登山にレインウェアはいらないと考えるのは大間違いです。
登山に行くならレインウェアは必携です。
ですが、
- 本当に必要か?
- なぜ必要か?
- どんな基準で選べば良いか?
- 登山時以外にどう扱えば良いか?
等々の疑問が浮かびお困りではないでしょうか。
そこで今回は、これらの疑問にお答えし、用途や目的別に最適なレインウェアをご紹介いたします。
目次
サイト運営者のイチオシ
ノースフェイス:マウンテンレインテックス ジャケット
防水透湿性素材には実績のあるゴアテックスが使われていて、性能も信頼性も高い製品です。
登山という用途で使うのに適した(街使いには無い)機能や性能を備えた優れた製品です。
フロント部分がスライドファスナーとドットボタン留め二重フラップの組み合わせになっているため、密閉したい時も適度に開放したい時も、開閉度合いを柔軟に調節できます。
フードは襟の中に収納できる仕様になっています。
軽量性を推進するよりは耐久性や保温性を優先した製品で、一年を通して使えます。
男性用
女性用
モンベル:レインダンサー パンツ
性能も信頼性も高い防水透湿性素材であるゴアテックスが使われている各メーカーの製品の中で最安と言える低い価格設定の製品です。
高機能・高性能である割にはお値打ちに手に入ります。
各ウエストサイズにおいて、パンツの股下の長さがレギュラーモデルと、それより6㎝短くしたショートモデルと、6㎝長くしたロングモデルの3つの選択肢があります。
登山という用途で使うのに適した(街使いには無い)機能や性能を備えています。
軽量性を推進するよりは、どちらかと言うと、耐久性や保温性に優れた製品です。
男性用
女性用
登山におけるレインウェアの必要性と4つの役割:雨だけでなく、風・寒さ・汗対策にもなる!
登山中に雨に降られれば、もちろんレインウェアを着て対処しますが、雨じゃなくても登山中にレインウェアを着る場面が確実にあります。
登山においてレインウェアは次の4つの全てに対する備えになり、安全に快適に順調に登山するために欠かせない必須の装備です。
- 1:雨対策
- 2:風対策
- 3:寒さ対策
- 4:汗(暑さ)対策
1:雨対策
山の天気は変わりやすいと言われる通りで、登山中に天気が急変して雨に降られることがあるため雨具が必要です。
服や体が濡れることによる体温低下を防ぐために、雨に降られれば、もちろんレインウェアを活用します。
2:風対策
稜線や山頂付近では強い風にさらされることがあるため防風着が必要です。
風を遮り体温低下を防ぐウィンドブレーカーの役割もレインウェアが受け持ってくれます。
3:寒さ対策
山とは標高が高い、従って下界よりも気温が低い所なので、寒い時に重ね着をするための防寒着が必要です。
レインウェアは防寒着としても役立ちます。
4:汗(暑さ)対策
登山用レインウェアには、外部からの雨水や冷気の侵入を防ぐだけでなく、内部で生じた汗や熱を排出する役割も求められます。
なぜならば、雨による濡れを防ぐことができたとしても、かいた汗を排出できなければ、結局は濡れてしまい不快で危険な状況に陥りかねないからです。
そうならず、かいた汗を排出する機能(透湿性)も登山用レインウェアには備わっています。
登山用レインウェアは体温調節のための高機能衣類
登山をする際、雨に降られれば、もちろんレインウェアを、文字通り、雨具として活用し、服や体が濡れて過剰に冷やされることを防ぎ、体力の消耗や低体温症のリスクを軽減します。
濡れる要因が、雨ではなく自分がかいた汗であっても、登山用レインウェアに備わっている透湿性によって服や体が濡れて過剰に冷やされることを防げます。
濡れだけでなく、風や寒さからあなたを守る役割もレインウェアは担ってくれます。
例えば風が強い稜線や山頂付近では、レインウェアを防風着として活用することで、体感温度の低下を防ぎ、集中力を維持できます。
標高が高く気温が低い山では、レインウェアを防寒着として活用することで、寒さをしのぎ快適に過ごすことができます。
つまり、登山においてレインウェアとは、雨具にもなる防風防寒着であると認識する方が的確かもしれません。
登山用レインウェアは、単なる雨具にとどまらず、防水・防風・防寒・透湿機能を備えた高機能ウェアであり、一つで幾つもの役割をこなす登山には無くてはならない装備なのです。
登山用レインウェアの特徴
登山用レインウェアは、以下に示す様々な特徴を備えているため、登山という用途で大いに役立つ優れ物です。
- 防水性:
外部からの水の侵入を防ぐ仕様や作りになっています。 - 透湿性:
かいた汗を水蒸気として外部に逃がし、蒸れを防ぎます。 - 防風性:
強風にさらされても風を遮り、体温低下を防ぎます。 - 機能性:
快適で安全な登山のために役立つ仕様や機能が満載です。 - 軽量性・コンパクト性:
重量も収納サイズも抑えられ、持ち運ぶ負担も軽いです。 - 耐久性:
登山での使用に耐える丈夫さや長寿命を備えています。
登山に適したレインウェアの選び方
登山では過酷な環境でも安全かつ快適に行動できるレインウェアを選ぶことが大切です。
そのために重要な仕様・機能・性能のポイントを解説します。
上下セパレートタイプを上下とも
登山用レインウェアには上下セパレートタイプの物が適します。
そして、上下ともそろえる必要があります。
言い換えると、ポンチョタイプも、コートタイプも、また、ジャケットのみでパンツが無いのも、どれもダメです。
なぜならば、ポンチョタイプは強風時にバタついて動きづらいからです。
コートタイプは長すぎる裾が邪魔で重く動きづらいからです。
また、レインジャケットだけでレインパンツを履いていないと下半身がずぶ濡れになってしまうからです。
なので、登山に行く際は上下セパレートタイプのレインウェアが上下とも必要です。
防水性能=耐水圧20,000mm以上
登山に使うレインウェアならば、生地の耐水圧が20,000mm以上の物を選ぶことが重要です。
