せっかく雲ノ平まで行くのなら、雲ノ平にもう一泊して高天原温泉まで日帰りで入浴に行くのがおすすめです。
一日の中に、(晴れていれば)360度の山岳展望も、咲き乱れる高山植物のお花畑も、山奥の温泉も、池塘や庭園巡りも、盛り沢山に楽しめます。
今回は、「日本最後の秘境」とも言われる雲ノ平を発着点に、「日本一遠い温泉」とも言われる高天原温泉へ日帰り入浴に行って来ることをメインテーマに、山岳展望やお花畑や池塘や庭園巡りなどの幾つもの楽しみが盛り込まれた、一日を存分に楽しめるおすすめのルートを紹介いたします。
目次
今日一日の概要
雲ノ平からまっすぐ高天原温泉に行くならば高天原峠を経由する道が一般的でしょう。
ですが、私は、雲ノ平→祖父岳→岩苔乗越→高天原温泉→高天原峠→雲ノ平と回る道をお勧めします。
朝一番で360度の山岳展望を楽しみ、感動的なお花畑が続く道を歩き、温泉に入り、池塘や庭園巡りもできます。
朝一番で祖父岳登頂
今日のメインテーマの一つは温泉に入ることですが、高天原温泉とは反対方向にある祖父岳に先ずは登ります。
祖父岳は、雲ノ平の南東側にそびえる山です。
下の写真はあいにく雲がかかっていますが、雲ノ平のテント場の後ろにそびえているのが祖父岳です。


標高は2825mあります。
深田久弥の100名山には選ばれておらず、従ってあまり注目されたり大々的に紹介されたりしていないかもしれませんが、結構な高さの山です。
テント泊だとしても、雲ノ平に連泊しますから、この日はテント泊装備や後日の食糧は置いて、日帰り装備だけの軽荷で軽快に歩くことができて大助かりです。
360度の山岳展望
晴れていれば、頂上からは360度の山岳展望が楽しめます。
雲ノ平から祖父岳までのコースタイムは1時間20分程度です。
雲ノ平に泊まったならば、朝一番で、雲が湧いて来る前の展望の良い時間帯に祖父岳頂上から360゚の山岳展望を先ず楽しむのがおすすめです。
下の7枚の写真は、祖父岳頂上から見られる景色を、適当なところから始めて右方向にグルっと一回り撮った写真です。







祖父岳頂上周辺にはケルンが幾つも積まれている。
鷲羽岳、水晶岳、薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、三俣蓮華岳、槍穂高連峰や表銀座・裏銀座などの北アルプスの山並みや、黒部五郎岳の向こうには白山も見ることができます。





雲ノ平山荘や雲ノ平のテント場やトイレも見える。
頂上は広く、訪れる人も割と少ないので、360度の大パノラマを静かに自由に楽しむことができます。
携帯電話の電波がつながる
どこの会社の電波かはわかりませんが、頂上付近は携帯電話の電波がつながるみたいです。
下界の人と電話でおしゃべりしていると思われる人もいました。

中央は薬師岳。

中央は黒部五郎岳、その奥は白山。
頂上で見た素晴らしい景色の感動を分かち合うのも良いかもしれません。
岩苔乗越までは山岳展望が引き続き楽しめますし、所々で高山植物のお花も咲いている稜線歩きが楽しめます。
岩苔小谷の道
岩苔乗越は尾根沿いの道と谷沿いの道が交差する分岐点です。
ここからは谷沿いの道を歩きます。
道は下りですので、息を切らすこともなく、余裕で歩けるはずです。
疲労困憊でもなければ、岩苔乗越はタイムチェック程度で通過して、この先に現れるお花畑や清流のほとりで休憩するのが良いかもしれません。
前半は、正面に薬師岳がそびえ、周辺には高山植物が咲き誇るお花畑の中の道を悠々と下って行きます。
後半は、樹林帯の中を歩きます。

お花畑
樹林帯に入るまで、しばらくはとてもきれいなお花畑が続きます。



今日のルートの中で一番の見所かもしれません。
雪が溶けると先ず夏の花が咲き、8月中旬を過ぎると秋の花が咲き始めるはずです。




山岳展望が楽しめるかどうかは天気次第ですが、高山植物のお花畑は天気が良くても悪くても楽しめます。










今回紹介しているルートを逆方向に、つまり、雲ノ平→高天原峠→高天原温泉→岩苔乗越→祖父岳→雲ノ平と回る選択肢もあります。
ですが、お花畑を存分に楽しむならば、上り坂を息を切らしながら上るよりも、眼の前に広がるお花畑を見ながら余裕で下る方が楽しめると思います。
正面に薬師岳
周囲には高山植物のきれいなお花が咲き乱れる中で、顔を上げれば、正面には雄大な薬師岳がそびえているのが目に入ります。





樹林帯に入るまでは、近景のお花畑も、遠景の薬師岳もどちらも楽しめます。
水場
岩苔乗越から下り始めてすぐ、5分も歩かない所に水場があります。

蛇足ですが、岩苔乗越から反対側(三俣山荘側)に下って行っても水場があります。
少しでも荷物を軽くして歩きたい人は、ここで水を補給することを想定しておいても良いかもしれません。
清流
水場がある辺りからしばらくは、道が流れに沿って、あるいは流れを時々横切って続いています。
他の登山者の邪魔にならない所で花や清流を見ながら休憩するのも良いかもしれません。
林の中の静かな道
お花畑や清流や薬師岳を眺めながら下って行くと、道は徐々に流れや谷筋から遠ざかり、森林限界を下回り、道の周りはお花畑から林へと変わります。
薬師岳も隠れて見えません。
林の中の静かな道を、森林浴でも楽しみながら歩きましょう。
時々木の枝が道にせり出して歩きづらい所がありますのでご注意下さい。
秘湯高天原温泉
登山の途中に、山の中で、温泉に入れるなんて滅多に無いことです。
温泉を存分に満喫し、気持ちの良い贅沢な時間を過ごして下さい。
雲ノ平から、祖父岳頂上に立ち寄り岩苔小谷のお花畑の道を通り、4時間半ほど歩くと高天原山荘に着きます。
高天原温泉の入浴料(300円)は高天原山荘で払います。
そこから更に20分ほどで高天原温泉に到着です。
今日の、あるいは今回の登山の中で一番の目的とも言えます。

