登山用レインウェアにおいては今や常識となっている防水透湿性。この無理難題を最初に解決したゴアテックスブランドの製品は、今でも最も有名であり信頼性があります。
今回は、なぜゴアテックスが良いかを、他のアウトドアメーカーが開発した独自素材との比較も交えて説明し、更には、その性能をフルに発揮させるために欠かせないお手入れの仕方についてもお話しいたします。
目次
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モンベル ストームクルーザージャケット、フルジップパンツ
なぜゴアテックスが良いか
登山においてレインウェアには、外側からの雨水の侵入を防ぐだけでなく内側でかいた汗を水蒸気として放出する、という一見相反するかのような機能のどちらもが、つまり防水透湿性が求められます。ゴアテックスはこの防水性も透湿性もどちらも優れているだけでなく、防風性もあり、軽く、しかも耐久性もあるという、とても優れたありがたい素材なのです。
最先発メーカーとしての実績と信頼
防水透湿性という無理難題を最初に解決したのがゴアテックスです。
最先発メーカーという立場で特許として押さえているために、他メーカーが真似できないことや、ゴアテックスを上回る性能を持つ素材がなかなか見付からないことも強みの一つと思われます。
ちなみに、ゴアテックスとは、素材メーカーであるアメリカのW.L.ゴア・アンド・アソシエイツ社(以後、「ゴア社」と記述)が製造販売する防水透湿性素材の商標名です。
ゴアテックスは、当初は、防水透湿性素材の代名詞にもなっていた程で、今でも、最も有名であり信頼性があります。
その信頼性の要因の一つとしては、言うなれば一日の長があるということが挙げられると思います。長い間登山者の要求に応え続けてきた実績や、豊富なノウハウや知見や経験の蓄積が信頼につながっているのでしょう。
素材として優れているということがゴアテックスが選ばれる要因の一つなのです。
きめ細かい製品作りへのこだわり(製品としての完成度)
生地にも厳しい基準がある
防水透湿性を実現するゴアテックスの心臓部と言える部分は、水滴よりも小さく水蒸気より大きい、絶妙な大きさの微細孔が無数にある膜です。実際の製品には、この膜が単体で使われているのではなく、この膜に表地と裏地を貼り合せた生地としてアウトドアメーカーに提供されています。
表地や裏地を、強度優先で厚いものにしたり、軽さ優先で薄いものにしたりと、アウトドアメーカーが作りたい製品の特性に合わせて、生地には幾つもの種類があります。この、表地と裏地の組合せを選定する際にも、ゴア社の厳しい基準があります。
ゴア社では、表地と裏地を貼り合わせた生地の状態で、強度や透湿、耐水のテストを行い、スペックを確認しています。そして、ゴア社の基準で合格したものだけが商品化されるのです。
シームテープにも細かな基準がある
こうして合格した生地がレインウェアに仕上がるまでには、縫製という工程を経ます。縫製する際に生じる針穴は、そのままではそこから水が浸入して来ます。そうならないようにするために、縫製部分には裏側からシームテープが貼られて、針穴が塞がれています。
このシームテープもゴア社独自開発品のみ使用可ですし、テープの太さや貼り合わせる際の温度・スピードにまで細かな基準があります。
ウェアの機能や構造にもゴア社が関与している。
生地そのものは確かに水を通さないとしても、例えば袖口のような開口部をきちんと閉じることができなければ、そこから結局雨水が侵入して中が濡れてしまいます。これでは、レインウェアとしては不合格であり、ゴア社は、この点もクリアできて初めて防水と考えています。
なので、アウトドアメーカーが作った発売前のサンプルをマネキンに着せて、上から雨を一定時間当て、中が濡れていないかをゴア社がテストします。そして、首元や裾などから雨が浸入しない作りになっているかなど、ゴア社の品質検査に合格して初めてゴアテックスブランドと認められ、販売できるようになります。
例えば薬でも、どれだけ素晴らしい薬効が有っても、用法用量を守って飲まないと効かないのと同じように、ゴアテックスも、素材としての性能が良いだけでなく、きちんと使われないと意味が無いということなのでしょう。ゴア社はそこまで意識した製品作りをしているということだと思います。
製品としての完成度が高いということもゴアテックスが選ばれる要因の一つなのです。
性能比較
ゴア社のゴアテックスが実際にどの程度優れているかを、その基本性能である耐水圧と透湿度を中心に、他社が独自に開発した防水透湿性素材と比較してまとめてみました。
メーカー | ゴア社 | モンベル | ノースフェイス | ファイントラック | ミレー |