なぜならば、これだけの耐水圧があれば、登山中に想定される様々な状況下で浸水を防げるからです。
例えば、雨の強さとそれがしのげる耐水圧の目安は下の表のとおりです。
雨の強さ | 耐水圧 |
---|---|
小雨 | 300 mm |
中雨 | 2,000 mm |
大雨 | 10,000 mm |
嵐 | 20,000 mm |
また、例えば、濡れた地面に尻もちや膝をついた際にかかる圧の目安は下の表のとおりです。
状況 | 耐水圧 |
---|---|
尻もちをつく | 2,000 mm |
膝をつく | 11,000 mm |
このように、嵐のような暴風雨の下でも、濡れた地面などの上に腰を下ろしたり過って膝をついても生地からの浸水を防げるため、耐水圧20,000mm以上の物を目安に選びます。
透湿性能=透湿度20,000g/㎡/24hr以上
登山に使うレインウェアならば、生地の透湿度が20,000g/㎡/24hr以上の物を選ぶことが望ましいです。
なぜならば、これだけの透湿度があれば、登山中に発汗量が最大になる場面でも、かいた汗を生地の透湿性能だけで排出できるからです。
具体的な登山中の特徴的な場面での運動の激しさと、その際にかく汗を排出可能な生地の透湿度(透湿性能)の目安は下の表のとおりです。
運動の激しさ | 必要な透湿度 |
---|---|
参考:安静時 | 600 g/㎡/24hr 程度 |
軽い登り | 6,000 g/㎡/24hr 程度 |
急坂をハイペースで登る | 18,000 g/㎡/24hr 超 |
つまり、生地の透湿度が20,000g/㎡/24hr以上あれば、登山中にかく汗のほとんど最大量でも排出可能だからです。
逆に、生地の透湿度が6,000g/㎡/24hr以下ならば、軽めの登山をする際にかく汗の排出にも追い付かないため、選択肢から除外します。
ただし、これらの値は、かいた汗の全量を生地の透湿性能だけで排出する前提で必要とされる性能です。
かいた汗の全量を生地の透湿性能だけで排出できるほど高性能の防水透湿性素材を開発するのは困難ですし、高性能素材が使われているレインウェアは高価でもあり、そこまでの出費が難しいかもしれません。
これらも含めて考えると、かいた汗の排出を、生地の透湿性能だけでまかなうのではなく、後述するベンチレーション機能(開閉可能部を適切に開いて換気する方法)も併用するのが一つの効果的で現実的な対処方法と言えます。
ただし、ベンチレーションを開くとそこから雨水が侵入してくる程雨が激しい時にはベンチレーション機能を活用できません。
そんな状況にも対応できることを考慮すると、やはり
生地の透湿度が20,000g/㎡/24hr以上ある物を選ぶことが望ましいです。
防水透湿性素材の違い
防水透湿性素材とは、防水性と透湿性の両方の機能を単体で成し遂げてくれる高機能素材です。
さまざまな防水透湿性素材の中の代表例はゴアテックスです。
ゴアテックスは、最も歴史があるだけでなく、防水性能においても透湿性能においてもトップクラスで、防風性も耐久性も高く、かつては最強かつ唯一と言っても過言ではない防水透湿性素材でした。
他の防水透湿性素材は、機能面、性能面、価格面などでゴアテックスとの違いがあります。
中には、ゴアテックスに無い強みを持っている防水透湿性素材もあり、最近は選択肢に挙がるようになりました。
それぞれの防水透湿性素材の特性も考慮して、あなたが計画している登山に適したレインウェアを選んで下さい。
選ぶときのポイントは以下のとおりです。
おすすめの人 | 防水透湿性素材 | 特徴 |
---|---|---|
どれが最適かの判断に迷う | ゴアテックス | 実績と信頼性が高い定番素材 |
動きやすさ重視 | エバーブレス | ストレッチ性抜群 |
蒸れにくさ重視 | ティフォン50000 | 最高レベルの透湿性能 |
出費を抑えたい | 上記以外 | 低価格設定 |
他の防水仕様
登山用レインウェアは生地が水を通さないだけでなく、他の箇所からの浸水も防ぐことが重要です。
生地以外の浸水箇所 | 防水のための仕様 |
---|---|
顔面、裾 | ドローコードで締める |
袖口 | ベルクロテープで固定 |
ファスナー部分 | フラップで覆う 止水ファスナーを使用 |
縫い目、針穴 | シームテープで覆う |
顔面や裾はドローコードで締めて浸水を防ぎます。
袖口はベルクロテープで止めて浸水を防ぎます。
ファスナー部分はフラップで覆ったり止水ファスナーを使用したりして浸水を防ぎます。
止水ファスナーを採用すると、フラップを減らしたり無くしたりできるため、結果としてウェアを軽量コンパクト化できるというメリットが得られます。
縫い目および針穴にはシームテープを貼り付けて浸水を防ぎます。
このように、登山に使うレインウェアならば、生地からも他の箇所からも浸水を防ぐ仕様や機能が備わっている物を選ぶことが重要です。
生地の仕様(構造、厚さ)およびウェアの重量(軽量性)
登る山の標高や登山に行く季節や登山スタイルによっても適する製品は違ってきますが、本格登山に使うレインウェアならば、以下の4つの条件を満たす物が適します。
- 生地の構造は3層(3レイヤー)構造
- 生地(主に表地)の厚さは15デニール(D)以上
- ジャケットの重量は200g程度以上
- パンツの重量は150g程度以上
なぜならば、これらがどうであるかは、カタログ等を見ればどれも簡単にわかるからです。
そして、これらの条件を満たす物であれば、十分な耐久性や機能や性能等と十分な軽量性が、バランス良く備わっているからです。
なぜ軽量性を話題にしているかと言うと、携行する持ち物や装備が軽いほど体力の消耗を抑えられるため、登山でとても重視される要素だからです。
そして、レインウェアの軽量性を高めると、以下に挙げる利点も同時に得られるからです。
- コンパクトにできる(収納性が高まる)
