雪山に出掛けると、樹氷・霧氷や、一面の大雪原や、氷った滝などの普段では見られない景色を見ることもできます。
雪山に出掛けると、また、雪洞内でくつろぐような、雪が無いとできない体験をすることもできます。
雪山に出掛けると、また、夏は薮が邪魔で歩きにくい登山道全体が雪ですっぽりと覆われて、かえって歩きやすかったりすることもあります。
また、雪山にまで足を踏み入れる人は少ないため、静かに気ままに山歩きを楽しむこともできます。
このように、雪山には雪山ならではの魅力や利点も沢山あります。
その一方で雪山登山は、夏山よりも寒さや強風などの自然環境が過酷で、滑落や雪崩などのリスクも高い活動です。
安全に快適に過ごすためには、服装や装備や知識やスキルなどの様々な備えをしておく必要があります。
今回は、雪山にまで活動範囲を広げようと考えている人に向けて、雪山登山をする際に必要となる服装や装備一式を紹介いたします。
目次
雪山登山に適した服装を選ぶ際に念頭に置くべき4つのこと
~雪があると何が違うのか~
雪山に出掛ける際に適した服装を選定するに当たり、雪山がそうでない山と比べて何が違うか、言い換えると雪があると何を余分に考えねばならないかについて再確認しておきましょう。
- 1.足元が悪い。
- 2.寒さが厳しい。
- 3.紫外線が強い。
- 4.雪崩の危険性が常にある。
足元が悪い
服装選びの遠因にもなることなのですが、雪山がそうでない山と一番異なる点は足元が悪いということです。
締まっていたり踏み固められていたり一度融けて再び氷ったりすると滑りますし、そうでなければ沈み込んだり埋まったりしますし、上っ面はツルツルでもそれを踏み抜くと埋もれたり、雪と岩が混在していたりと、何れにしても厄介です。
足元の悪さに対しては多くは別の装備で対応することになるため、服装に関しては、雪山ではない所で着ていたのと同じ服装で対応可能な物も多くあります。
雪山ならではの服装としては、アイゼンの爪で引っ掛けても裾が簡単に破れない、丈夫で厚みのあるアウターパンツや、足が雪の中に埋もれても靴の中に雪が入るのを防いでくれるロングスパッツ等が挙げられます。
寒さが厳しい
二番目の寒さが厳しいことが、服装と直接関わってきます。
単に寒さが厳しいだけなら厚着をすればしのげるかもしれません。
ですが、新雪をかき分け踏み固めて(この様な行為をラッセルと言います)進もうとすると、思いの外暑く、汗だくになることもあります。
この様な事態も想定した服装選びが必要になります。
寒い時と暑い時の両極間の変動幅が大きいという認識を持つのが良いかもしれません。
保温性と速乾性の両方を重視した服装を選ぶ必要があります。
紫外線が強い
雪山では、直接上からも、足元の雪面に反射して下からも、紫外線の攻撃にさらされます。
雪山は寒いので、顔面以外は何らかの服で覆われているはずですが、目も紫外線から守る必要があります。
紫外線をカットしてくれるサングラスやゴーグルも装備に含める必要があります。
雪崩の危険性が常にある
雪がある所へ行く以上は、雪崩の危険性が常にあるという認識を持たねばなりません。
雪崩が発生した時の音をフードを被っていても察知し易いように、フードに音抜き穴が有る物が有用です。
万が一雪崩に巻き込まれてしまった場合に発見されやすいように、赤やオレンジや黄色のような視認性の良い色の服を着ていると良いかもしれません。
視認性の良い色の服を着ていると、仮に吹雪の時のように視界の悪い中を行動せざるを得ない時でも、仲間を見失いにくいので有効です。
雪山でも勿論重要なレイヤリング
どんな場合でも、登山の服装の基本はレイヤリングです。
雪山でも、雪山ではない山へ行く時と同様に、レイヤリングが重要です。
ベースレイヤーとミドルレイヤーとアウターレイヤーの3つのレイヤーに分けて考えることも、3つのレイヤーのそれぞれに受け持たせる役割も、何れも、他の時季に登山に行く場合と同様です。
寒ければ重ね着する服を増やし、暑ければ脱ぎ、状況に応じて服装で適切に調節すべきであることも、各レイヤー1枚ずつの合計3枚を常に必ず重ね着する訳ではないことも、雪山に限らず、登山全般に当てはまることです。
ベースレイヤー(肌着)
保温性も速乾性も両方とも兼ね備えた肌着を着ます。
夏、あるいは春から秋よりも保温性がワンランク高い物を着て寒さをしのぎます。
ミドルレイヤー(行動着、防寒着、中間着)
ベースレイヤーやアウターレイヤーが雪山に適した物であれば、ミドルレイヤー(特にボトムス)は他の時季に着る物と同じで構わない場合もあります。
トップスに関しては、寒さに合わせて必要な保温性になるように種類や枚数を調節します。
アウターレイヤー(ハードシェルジャケット、パンツ)
外からの雪、風、寒さ、時には雨を防いでくれるとともに、内側の蒸れ(汗)を外に逃がす働きをしてくれます。
防水透湿性が有り、また、生地表面が雪面との摩擦力が強くなり滑りにくくなるように作られています。
