登山で膝痛になる原因と即効性のある9つの対策!本質的対策も合わせて紹介!

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脚に大きな負担が掛かる登山をしていると膝に痛みが出てお困りの人もいると思います。

その対策として、運動して筋力を鍛えるなど身体的な弱点を克服すれば解決するという正論が語られています。

この対策は、確かに本質的で適切ですが、成果が現れるまでに時間がかかり、いざ登山に出掛けて実際に膝に痛みが出てから行なっても間に合いません。

そこで今回は、これらの対策と共に、手っ取り早く効果が得られる即効性のある方法についてお話しいたします。

登山で膝が痛む3つの原因

一言で膝の痛みと言っても、痛む原因も、痛みが出る箇所も、幾つかあります。

1.着地時の膝への“衝撃”

膝関節とは、膝の上部の骨(大腿骨)と膝の下部の骨(脛骨)の接続部分です。

これらの骨の末端(骨が隣りの骨と接する部分)は軟骨で覆われており、軟骨がある為に関節が滑らかに動いてくれます。

登山の様な脚に大きな負担が掛かる運動では、着地する度に膝の軟骨にも大きな衝撃が加わることが原因で、ひどい場合は軟骨が擦り減って変形したり滑らかに動かなくなったりします。

この時に炎症が起こり痛みを感じるのです。

この場合は膝関節内部の内側で炎症が起きています。

いわゆる変形性膝関節症はこれに当てはまります。

この場合は、治るまでに一般に三カ月ほどかかり、その間は登山の様な膝に大きな負担が掛かる行為は避けます。

2.膝の屈伸に伴う“摩擦”

傾斜地を長時間・長距離にわたり歩く登山では、何度も膝の曲げ伸ばしを繰り返します。

この膝の曲げ伸ばしを繰り返すことに伴い、膝関節を構成する靭帯や腱などが骨と擦れることが原因で炎症が起こり痛みを感じることがあります。

膝関節内部の前面下側が痛い場合は膝蓋下脂肪体で炎症が起こっている可能性があります。

膝関節外部の外側が痛い場合は腸脛靭帯で炎症が起こっている可能性があります。

膝関節外部の内側が痛い場合は鵞足(がそく)で炎症が起こっている可能性があります。

これらの場合はしばらく休憩していると治まることが多いです。

3.膝に繋がる“筋肉の疲労”

筋肉が元気ならば、先に紹介した2つの原因によって痛みが起こらないように筋肉が支えてくれます。

ですが、普段とは異なり不整地の傾斜地を重い荷物を背負って歩く登山では、上る時は体を持ち上げるために、下る時は勢いを受け止めるために、いずれにしても脚の筋肉に大きな負荷が掛かります。