- 持ち運びやすくなる(携行性が高まる)
- 生地が柔らかくなる(体を動かし易い)
ですが、軽量であればあるほど好都合な訳ではありません。
なぜならば、軽量化を進めると以下のような弊害が生じるからです。
- 保温性能が落ちる
- 生地強度が弱まる
- 寿命が短くなる
- 肌触りが悪くなる
- 機能が省かれる
これらの兼ね合いで上に挙げた条件に当てはまる物が適するのです。
軽量性を優先させるか他の特性を優先させるかは、使う場面によって適切に選んで下さい。
例えば標高1,500m以上の山に出掛けることや、夏のハイシーズン(梅雨明けから8月末頃まで)以外でも登山をすることがある場合は、軽量性よりも保温性や機能性等の他の特性を優先して選ぶことをお勧めします。
例えば夏のハイシーズン(梅雨明けから8月末頃まで)に標高1,000m程度以下の山にしか登山に行かない場合や、スピードハイクやトレラン用に準備する場合のように限定的に使うならば軽量性を優先しても構わないと思います。
フードの仕様
フードに関しては、以下の2点を考慮してお選び下さい。
- ヘルメットの上から被れる大きさが必要かどうか
- ヘルメット着用の有無に関わらず頭にフィットさせられる調節機能があること
例えば富士山や北アルプスの岩稜帯のような、ヘルメットを着用することが推奨される山域へ登山に行くことを計画しているか将来行く可能性があるならば、フードの大きさがヘルメットの上から被れる大きさである必要があります。
また、ヘルメットを着用している時と着用していない時のどちらでもフードを頭にフィットさせる必要があります。
その役割を担うのが、一つは、顔周りの開口部を絞るためのドローコードです。
これを調節することにより、顔面の開口部からの雨水の侵入を防げます。
もう一つが、後頭部とフードとの隙間を無くすドローコードです。
これを調節することにより、首をねじってもフードが頭の動きに追従して視界を確保できます。
これら二箇所の調節機能(ドローコード)はどちらも必須ですので、登山用レインウェアを選ぶ際はこれらの調節機能(ドローコード)が備わっている物をお選び下さい。
ジャケットのポケットの位置
両サイドに配置されているポケットならば、リュックサックのウェストストラップに邪魔されないように、ポケットの下端がジャケットの裾の下端よりも遥かに上にとどめてある物が使いやすいためおすすめです。
胸ポケットならば、リュックサックのショルダーストラップに邪魔されない位置に配置されていると使いやすいためおすすめです。
他の用途を想定して作られたレインウェアはさて置き、登山用のレインウェアであれば大概の物はこの仕様になっているはずです。
ですが、念のため確認して下さい。
パンツの裾が開く
登山用レインパンツは、裾の外側に付いているサイドファスナーによって、少なくとも膝まで裾が開く物がおすすめです。
なぜならば、この仕様になっていると、硬くて大きな登山靴を履いたままでレインパンツを素早く容易に着脱できるからです。
物によっては、下から上まで(裾から腰まで)全開にできる物もあります。
これだと抜群に着脱しやすいです。
ただし、全開にできる物は膝までの物に比べて価格が高くなり、重量も増えることが難点です。
価格の安さや軽量性を優先させたいなら、それでも少なくとも、膝の辺りまで開く物を選んで下さい。
着脱の容易さを優先させるなら、サイドが全開になる物がおすすめです。
ベンチレーション機能
登山用レインウェアにおける「ベンチレーション」とは、「開閉可能部を適切に開いて熱や汗を排出すること」です。
「生地の透湿性能の不足を補いたい」、「ウェアの保温性をきめ細かく調節したい」という目的があるならば、ベンチレーション機能が充実したレインウェアを選ぶことをお勧めいたします。
一方、「生地に十分な透湿性能がある」場合には、ベンチレーション機能は無くて構わないと言えます。
なぜならば、登山中は、かいた汗を生地の透湿性能だけで完全に排出するのが難しいほど大量の汗をかく場合もあるからです。
ベンチレーション機能は生地の透湿性能の不足を補うことができるため、あれば役に立ち、快適に登山できます。
ベンチレーションを意図した具体的な仕様は、脇の下のファスナーです。
他にも、内側の生地がメッシュのポケットと組み合わさったファスナーもベンチレーションとしても活用できます。
フロントファスナーも開閉度合いを調節してベンチレーションの目的で活用することが可能です。
これらのファスナーが備わっていれば、暑い時にそれらを適切に開いて熱や汗を逃がすことも選択肢の一つにできます。
ただし、開口部から逆に雨水が侵入するほどの悪天候時にはベンチレーション機能は使えません。
ですので、安易にベンチレーション機能を当てにせず、生地に十分な透湿性能があることを優先し、ベンチレーションは補助的な機能として扱うべきです。
少しゆとりがあるサイズ
登山用レインウェアのサイズを選ぶ基準は、少しゆとりがあることです。
少しとは、内側にフリース等の防寒着を重ね着した上から着ても窮屈に感じず動きづらくならない程度です。
なぜならば、登山においてレインウェアは雨具にもなる防風防寒着であり、快適に過ごせるように衣類を取捨選択して重ね着する中で一番外側に着る位置付けの服だからです。
なので、内側に防寒着を重ね着した上から着ることを想定し、それでも窮屈に感じず動きづらくならない程度のゆとりがあるサイズを選ぶべきなのです。
視認性の良い色
登山で使うレインウェアなら、色は赤やオレンジや黄色のような暖色系の明るい色が使われている物が、視認性が良いためお勧めです。
なぜならば、以下の利点があるからです。
- 雨や霧などの悪天候下や、朝夕の暗い時間帯の行動でも仲間とはぐれにくい。
- 万が一遭難した時に発見されやすい。
色は、ファッション的な要素もあるため好みが分かれるかもしれません。