また、アイゼンや氷などに引っ掛けても破れにくい丈夫な生地で作られています。
おすすめ & 必携の服装・装備一式
ベースレイヤー
★速乾性と共に保温性も合わせ持っているロングタイプの肌着です。
男性用、上・・・・ファイントラック:ドライレイヤーウォームロングスリーブ
女性用、上・・・・ファイントラック:ドライレイヤーウォームロングスリーブ
男性用、下・・・・ファイントラック:ドライレイヤーウォームタイツ
女性用、下・・・・ファイントラック:ドライレイヤーウォームタイツ
ミドルレイヤー
★速乾性と共に保温性も合わせ持つ行動着です。
男性用、上・・・・フォックスファイヤー:ウール ハーフZIP
女性用、上・・・・フォックスファイヤー:ウール ハーフZIP
★一年を通して履ける、ストレッチ性や撥水性もあるパンツです。
男性用、下・・・・ノースフェイス:アルパインライトパンツ メンズ
女性用、下・・・・ノースフェイス:アルパインライトパンツ レディース
★速乾性も保温性もあり、一年を通して着られるフリースの防寒着です。
男性用・・・・コロンビア:バックアイスプリングスジャケット
女性用・・・・コロンビア:バックアイスプリングスウィメンズジャケット
★保温性が高く、一年を通して着られるダウンの防寒着です。
男性用・・・・マーモット:デュースダウンジャケット
女性用・・・・マーモット:ウィメンズデュースダウンジャケット
★ストレッチ性、撥水性、保温性もあるソフトシェルジャケットです。
男性用、上・・・・ホグロフス:ソフトシェルジャケット トーカイフード メンズ
女性用、上・・・・ホグロフス:ソフトシェルジャケット トーカイフード レディース
アウターレイヤー
★防水透湿性のあるハードシェルでありながらストレッチ性もある冬期用アウタージャケットです。
男性用、上・・・・ファイントラック:エバーブレスアクロジャケット
女性用、上・・・・ファイントラック:エバーブレスアクロジャケット
★防水透湿性のあるハードシェルでありながらストレッチ性もある冬期用アウターパンツです。
男性用、下・・・・ファイントラック:エバーブレスアクロパンツ
女性用、下・・・・ファイントラック:エバーブレスアクロパンツ
帽子
★頭部の防寒に役立つビーニーです。
ダニッシュ・エンデュランス:ビーニーニット帽
目出帽(バラクラバ)
★ビーニーとバラクラバの両方の機能を兼ね備えています。
ファイントラック:バラクラバビーニー
サングラス
★普段メガネをかけない人はコチラを
男女兼用・・・・Glazata:偏光スポーツサングラス
★普段メガネをかける人はコチラを
男女兼用・・・・Glazata:前掛けクリップ式サングラス
ゴーグル
★メガネの上からでも装着可能です。
SWANS(スワンズ):RACAN(ラカン)
インナー手袋
★メリノウール100%のインナー手袋です。
プロモンテ:アウトドア メリノウール グローブ
オーバー手袋
★冬のアウターとしても使える防水透湿性素材が使われたレイングローブです。
イスカ:ウェザーテック レイングローブ
靴下
★メリノウールが69%使われた厚手の靴下です。
キャラバン:メリノウール パイルソックス
雪山用登山靴
★保温性も防水透湿性もある雪山用登山靴です。
スポルティバ:ネパールエボ GTX
ロングスパッツ(ゲイター)
★靴の中に雪が入るのを防いでくれるだけでなく、足元の保温にも役立ちます。
シートゥサミット:アルパインゲイター
アイゼン(クランポン)
★セミワンタッチ式の12本爪アイゼンです。
グリベル:エアーテック ライト ニューマチック
わかん
★アルミ製のわかんです。
エキスパートオブジャパン:SN4 スノーシューズL
ピッケル(アックス)
★シャフトがストレートタイプの一般縦走用ピッケルで、リーシュやカバーも付属しています。
グリベル:モンテローザ・プラス
雪崩ビーコン
★操作方法が比較的簡単で、ディスプレイもLEDタイプで見やすい雪崩ビーコンです。
bca(バックカントリー アクセス):トラッカーS
スノースコップ
★シャフトの長さが可変式のアルミニウム製ショベルです。
キャプテンスタッグ: アルミジョイントスコップ
ゾンデ棒(プローブ)
★全長320cmのアルミ合金製プローブです。
ブラックダイヤモンド:クイックドロープローブ320
保温水筒
★温かい飲み物で一息入れるのも良いものです。直飲みタイプです。
サーモス:水筒 真空断熱ケータイマグ
★こちらはコップ付きです。
サーモス:水筒 ステンレススリムボトル
雪山への扉を開く
雪山に行くには、雪に対処するための服装や装備も知識も体力も必要になります。
全て揃えようと思うと出費もかさむでしょうし、色々と大変だと思います。
でも、それらは安全に快適に過ごすために必要ですし、雪山ならではの魅力や楽しみを堪能する特権を手に入れるための扉を開くようなものです。
そのためにしっかり準備をして、あなたも雪山を存分に楽しんで下さい。