性と言うこともありますが、商品がどちらをうたっていてもOKです。
その、速乾性があるとは、具体的には素材がポリエステル製であることと同義です。
つまり、富士登山で着る肌着と行動着はポリエステル製の物を使って下さい。
他方、木綿製の肌着や行動着は絶対に厳禁です。
なぜならば、木綿素材には速乾性が無いからです。
ポリエステル製の肌着や運動用のジャージをお持ちなら、それらは富士登山で使うのに適しています。
それらを使えば追加の出費を抑えることができます。
お持ちでなければ、以下の製品がおすすめです。
富士登山に適した肌着と行動着のおすすめ
モンベル:ジオライン L.W. Tシャツ
★ 男性用肌着(上)
★ 女性用肌着(上)
ミズノ:ドライベクター エブリ トランクス、ショーツ
★ 男性用肌着(下)
★ 女性用肌着(下)
富士登山に適した吸汗速乾インナーに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
ミズノ:マジックドライ長袖トレイルシャツ
★ 男性用行動着(上)
★ 女性用行動着(上)
富士登山用の行動着に適した長袖シャツに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
ノースフェイス:アルパインライトパンツ
★ 男性用行動着(下)
★ 女性用行動着(下)
富士登山用の行動着に適したズボンに関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
7:リュックサック(バックパック)
富士登山中の持ち物を入れるかばんはリュックサック(バックパック)タイプであることが前提です。
なぜならば、リュックサック(バックパック)タイプのかばんであれば、
- 両手を自由に使うことができる。
- 体を大きく動かしてもかばんが揺れない。
- 荷物が大きく重くても楽に持ち運べる。
という利点が得られるからです。
リュックサック(バックパック)タイプのかばんであることを前提に、富士登山で使うならば、更に以下の条件を満たす物を使って下さい。
- 容量が30リットル程度。
- 容量に見合ったレインカバーも必携。
- ウエストストラップ付きが望ましい。
容量30リットル程度
富士登山で使うリュックサック(バックパック)ならば、容量30リットル程度の物が適しています。
なぜならば、この程度の容量が、一泊二日山小屋泊登山で必要な荷物が丁度収まる容量だからです。
今後も仮に登山をする機会があるならば、容量30リットル程度が、日帰り登山から山小屋泊登山まで広く使用可能な、汎用性が高い容量のリュックサック(バックパック)です。
レインカバー
富士登山で使うリュックサック(バックパック)には、その容量に見合った大きさのレインカバーも合わせて持って行く必要があります。
なぜならば、富士山では横殴りの激しい風雨に見舞われることがあるからです。
「山の天気は変わりやすい」と言われる通りで、登山中に雨に降られたら人間がレインウェアを着るのと同様に、リュックサック(バックパック)にはレインカバーを被せます。
なので、富士登山ではリュックサック(バックパック)に被せるレインカバーも必携です。
ウエストストラップ
登山用に特定しなければ、リュックサック(バックパック)の一つや二つくらいはお持ちの方もいらっしゃると思います。
ところで、そのリュックサック(バックパック)にはウエストストラップも付いているでしょうか?
富士登山で使うリュックサック(バックパック)ならば、ウエストストラップ付きの物が望ましいです。
なぜならば、ウエストストラップがあることで、以下の利点が得られるからです。
- 荷重を腰にも分散して支えられる。
- 体に的確に固定できる。
- ウエストストラップに設けられたポケットに小物を収納できる。
ですが、装備費用を安く抑える目的で、登山用のリュックサック(バックパック)を使わずに、既にお持ちの街使い用のリュックサック(バックパック)で間に合わせようとするならば、それが決してダメな訳ではありません。
ただし、以下のような難点があることを覚悟した上でご使用下さい。
- 肩だけに荷重が集中する。
- 不自然な体勢になると背中から多少動く。
- 使い勝手が悪い。
- 傷や汚れが付く。
これらを避けたいならば、出費は増えてしまいますが、登山用のリュックサック(バックパック)を使うことをおすすめします。
また、いずれにしても適した大きさのレインカバーは必携です。
富士登山に適したリュックサック(バックパック)のおすすめ5選
どれも専用のレインカバーが付属しています。
ミレー:
サース フェー 30+5(男性用):
サース フェー 30+5 LD(女性用)
使い勝手と背負い心地のバランスの良さを重視して堅実に選ぶならばコレがおすすめです。
★ 男性用(M,Lサイズ)
★ 女性用(Sサイズ)
ミレー:
ウビック30(男性用)
ウビック30W(女性用)
将来発展的に使うことも視野に入れて選ぶならばコレがおすすめです。
★ 男性用
★ 女性用
ドイター:
フューチュラ プロ 36(男性用)
フューチュラ プロ 34 SL(女性用)
背面の通気性の良さを重視して選ぶならばコレがおすすめです。
★ 男性用
★ 女性用
ノースフェイス:
テルス35(男性用)
Wテルス30(女性用)
二気室構造を必要としないならばコレがおすすめです。
★ 男性用(M,Lサイズ)
★ 女性用(M,Lサイズ)
カリマー:
ランクス 28 タイプ1(ユニセックス)
軽量性を重視して選ぶならばコレがおすすめです。
★ 男女兼用
富士登山で使うのに適したリュックサック(バックパック)に関してより詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
富士登山に掛かる装備費用を安く抑える8つの方法
以上でお話しした注意点を守って富士登山で使う装備を揃えれば、初心者のあなたでも失敗することはおそらく無いでしょう。
ですが、費用を安く抑えるという観点からはズレた製品選びになってしまっていることも否めません。
そこで、ここでは富士登山に掛かる装備費用を安く抑える8つの方法を簡単にご紹介いたします。
富士登山という上級レベルの登山で実用に耐え得るスペックの装備を整えつつ、出費を上手に抑えて下さい。
- 1:特売品を購入
- 2:中古品を購入
- 3:使用後に売却
- 4:レンタルを利用
- 5:一つのアイテムを多用途に転用
- 6:登山用品でなくても間に合う物を富士登山に流用
- 7:登山用品を日常生活でも積極活用
- 8:災害時の非常持ち出し用品と兼用
詳しくは こちらの記事 をご覧下さい。
要点を押さえて装備費用を安く抑える
富士登山で使う装備に関して、登山用品ではない汎用品やロースペック品のような安価な物で済む物と済まない物があります。
そして、その、安価な物では済まない物を安価な物で無理やり代用するのは無謀です。
装備費用を安く抑えたい気持ちはわかりますが、富士登山は上級レベルの登山です。
あなたが初心者だからと言って自然は手加減してくれません。
実施しようとしている活動のレベルに見合った装備が必要な場合はそれに従うしかありません。
その上で、出費を安く抑える方法を探すのが適切な対処方法です。
安価な装備で富士登山に臨み、装備費用を安く抑えることに成功したとしても、その装備の機能や性能が低かったがために命を落としてしまっては元も子もありません。
たとえ高価だったとしても、富士登山という上級レベルの登山で使って十分に用をなす装備を整えて、あなたも安全に快適に富士登山を楽しんで下さい。
その際、まともに買えば高額の出費になりかねない装備費用を安く済ませる方法はあります。
その詳細については こちらの記事 をご覧下さい。
富士登山で必要になる服装や持ち物全般についてより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。
服装や持ち物に限らず、準備段階から実行段階までの富士登山の全体像に関してより詳しくは、こちらの記事 をご覧下さい。