ですが、登山のように街から離れた辺ぴな場所で活動する場合は、安全性を考慮することも重要です。
登山用レインウェアにおいては、色も安全性を高める機能の一つということを考えに入れた製品選びをして下さい。
街中で着ることも想定していて、派手な色の物はどうしても嫌だとお考えの方は、後ほど触れるリュックサックのレインカバーだけでも赤やオレンジや黄色のような暖色系の明るい色の物をお選び下さい。
登山に適したレインウェアおすすめ11選
ここで紹介するレインウェアは、全て、先の「登山に適したレインウェアの選び方」の章でお話しした、登山という特殊で過酷な用途に対応可能な機能や性能や仕様を備えたおすすめの逸品です。
これらの中でも、それぞれの製品ならではの強みや特長は異なります。
あなたの目的や好みに合った物をお選び下さい。
登山用レインウェアの売られ方は、上下セット売りされている物も、上下別売りになっている物も、上は有るが下は無い商品展開になっている物もあります。
上下とも同じメーカーの同じ製品で揃えても、異なる製品を組み合わせても構いません。
ですが、いずれにしても、あなたの登山用途に合った適切なレインウェアを上下どちらも携行して下さい。
おすすめ品比較表
メーカー: 品名 | 防水透湿性素材 耐水圧(mm) 透湿度(g/㎡/24hr) | 表地の厚さ(D) 生地構造 重量の目安(g) | フードの仕様 | ジャケットのフロントファスナー または パンツのサイドファスナー | ポケット と ベンチレーション |
---|---|---|---|---|---|
ノースフェイス: マウンテンレインテックス ジャケット | ゴアテックス 非公表 非公表 | 70 D 3層 約485 g(Lサイズ) | 後頭部調節機能あ り。 ヘルメット対応。 襟の中に収納可。 | ドットボタン留め外側二重フラップを併用した通常ファスナーを使用。 | 両脇にサイドポケット一つずつ。 外側一重フラップを併用した通常ファスナーを使用。 ベンチレーションなし。 |
モンベル: レインダンサー ジャケット | ゴアテックス 20,000 mm 以上 25,000 g/㎡/24hr | 50 D 3層 335 g | 後頭部調節機能あり。 ヘルメット対応。 非降雨時も出したまま、ただし、丸めて収納可能。 | 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 | 両脇にサイドポケット一つずつ。 フラップを併用せず、止水ファスナーを単独で使用。 ベンチレーションなし。 |
モンベル: レインダンサー パンツ | ゴアテックス 20,000 mm 以上 25,000 g/㎡/24hr | 50 D 3層 258 g | ー | 膝上まで。 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 | ポケットなし。 ベンチレーションなし。 |
モンベル: ストームクルーザー フルジップパンツ | ゴアテックス 20,000 mm 以上 35,000 g/㎡/24hr | 20 D 3層 217 g | ー | 全開にできる。ただし下からしか開けられない。 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 | ポケットなし。 ベンチレーションなし。 |
モンベル: ストームクルーザー ジャケット | ゴアテックス 20,000 mm 以上 35,000 g/㎡/24hr | 20 D 3層 254 g | 後頭部調節機能あり。 ヘルメット対応。 非降雨時も出したまま、ただし、丸めて収納可能。 | 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 | 両脇にサイドポケット一つずつ。 フラップを併用せず、止水ファスナーを単独で使用。 ベンチレーションなし。 |
モンベル: ストームクルーザー パンツ | ゴアテックス 20,000 mm 以上 35,000 g/㎡/24hr | 20 D 3層 195 g | ー | 膝上まで。 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 | ポケットなし。 ベンチレーションなし。 |
ファイントラック: エバーブレスフォトン ジャケット | エバーブレスメンブレン 20,000 mm 10,000 g/㎡/24hr | 15 D 3層 295 g | 後頭部の隙間と顔周りの開閉度合いを一繋がりのド ローコードで一括調節する仕様。 ヘルメット対応。 非降雨時も出したまま。 | 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 | 左胸外側と右胸内側に胸ポケット一つずつ。 フラップを併用せず、止水ファスナーを単独で使用。 両脇にベンチレーションあり。 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 |
ファイントラック: エバーブレスフォトン パンツ | エバーブレスメンブレン 20,000 mm 10,000 g/㎡/24hr | 15 D 3層 220 g | ー | 股下の高さまで。 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 ダブルスライダ仕様の為、下からも上からも開けられる。 | サイドファスナーがダブルスライダ仕様の為、上から開くことでベンチレーションとして活用できる。 |
ミレー: ティフォン50000ストレッチ ジャケット | ドライエッジティフォン50000 20,000 mm 50,000 g/㎡/24hr | 50 D 3層 304 g | 後頭部調節機能あり。 ヘルメット対応。 非降雨時も出したまま。 携行時はウェアをフード内に収納する仕様。 | 内側一重フラップを併用した止水ファスナーを使用。 ダブルスライダ仕様の為、上からも下からも開けられる。 | 両脇に内側がメッシュ生地のサイドポケット一つずつ。 外側一重フラップ を併用した止水フ ァスナーを使用。 このファスナーがベンチレーションも兼ねる。 |