当然、筋肉は疲労します。

その結果、関節が不安定になり、炎症が起こりやすくなり、痛みが生じるのです。

なぜならば、筋肉が疲労すると、筋肉が収縮する動きも弛緩する動きも悪くなります。

例えば、筋肉が十分に収縮しなければ、膝関節を構成する各組織を十分に支えることができなくなるからです。

他方、筋肉が十分に弛緩しなければ、膝関節を構成する各組織の位置関係が崩れて不自然な状態になるからです。

筋肉が疲労することによって、このように関節が不安定になり、炎症が起こりやすくなり、痛みが生じるのです。

ちなみに、後ほど対策の所でお話しするテーピングやサポーターやサポートタイツは、筋肉が疲労して筋力が低下することを補う働きをします。

筋肉が疲労していなければ、自前の筋肉がテーピングまたはサポーター、あるいはサポートタイツの役割をしている訳です。

装備や道具で効果をすぐに得る5つの対策

ここで紹介する5つやその後に紹介する全ての方法を含めて複数を実施して構いません。

どれか一つの対策のみを実施するにとどめておく必要はありません。

入山から下山まで全行程を通して使って構わないものもあります。

方法効果、長所短所価格の目安
テーピング目的に応じて張り加減の調節が可能。
装着してもかさ張らない。
貼り直しが利かず、貼るのに熟練を要する。
一緒にハサミを持参する必要あり。
長時間貼り続けたり、はがす時に肌が荒れる。
使い捨てのため長い目で見ると高コスト。
一巻き数百円
サポーター固定力の強さを変えられる物もある。
必要が生じた時に短時間で装着できる。
服の上から装着できる物もある。
頻繁に使うなら割安。
それなりの厚みがありかさ張る。2千円超
ストック
(トレッキングポール)
安定した姿勢を保つことができる。
脚に掛かる負担の一部を腕に受け持たせることで脚力を補うことができる。
荷物が増える。
比較的高価。
数千円~
サポートタイツテーピングの機能が付加されたタイツ。
痛みが出る前や入山時から装着して良い。
比較的高価。数千円~一万数千円
インソール足のねじれの矯正や衝撃吸収に効果がある。
痛みが出る前や入山時から使用して良い。
矯正目的では専門知識が必要。
靴の履き心地が変わる。
千円~

1.テーピング

膝関節を安定化させる効果が得られ、痛みが軽減されます。

なぜならば、貼ったテープが動きを制限してくれるために、膝関節が過剰に動くことを防いでくれるからです。

貼り方によっては筋力を補助する効果も得られます。

伸縮性のあるテープを使います。

テープを切る時にハサミが必要です。

テープを貼る時の基本は、張り加減を調節しながら引っ張った状態で貼りますが、テープの両端だけは引っ張らずに貼ります。

貼り方は、調べると様々なバリエーションがありますが、いずれにせよ、必要条件は膝のお皿の周りを囲む様に貼ることです。

次の動画を参考に貼ると良いでしょう。

2.サポーター

膝関節を安定化させる効果が得られ、痛みが軽減されます。

なぜならば、装着したサポーターが動きを制限してくれるために、膝関節が過剰に動くことを防いでくれるからです。

締め具合を調節することができる物がおすすめです。

3.ストック(トレッキングポール)

ストック(トレッキングポール)を使うと、上りでは、腕の力も推進力に変えることができるため脚力の消耗を抑えることができます。

また、足元が不安定な所では、腕の力も使って体を安定して支えることができるため、これも脚力の消耗を抑えることができます。

下りでは体を支える箇所を分散させることができるため、着地時に脚や膝に掛かる衝撃や負担を軽減させることができます。

ストック(トレッキングポール)を使うことによってこれらの効果が得られるため、膝の痛みが生じにくくなります。

ストック(トレッキングポール)に関してより詳しく知りたい方は こちらの記事 をお読み下さい。

脚の疲れや膝痛予防に有効!トレッキングポールおすすめ6選!脚の疲れや膝痛予防に有効!トレッキングポールおすすめ6選!

4.サポートタイツ

タイツには「締め付ける」という意味も含まれます。

サポートタイツとは、テーピングの機能が付加されたタイツという理解で大筋は合っています。

サポートタイツを履くことによって、膝関節が安定化し、脚の筋力が補われるという効果が得られます。

サポートタイツに関してより詳しく知りたい方は こちらの記事 をお読み下さい。

登山時の膝痛対策にはサポートタイツ!選び方とおすすめ3選!登山時の膝痛対策にはサポートタイツ!選び方とおすすめ3選!

5.インソール

インソールを適切な物に替えることによって膝の痛みが出にくくなる場合があります。

なぜならば、高機能・高性能のインソールを使うと

  • 脚の歪みが矯正され、余計な負担が脚に掛からない歩き方ができる
  • 着地時の衝撃がより多く吸収される
  • 足に元々備わっている機能をより効果的に発揮させてくれる

等の効果が得られるからです。

インソールは、単に出来合いのシートを足の形に合わせて切り取っただけの、有り合わせに近い物も中にはあります。

ですが、物によっては高度な理論と技術の下で精密に設計された高機能製品もあります。

あなたの症状に合ったインソールを適切に選べば大きな効果が期待できます。

インソールに関してより詳しく知りたい方は こちらの記事 をお読み下さい。

登山靴にインソールを入れて痛みや疲労を軽減!膝痛や偏平足等に有効なおすすめ8選!登山靴にインソールを入れて痛みや疲労を軽減!膝痛や偏平足等に有効なおすすめ8選!