男湯と女湯は川を渡った向こう側にあり、荷物置き場や囲いがあります。
他に、川原の一角に混浴の露天風呂もあります。
日傘が活躍するかも
お風呂は気持ちが良いですが、晴れていれば、日差しがきついかもしれません。
そんな場合に日傘があると重宝するかもしれません。
お勧めの日傘に関しては、こちらの記事 を参考にして下さい。
夏の登山には日傘も有効!強い日差しや紫外線を遮り体感温度が下がり日焼けや暑さや熱中症予防対策にもなり高山の稜線歩きも快適に楽しめる軽量の日傘おすすめ10選+1!ハンズフリーになる傘ホルダーも合わせて紹介!
足を伸ばして池塘や庭園巡り
岩苔小谷の道の途中、高天原山荘の少し手前には水晶池が、高天原温泉の更に奥には竜晶池や夢ノ平と言った見所もありますし、発着点の雲ノ平の周辺には〇〇庭園と呼ばれる見所が幾つもあります。
時間があれば、これらの見所にも立ち寄るといいです。
時間があれば、先ずはスイス庭園
雲ノ平から祖父岳へ向かう木道を少し行くと、スイス庭園への分岐があります。

朝一番で祖父岳頂上からの360度の大展望を優先するならば、スイス庭園には寄らずに祖父岳に向かえば良いです。
時間があるならば、スイス庭園に立ち寄るのも良いと思います。
水晶池へは往復10分程度
岩苔小谷のお花畑が続く道を通り過ぎ、樹林帯の中を歩いていると、水晶池への分岐があります。
水晶池まで片道10分程度です。
林の中に池があり、開けた空間です。
池の水がどの程度あるかで印象が変わるかもしれません。


竜晶池まで往復30分程度
「日本一遠い温泉」とも言われる高天原温泉から更に奥に足を運ぶと、片道15分程度で竜晶池があります。

この辺りは夢ノ平とも呼ばれています。


こちらも静かで特徴的な空間が広がっている様に感じます。
高天原山荘周辺にも池塘
高天原山荘周辺も水が豊富にある所だと思います。
高天原山荘周辺にも池塘が見られます。


高天原山荘でも、トイレは有料ですが、水を無料で得られてとてもありがたいです。

雲ノ平周辺には庭園が幾つもある
庭園自体の様子や雰囲気、そして、庭園の周りや庭園の向こうに見える山の姿・形等々それぞれの庭園の違いを楽しむのも雲ノ平での過ごし方の一つではないでしょうか。
とは言いましたが、この一日の過ごし方の中で、メインは①祖父岳頂上からの展望と、②岩苔小谷のお花畑と、③高天原温泉入浴の三つです。
ルート上にあるのは、高天原峠から雲ノ平に戻る手前にある奥スイス庭園だけです。
他の庭園には多少なりとも今日のルートから外れて足を運ばないと行けません。

天気の良い日に、よほど健脚な人が、早朝から行動を開始して、効率良く駆け足で移動しないと全ての庭園を回り尽くすことは難しいと思います。
そんな回り方をするよりも、行く庭園を厳選し、ゆっくりじっくり過ごすことをお勧めします。
あるいは、雲ノ平にもう一泊して、庭園巡りの日をもう一日設けても良いかもしれません。
夜は満天の星空
雲ノ平は山奥にあるため、街の灯りに邪魔されにくく、夜はきれいな星空が楽しめます。
晴れていれば、空にはこんなに沢山の星があったのかと思うほど無数の星が見られて、鳥肌が立つほどです。
天の川も見えます。
毎年8月13日頃はペルセウス座流星群の極大日なので、お盆休みに雲ノ平に行くことを計画しているなら、流れ星も見られる可能性大です。
まとめ
今回は、「日本最後の秘境」とも言われる雲ノ平を発着点に、「日本一遠い温泉」とも言われる高天原温泉へ日帰り入浴に行って来る際に通るのにおすすめなルートの紹介です。
単に温泉に入って来るだけではありません。
- 祖父岳頂上からの360度の大展望
- 岩苔小谷のお花畑
- 池塘巡り
- 庭園巡り
- 満天の星空
などの見ごたえのある景色が多く見られます。
行って帰って来るだけでも多くの時間を要します。
せっかく行くのですから、なるべく多くの日数を確保して、あなたがこの近辺の山域の見所や楽しみを、余すことなく存分に満喫する充実した山旅が出来ることをお祈りいたします。
入山から雲ノ平まで、あるいは、雲ノ平から下山までの全体の見所については下の記事で紹介しています。
こちらの記事 も参考にして、雲ノ平周辺をどうぞ存分に楽しんで下さい。
雲ノ平周遊記。おすすめルートとともに百名山、山岳展望、お花畑、山奥の秘湯、満天の星空と流れ星、雷鳥との出会い、おいしい水と空気など盛り沢山の魅力の完全ガイド!~その1:概略~