ミレー: ティフォン50000ストレッチ パンツ | ドライエッジティフォン50000 20,000 mm 50,000 g/㎡/24hr | 50 D 3層 228 g | ー | 膝下まで。 外側二重フラップ を併用した通常フ ァスナーを使用。 | 右腰に内側がメッシュ生地のポケット一つ。 このファスナーが ベンチレーション も兼ねる。 携行時はポケットが本体の収納袋にもなる。 |
ミズノ: ベルグテックEXストームセイバーVI レインスーツ | ベルグテックEX 30,000 mm 以上 16,000 g/㎡/24hr | 40 D 3層 上下合計 約550g (Mサイズ) | 後頭部調節機能なし。 ヘルメット非対応。 襟の中に収納可。 | ジャケットのフロントファスナーはベルクロテープ留め外側二重フラップを併用した通常ファスナーを使用。 パンツのサイドファスナーは膝下まで。 外側二重フラップを併用した通常ファスナーを使用。 | ジャケットには両脇に内側がメッシュ生地のサイドポケット一つずつ。 ベルクロテープ留め外側二重フラップを併用した通常ファスナーを使用。 このファスナーがベンチレーションも兼ねる。 パンツにはポケットもベンチレーションもなし。 |
ノースフェイス:マウンテンレインテックス ジャケット
防水透湿性素材には実績のあるゴアテックスが使われていて、十分な防水性能も透湿性能も備わった信頼性の高い製品です。
フロント部分がスライドファスナーとドットボタン留め二重フラップの組み合わせになっていて開閉度合いをきめ細かく調節できるため、熱や湿気の放出や逆に保温をしたい時も状況に応じて適切に対応できます。
フードは襟の中に収納できる仕様になっています。
今回紹介する中で生地が最も厚いため、軽量性という点では他よりも劣りますが、耐久性や保温性が優れた製品で、一年を通して使えます。
価格が比較的高めです。
男性用
女性用
モンベル:レインダンサー ジャケット
性能も信頼性も高い防水透湿性素材であるゴアテックスが使われている各メーカーの製品の中で最安と言える低い価格設定の製品です。
高機能・高性能である割にはお値打ちに手に入ります。
軽量性を推進するよりは、どちらかと言うと、耐久性や保温性に優れた製品です。
機能や耐久性を損なうこと無く十分に軽量化された製品で、一年を通して使えます。
男性用
女性用
モンベル:レインダンサー パンツ
性能も信頼性も高い防水透湿性素材であるゴアテックスが使われている各メーカーの製品の中で最安と言える低い価格設定の製品です。
高機能・高性能である割にはお値打ちに手に入ります。
機能や耐久性を損なうこと無く十分に軽量化された製品で、一年を通して使えます。
各ウエストサイズにおいて、パンツの股下の長さがレギュラーモデルと、それより6㎝短くしたショートモデルと、6㎝長くしたロングモデルの3つの選択肢があります。
男性用
女性用
モンベル:ストームクルーザー フルジップパンツ
モンベル社のレインウェアの中で最上級の機能や性能を備えたフラッグシップモデルに位置付けられる優れた製品です。
裾が腰まで全開になるサイドファスナーが備わっているため最高に着脱しやすいです。
他の適切な衣類と組み合わせることで一年を通して使うことができます。
各ウエストサイズにおいて、パンツの股下の長さがレギュラーモデルと、それより6㎝短くしたショートモデルと、6㎝長くしたロングモデルの3つの選択肢があります。
男性用
女性用
モンベル:ストームクルーザー ジャケット
モンベル社のレインウェアの中で最上級の機能や性能を備えたフラッグシップモデルに位置付けられる優れた製品です。
今回紹介している中で最も軽量な製品です。
他の適切な衣類と組み合わせることで一年を通して使うことができます。
男性用
女性用
モンベル:ストームクルーザー パンツ
モンベル社のレインウェアの中で最上級の機能や性能を備えたフラッグシップモデルに位置付けられる優れた製品です。
今回紹介している中で最も軽量な製品です。
他の適切な衣類と組み合わせることで一年を通して使うことができます。
各ウエストサイズにおいて、パンツの股下の長さがレギュラーモデルと、それより6㎝短くしたショートモデルと、6㎝長くしたロングモデルの3つの選択肢があります。
男性用
女性用
ファイントラック:エバーブレスフォトン ジャケット
生地の材質がストレッチ性に富んでいるため、動きやすさを重視する人に適する製品です。
ベンチレーションとして活用できるファスナーが両脇に備わっているため、蒸れや暑さにも寒さにもどちらにも対応できます。
フードには音抜き穴が備わっています。
主に春・夏・秋の3シーズンおよび冬の低山での使用に適します。
男性用
女性用
ファイントラック:エバーブレスフォトン パンツ
生地の材質がストレッチ性に富んでいるため、動きやすさを重視する人に適する製品です。
外側のサイドファスナーが股下近くの高さまで開くためとてもスムーズに着脱できる製品ですす。
サイドファスナーはダブルスライダ仕様のため、上から開くことでベンチレーションとして活用可能です。
主に春・夏・秋の3シーズンおよび冬の低山での使用に適します。
男性用
女性用
ミレー:ティフォン50000ストレッチ ジャケット
現状の登山用レインウェアの中で最高レベルの透湿性能を備えているため、蒸れにくさを重視する人に適する製品です。
ストレッチ性も備わっているため動きやすいです。
ポケットの内側がメッシュ生地のため、ポケットのファスナーをベンチレーションとしても活用可能です。
フロントファスナーがダブルスライダ仕様のため、フロントを下部から開放したい時にも便利です。