薬で痛みを和らげる4つの対策

ここで紹介する方法は、痛みの元凶を改善する訳ではなく、痛みを主に感じにくくする方法です。

従って、一時的には動けたとしても、下手をすると、症状を悪化させてしまいかねません。

なので、他に方法が無い場合に限って実施するのが無難です。

つまり、次で紹介する根本的な対策や、先に紹介した装備や道具などの活用を優先し、非常事態に陥りかねない緊急時にのみ採用することをお勧めします。

ちなみに、「非常事態に陥りかねない緊急時」とは、例えば、このままでは痛くて動くことができず、日が暮れて周囲の状況が見えなくなり、山中で一夜を過ごさざるを得なくなりそうな場合のことです。

それを避けるために無理をしてでも下山する場合に限って実施するにとどめておきましょう。

6.飲み薬(内服薬)

痛み止めの飲み薬に関しては、主な物は2種類あります。

薬のタイプ成分薬品名の例
非ステロイド性抗炎症薬ロキソプロフェンロキソニン
非ピリン系解熱鎮痛薬アセトアミノフェンカロナール

非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェン)は、患部での痛みを引き起こす物質の生成を抑えることによって痛み止めの効果が得られます。

非ピリン系解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)は、脳が痛みを感じる感度を低くすることによって痛み止めの効果が得られます。

どちらが適するかに関しては、個人差がありますので、医師や薬剤師に相談するのが良いです。

一般に、非ピリン系解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)の方が効果が比較的穏やかで、副作用(吐き気、食欲不振などの胃腸障害など)が軽いと言われています。

なぜならば、非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェン)によって生成が抑えられる痛みを引き起こす物質は、他で、胃粘膜細胞を保護する作用ももたらすからです。

ちなみに、痛みを引き起こす物質は、プロスタグランジンと言います。

7.塗り薬(外用薬)

痛み止めの塗り薬の主成分は大別して2種類あります。

それらは、ロキソプロフェンナトリウム水和物、あるいは、ジクロフェナクナトリウムです。

これらはどちらも非ステロイド性抗炎症薬に分類されます。

つまり、患部での痛みを引き起こす物質の生成が抑えられることによって痛み止めの効果が得られるのです。

塗り薬のタイプは、軟膏やクリーム、液体タイプ、ゲル、チック剤など色々あり、それぞれで使用感が異なります。

基剤が油性の軟膏の方が比較的刺激が弱く、ベトベトしています。

基剤が親水性のクリームの方がサラッとしていて、比較的刺激が強いです。

液体タイプは更にサラッとしていて広い範囲を塗り広げやすいです。

ゲルは膜を形成して痛い部分を覆います。

チック剤はゲルを固めた物で、手を汚さずに塗ることができます。

8.貼り薬(外用薬)

貼り薬も、塗り薬と同様に、痛み止めの主成分は大別してロキソプロフェンナトリウム水和物か、ジクロフェナクナトリウムの2種類です。

貼り薬のタイプは、テープ剤とパップ剤(湿布)の2種類があります。

膝は歩く度に曲げ伸ばしを繰り返しますので、比較的はがれにくいテープ剤がおすすめです。

貼っている部分の肌がかぶれたりかゆくなったりするのを避けるため、4時間程度貼ったらはがすことをおすすめします。

9.コールドスプレー(冷却剤)

炎症が起こり痛みが生じている場合に、コールドスプレーを使うことによって痛みを抑えることができます。

炎症とは、簡単に言うと、赤く腫れて熱を持ち痛みを感じる症状です。

コールドスプレーには次の様な作用があります。

  • 炎症を鎮める。
  • 炎症の広がりを抑制する。
  • 神経を鈍感にする。

この様にして痛みを抑えることができます。

身体面を改善する本質的な3つの対策

10.休憩、ストレッチ(対処方法)

膝に限らず、痛みが生じた時はむやみに動かず休むのが一番です。

先の「登山で膝が痛む3つの原因」の「2.膝の屈伸に伴う“摩擦”」の項でお示しした例では、しばらく休憩していると治まることが多いです。

筋肉が疲労した場合も、休ませれば回復します。

筋肉を休ませるだけでなく、ストレッチも合わせて行なうとより効果的です。

大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)

かかとがお尻に付くくらいしっかりと膝を曲げます。

何かにつかまって行なうと体が安定します。

ハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)

体を前屈させます。

立ったまま行なっても構いません。

お尻

脚を組んで、組んだ足に胸を近付けます。

腰掛けて行なっても構いません。

ふくらはぎ

アキレス腱を伸ばすポーズで合わせてふくらはぎも伸ばします。

内股

開脚のポーズで行ないます。

片脚ずつ行なっても構いません。

11.歩き方の改善(予防方法その1)