フードが携行時の収納袋を兼ねています。
気が利く工夫が満載の、出来栄えの良い製品です。
主に春・夏・秋の3シーズンおよび冬の低山での使用に適します。
高価格であることが難点です。
男性用
女性用
ミレー:ティフォン50000ストレッチ パンツ
現状の登山用レインウェアの中で最高レベルの透湿性能を備えているため、蒸れにくさを重視する人に適する製品です。
ストレッチ性も備わっているため動きやすいです。
右側だけですがポケットがあり、内袋がメッシュ生地のため、ポケットのファスナーをベンチレーションとしても活用可能です。
ポケットを開閉するファスナーのスライダがダブルタブ(表側にも裏側にもつまみがある)仕様なので、着用時は表側のつまみでファスナーを開閉しますが、ポケットが収納袋も兼ねているため(ポケッタブル仕様)、携行時はポケットを裏返した中に本体を収納して裏側のつまみでファスナーを開閉します。
気が利く工夫が満載の、出来栄えの良い製品です。
主に春・夏・秋の3シーズンおよび冬の低山での使用に適します。
高価格であることが難点です。
男性用
女性用
ミズノ:ベルグテックEXストームセイバーVI レインスーツ
これまで紹介した物に比べると機能面や性能面で劣りますが、そこまで過酷ではない使用条件ならば程々に使えて、最も低価格設定の製品です。
ポケットの内側がメッシュ生地のため、ポケットのファスナーをベンチレーションとしても活用可能で、透湿性能の不足を補うことも可能です。
フードの後頭部の隙間をなくすドローコードがないため、フードを頭の動きに追従させられません。
パンツの裾は膝下までしか開かず、無いよりはましですが、もっと上まで開く方が着脱しやすいです。
中級レベル以下の登山には使えても、上級レベルの登山には適しません。
上下セット販売です。
男性用
女性用
登山用レインウェアのお手入れ方法と保管方法
登山用レインウェアをきちんとメンテナンスし適切に保管することで、以下のメリットが得られます。
- 高機能・高性能を維持できる
- 長期間快適に使用できる
- コストパフォーマンス(コスパ)を高められる
逆に、不適切に扱うと以下の問題が起こり、快適さや安全性が損なわれます。
- 撥水性・透湿性の低下
- カビや悪臭の発生
- シームテープの剥離
- 生地の劣化
- 防水性の低下
これらを防ぐために、以下の方法を参考に適切に扱って下さい。
洗濯方法
洗濯の頻度は使用後毎回、タイミングは、理想は、使用後すぐに洗濯することでレインウェアの寿命が延びます。
注意点
- 洗濯表示の指示に従います。
- 洗濯機の使用が可の物も、手洗い限定の物もあります。
- 洗濯ネットの使用が推奨される物もあります。
- 中性洗剤(アウトドアウェア専用洗剤が最適)を使用します。
- 柔軟剤や漂白剤はNGです。
- 30℃または40℃以下のぬるま湯で洗うことを指示されている物もあります。
タグがある場所がポケットの内側という物もあります。
洗濯の手順
- ポケットの中身は取り出し、ドローコードは緩め、ファスナーやベルクロやボタン類は全て閉じます。
- 汚れがひどい箇所は中性洗剤を薄めた液で予め優しく手洗いします。
- 洗濯機の「手洗いコース」または「ドライコース」でソフトに洗います。
- すすぎは2回以上しっかり行います。
- 脱水は短時間(1分以内)で軽く行います。
- 風通しの良い日陰で十分に陰干しします。
撥水性回復
撥水性が低下すると、透湿性が損なわれ、生地が水を吸って重くなり、不快感や冷えにつながるため、十分に撥水性を回復させて下さい。
撥水性回復をする前に洗濯をして汚れを落としておきます。
撥水性回復の方法
下に示した方法のうちのどれか一つでOKですが、撥水剤を使用した後に更に熱を加えると撥水効果が高まる撥水剤もあります。
- 熱を加える方法(撥水性の低下が軽度の場合)
●アイロン:スチームなし、当て布をして低温(80~120℃)でアイロンをかけます。
●ドライヤー:10cmほど離して均一に温風を当てます。
●衣類乾燥機:20分ほど温風乾燥させます(使用可能な物に限ります)。 - 撥水剤を使用する方法(撥水性の低下が著しい場合)
●スプレータイプ:均一に吹き付け、風通しの良い日陰で十分に乾かします。
●浸漬タイプ:撥水剤を混ぜた水に浸し、すすがずに風通しの良い日陰で十分に乾かします。
注意点
- 洗濯表示に従い、熱を加える場合はそれが可能かどうかを確認して下さい。
- 乾燥機禁止やアイロン禁止のマークが記されている物は熱を加えないで下さい。
- 洗濯した後、乾かさずに使用する撥水剤も乾かしてから使用する撥水剤もどちらもあります。
- 引火の危険がある撥水スプレーは火気のない屋外で使用して下さい。
- 吸い込むと有害な成分が含まれる撥水スプレーは風通しの良い場所や屋外で使用して下さい。
- レインウェアを身に着けて、つまり人体に向けてスプレーを吹き付けることはおやめ下さい。
- シミや変色が起こる可能性があるため、目立たない箇所で試して下さい
撥水スプレー及び撥水剤に関する詳細およびおすすめ品に関しては、こちらの記事をお読み下さい。
保管方法
以下に示すポイントに注意して適切に保管することで、劣化を防ぎ、長期間快適に使用できます。
保管のポイント
- 袋から出しハンガーに吊るして、折り目を付けず密封状態にせずに保管して下さい。
- 湿気や防虫剤や直射日光を避け、風通しの良い日陰で保管して下さい。
逆に言うと、使用後に濡れたまま収納袋に詰め込んだ状態で車のトランクなどに放置するのはダメです。
ゴアテックスウェアのお手入れ方法および保管方法に関しては、ゴアテックス公式サイトでも詳しく紹介されています。
ご興味がある方は こちらのページ をご覧下さい。
あるいは、下の動画をご覧下さい。
登山用レインウェアに関するよくある質問とその答
Q:ビニールガッパじゃダメですか?
A:ダメです。登山にビニールカッパは適しません。
なぜならば、ビニールガッパは、例えば透湿性が無いため中が汗で濡れてしまったり、例えば生地強度が弱いため簡単に破れてしまったりして、登山現場では使い物にならないからです。
登山には登山という特殊で過酷な使用状況に十分耐える仕様や機能や性能を備えた登山用レインウェアを使って下さい。
Q:登山用レインウェアは高価なので、安価な物で済ませたいのですが?
A:初心者は安価なエントリーモデルで構わないという考え方は、登山用レインウェアを選ぶ際は通用しません。
自分は初心者だから「まずは安くて手軽な初心者向けの登山用レインウェアから始めたい」というお気持ちはわかります。
ですが、どのレベルのレインウェアを選ぶかは、あなたのこれまでの登山経験値で決めるのはなく、登ろうとしている山の難易度で決めて下さい。
なぜならば、自然が相手だからです。
例えば、あなたが初心者であることを理由に機能や性能が低いロースペックのレインウェアを上級レベルの登山に持って行ったとして、「相手が初心者だから自然が手加減してくれる」ということはあり得ません。
なので、レインウェアの価格(安さ)という要素は優先順位を下げて、登ろうとしている山の登山レベルに対応可能で、使い勝手が良い仕様や機能や性能が備わっている物を選んで下さい。
登山用レインウェアには、価格に見合う価値があります。
とは言え、次にいつ使うか分からない物に高額の出費は避けたいと考えるのもごもっともです。
それならば、レンタルという方法もあります。
あなたが登ろうとしている山の登山レベルに見合う適したレインウェアを見付けたら、例えば、 やまどうぐレンタル屋 という登山用品レンタル業者でレンタルしてはいかがでしょうか。
Q:止水ファスナーの方が高性能だと思いますが、どのような場合に止水ファスナーを選ぶのが適切ですか?
A:最初に結論を述べるなら、あなたにとって適した登山用レインウェアを選ぶ際に、止水ファスナーが使われているかどうかは特に考慮する必要はなく、他の要素を基に決めて構いません。
どういうことかと言うと、ファスナー単体で比べると、通常ファスナーよりも止水ファスナーの方が確かに防水性能は高いです。
ですが、止水ファスナーを使うことで得られる効果は、防水性能を高めることよりも、軽量化できることです。
なぜならば、通常ファスナーは言うに及ばず、止水ファスナーでさえも実は完全防水ではありません。
そこで、防水性能が劣る通常ファスナーを使う場合は、ファスナーに加えてフラップ(雨返し)で厳重に覆うことでレインウェアに求められる防水性能が備わります。
通常ファスナーの代わりに止水ファスナーを使うと、ファスナーの防水性能が高い分、フラップ(雨返し)を減らすことができます。
なので、止水ファスナーを使うと軽量化できるのです。
とは言え、ウェアの重量を左右する主な要素は生地自体の重さ(厚さ)で、フラップ(雨返し)の多少による影響はそこまで大きくありません。
つまり、止水ファスナーが使われているかどうかは、レインウェアの性能を左右する要素にはほとんどなりません。
例えば生地の厚さならば、保温性を優先するか軽量性を優先するかで、厚い物と薄い物のどちらが適するかが分かれます。
ですが、レインウェア全体で考えた場合、使われているファスナーが止水ファスナーであることが、特に有利に働く場面も不利に働く場面もどちらもありません。
なので、私は冒頭で、選ぶ際に特に考慮する必要はなく他の要素を基に決めて構わないと言ったのです。
止水ファスナーを使うことで得られる利点として、デザイン性に優れスタイリッシュな見た目にできるという副次効果もあります。
なので、見た目で選んだら結果的に止水ファスナーを選んでいたということがあるかもしれません。
一方で、止水ファスナーには、通常ファスナーに比べて少し固くて開閉時の動きが重いという難点もあります。
その点では、通常ファスナーはファスナーを二重に覆うフラップ(雨返し)同士を固定するドットボタンやベルクロテープが邪魔になり開閉しづらい場合があります。
他にも、止水ファスナーでは開閉が繰り返されることで摩耗して防水性能が低下することもあり得ます。
その点では、通常ファスナーの場合は防水性能の低下は起こりにくいです。
また、ポケットの口が止水ファスナーのみでフラップが無い製品もあり、それだと着ている人が濡れることはなくてもポケットの中身が濡れてしまう危険性があります。
止水ファスナーが使われているレインウェアを選んだならば、これらの現象が起こり得ることも承知しておいて下さい。
Q:レインウェアの生地の3層構造とはどのようなもので、2層構造や2.5層構造とどのように違いますか?