先の「登山で膝が痛む3つの原因」の項でお話ししたうちの「1.着地時の膝への“衝撃”」を防ぐのに有効な対策です。

脚や膝に掛かる負担や衝撃は、実は、上る時よりも下る時の方が大きいです。

上りの時は平気だが、下りになると膝が痛むという方もいるくらいです。

下りの時の歩き方を着地時の膝への衝撃が小さくなるように改善することによって、膝に痛みが出にくくすることができます。

また、脚が捻れないようにすることでも脚への負担を軽減できます。

なぜならば、脚が捻れた状態で歩くと、不自然な余計な力が脚にかかってしまうからです。

以上でお話ししたこれらの対策を実現する歩き方のポイントは3つあります。

  • 歩幅を狭くする。
  • 踏み出す足が着地するギリギリまで軸足で支える。
  • つま先の向きと進行方向を一致させる。

この様な歩き方をすることによって膝に痛みが出にくくすることができます。

普段と異なる歩き方をすると最初はぎこちないかもしれませんが、登山中にその場で実践できるので効果が比較的早く得られることが期待できます。

無意識にできるように体に覚え込ませましょう。

12.筋力強化、トレーニング(予防方法その2)

先の「登山で膝が痛む3つの原因」の項でお話ししたうちの「3.膝に繋がる“筋肉の疲労”」を防ぐのに有効な対策です。

それは、膝に繋がる筋力の強化です。

なぜならば、膝に繋がる筋肉が疲労しにくくなれば膝痛も起こりにくくなるからです。

つまり、膝を動かしたり支えたりする筋肉、即ち脚の筋肉を総合的に鍛えることが一つの有効な対策なのです。

脚の筋力強化に有効なトレーニング方法はスクワットです。

スクワットにも幾つか種類があり、鍛えられる筋肉も変わります。

下で紹介する動画を参考に、脚の様々な筋肉を鍛えることがおすすめです。

筋力強化は取り組み始めてから成果が現れるまでにどうしても時間がかかってしまいます。

例えば歯磨きの様な日常的に行なっていることをする際に一緒に行なうなどして習慣化して、普段から取り組むのがおすすめです。

ところで、上で紹介したトレーニング方法は、膝関節の状態がそれなりに良い状態の人に対して有効な方法です。

スクワットをしようとするだけで膝に痛みが生じる人や、いわゆる変形性膝関節症に既になっている人の様に、膝に体重がしっかりかかると痛みが生じる人は、上で紹介した方法では、かえって症状を悪化させてしまいかねません。

その様な人には、スクワットではなく、次の様な方法で大腿四頭筋を鍛えるのがおすすめです。

左右で別々に行ないます。

その方法とは、

  1. 仰向けに横になります。
  2. 左右どちらかの膝裏に、クッション等を丸めて当てがい、膝が15cm程度浮くようにします。
  3. 膝裏のクッションを下に押し付けるようにして脚に力の限り力を入れます。
    この状態を5秒ほど続けます。
    この時、お尻が浮いても構いませんので、かかとが床に付いている状態をキープします。
  4. これを10回繰り返し1セットとします。
  5. 反対側の足でも同様に1セット行ないます。
  6. 左右それぞれ交互に合計3セット繰り返します。

予防と対策で膝痛とは無縁の登山を

身体や脚に日常生活よりもはるかに大きな負荷が掛かる登山をするに当たり、それに耐えられるだけの十分に強靭な肉体を持っているなら、膝の痛みとは無縁かもしれません。

また、それくらいに肉体を鍛え上げられれば、特に対策する必要は無いかもしれません。

身体面を改善することが本質的で有効な対策です。

その上で、装備や道具を、そして時には薬を、有効に適切に活用することによって、膝の痛みから解放され、あなたも快適に安全に山を楽しんで下さい。

この記事を書いた人

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丹羽 英之

登山歴は20年以上。山岳展望や花(高山植物)を見ることが好きで、北アルプスの雲ノ平周辺によく行きます。一人で山に登ることが多く、気ままに山道を歩き、心の癒やしやリフレッシュをすることも登山の目的の一つです。

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