A:登山用レインウェアに使われている生地は一枚の布で出来ている訳ではなく、複数の素材が貼り合わされて出来ています。
3層構造では、表地と防水透湿性素材と裏地の3つが貼り合わされています。
2.5層構造では、3層構造における裏地の代わりにコーティングが施された防水透湿性素材と表地が貼り合わされています。
2層構造では、3層構造における裏地が省かれ、防水透湿性素材と表地の2つだけが貼り合わされています。
「層」ではなく「レイヤー」という言い方をすることもありますが、日本語か英語かの違いで、どちらも同じことを言っています。
層数が異なることによって、相対的ですが、メリットもデメリットも生じます。
層数が増えるほど、保温性能が上がり、生地強度が上がり、寿命が長くなり、肌触りが良くなる等のメリットが得られますが、ウェアが重くなり、収納サイズが大きくなり、生地が硬くなる等のデメリットも生じます。
逆に、層数が減るほど、ウェアが軽くなり、コンパクトに収納でき、生地が柔らかくな
る等のメリットが得られますが、保温性能が下がり、生地強度が下がり、寿命が短くなり、肌触りが悪くなる等のデメリットも生じます。
登山においては持ち物が軽いほど体力の消耗を抑えられて有利なため、軽量コンパクトであることはとても重視される要素です。
ですが、軽量コンパクトを優先しすぎるのは無意味です。
なぜならば、備わっているべき機能を削ったり性能を落としたりするという犠牲のもとに軽量コンパクトを実現する場合もあり、いざという時に十分に役に立たないおそれがあるからです。
そして、軽量コンパクトというのは、むしろ使わずに持ち運んでいる時に有利となる要素だからです。
軽量コンパクトであるに越したことはありませんが、使いたい場面で使い物にならない物を持ち運ぶくらいなら、使う時に使いやすく役に立つことを優先すべきです。
また、重いと言ってもそれは相対的なもので、今の登山用レインウェアなら、既に十分に軽量コンパクトです。
なので、登山用レインウェアにおいては、生地が3層構造の物を選ぶのがベストな選択と言えます。
Q:登山用レインウェアの寿命や買い替えの目安は?
A:次に示すような症状が現れたら、レインウェアが寿命にさしかかり、買い替え時であると判断して下さい。
- シームテープの剥離 = 防水性低下
- 防水透湿膜の破損(破れ、裂け、欠け)、剥離 = 防水性低下
- 内部で結露する = 透湿性低下
- 生地が水を弾かなくなる = 撥水性低下および撥水性回復不全
- 生地、ファスナー、ドローコード等の損傷、破損 = 機能不全
このような症状が現れるのは、使用頻度やメンテナンスや保管状態にも左右されますが、3年〜5年程度が目安です。
レインウェアを長持ちさせるためには、先の「登山用レインウェアのお手入れ方法と保管方法」の章でお話ししたように、きちんとメンテナンスし適切に保管することが有効です。
繰り返しになりますが、そのポイントは以下の通りです。
- 使用後は毎回、できれば使用後すぐに洗濯する。
- 洗濯と合わせて撥水回復も行なう。
- 袋から出しハンガーに吊るして、折り目を付けず密封状態にせずに保管する。
- 湿気や防虫剤や直射日光を避け、風通しの良い日陰で保管する。
また、レインウェアが寿命を迎えなくても、次の場合も買い替えを検討するに値します。
- 登山レベルの向上に見合うスペックの製品への買い替え
- 異なる用途の各々に適した特徴を持つ製品の買い足し
- 機能や性能が優れた新製品の発売に合わせた買い替え
Q:レインウェア以外に準備した方が良い雨対策グッズは?
A:登山中の雨であなたが濡れて不快な思いをしないように、また、持ち物が濡れて不具合を起こさないように、レインウェア以外にも以下のアイテムがあると役に立ちます。
- レインハット・キャップ
- レイングローブ
- レインスパッツ
- ザックカバー
- ドライバッグ(防水袋)
- 折りたたみ傘
レインハット・キャップ:頭部や髪が雨で濡れて冷えるのを防ぎます。
レイングローブ:手が濡れて冷えるのを防ぎ、手や指を満足に動かせるように保ちます。
レインスパッツ:履き口から靴の内側へと雨水が侵入するのを防ぎます。
ザックカバー:荷物が濡れないようにリュックサックにもレインカバーを掛けます。
ドライバッグ(防水袋):絶対に濡らしたくない物を入れたり、逆に濡れた物が他の持ち物を濡らさないために入れたりします。
折りたたみ傘:雨の中での休憩中や、林道歩きのように広くて歩きやすい場所で風も無い場面では、傘を使うのもありです。
登山用レインウェアは雨も風も寒さも汗も、すべてを凌げる万能で最強の味方!
登山に行くには、登山という過酷な条件下でも役立つ仕様や高機能や高性能を備えた装備が必要で、登山用レインウェアもそのうちの一つです。
登山用レインウェアは単なる雨具という役割にとどまらず、防風防寒着としても役立つ上に、汗をかいても蒸れない透湿性能も備え、一つで幾つもの役割をこなす優れ物の道具です。
そして、きちんと手入れをして適切に保管することで、レインウェアの寿命を延ばすことができます。
今回お話ししたことを参考にして、あなたにとって最適なレインウェアを選び、末永く安全に快適に山を楽しんで下さい。
ノースフェイス:マウンテンレインテックス ジャケット
防水透湿性素材には実績のあるゴアテックスが使われていて、性能も信頼性も高い製品です。
登山という用途で使うのに適した(街使いには無い)機能や性能を備えた優れた製品です。
フロント部分がスライドファスナーとドットボタン留め二重フラップの組み合わせになっているため、密閉したい時も適度に開放したい時も、開閉度合いを柔軟に調節できます。
フードは襟の中に収納できる仕様になっています。
軽量性を推進するよりは耐久性や保温性を優先した製品で、一年を通して使えます。
男性用
女性用
モンベル:レインダンサー パンツ
性能も信頼性も高い防水透湿性素材であるゴアテックスが使われている各メーカーの製品の中で最安と言える低い価格設定の製品です。
高機能・高性能である割にはお値打ちに手に入ります。
各ウエストサイズにおいて、パンツの股下の長さがレギュラーモデルと、それより6㎝短くしたショートモデルと、6㎝長くしたロングモデルの3つの選択肢があります。
登山という用途で使うのに適した(街使いには無い)機能や性能を備えています。
軽量性を推進するよりは、どちらかと言うと、耐久性や保温性に優れた製品です。