素材名 | ゴアテックス | ドライテック | ハイベント | エバーブレス | ティフォン50000 |
耐水圧 (mmH20) | 50,000以上 | 20,000以上 | 10,000 | 20,000以上 | 20,000 |
透湿度 (g/㎡・24h) | 25,000~98,000 | 8,000~20,000 | 6,000以上 | 10,000 | 50,000 |
出典 | https://webshop.montbell.jp/material/aboutmaterial/maker/maker01.html | https://webshop.montbell.jp/material/aboutmaterial/maker/maker03.html | https://www.yamakei-online.com/cl_tool/detail.php?id=15956 | https://www.finetrack.com/products/l5-outershell/ | https://www.millet.jp/typhon/ssfunction.php |
この表を見ても、ゴアテックスが高性能であることがわかります。
数値化は難しいですが、ファイントラックのエバーはストレッチ性に優れているなど、他社独自のセールスポイントはありますが、全ての点でゴアテックスを上回る製品はありません。
ただ、ゴアテックスは価格が高くなりがちということが一番の欠点になりかねませんが、値段が高いだけの価値は十分にあると言えると思います。
お手入れ方法:性能をフルに発揮させるメンテナンス方法
何でもそうですが、その物の性能をフルに発揮させようと思ったら、手入れが重要です。
せっかく高いお金を出して買うのですから、いつでも、そして末永く快適に使い続けましょう。
洗濯
普段着ている服と同様に、汚れが付いたらもちろんのこと、目に見えた汚れが付いていなくても、登山で着れば当然汗をかきますので、着たら毎回洗うのが良いです。
一般的な家庭用洗濯洗剤で洗って大丈夫です。ただし普段着る服を洗濯する場合よりも、すすぎ回数は増やし、脱水時間は短くします。そして、しっかりと陰干しして下さい。
外側が汚れていたり洗剤が残っていたりすると、表地の撥水性能が下がります。撥水性能が下がると、雨水が表地に浸み込んでしまい、レインウェアが水の膜で部分的に覆われた状態になってしまいます。この水がレインウェアの中まで侵入することはゴアテックスの膜が防いでくれるので、防水性能が低下する訳ではありません。ですが、ゴアテックスの膜に開いている微細な孔が塞がれてしまうために、結果として透湿性能が下がります。またウェアが重くなり動きづらくなりますし冷えにもつながりかねません。
内側も汗や皮脂などにより汚れます。この汚れや湿気はシームテープの剥離を引き起こします。
ですから、レインウェアの性能をフルに発揮させるためには、きちんと洗ってよくすすぎしっかり乾かすことが大切なのです。
撥水性回復
洗濯によっても撥水性は回復しますが、撥水性を更に回復させる方法があります。アイロンや乾燥機やヘアードライヤーで熱をかけるのです。
アイロンなら、スチーム無しで、当て布を当てた上から低温(80~120℃)でアイロンを当てます。
乾燥機なら20分ほど温風乾燥します。
ヘアードライヤーなら10cm程離してまんべんなく熱をかけます。
熱をかけても撥水性の回復が不十分な場合は、撥水スプレーをかけます。
保管方法
下山してレインウェアを脱いだら湿ったまま収納袋に入れて保管というのはよろしくありません。
洗濯して乾かしたらハンガーに吊るして、直射日光や高温多湿を避けて保管しましょう。
登山用ゴアテックスレインウェアのおすすめ3選
モンベル ストームクルーザー ジャケット、フルジップパンツ Men’s
ジャケット→https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1128615
パンツ→https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1128564
ゴアテックス採用モデルですから、言うまでも無く、優れた防水性も透湿性も備えています。その上、細かい機能や使い勝手にまでしっかり配慮されています。
更には、パンツはサイドのジッパーが全開するため、靴を履いたままでも容易に着脱でき、とても重宝します。
次に紹介するレインダンサーと比べると生地が薄いため、軽く、着心地が良く、またコンパクトに収納できます。その一方で、値段は高めになってしまいます。
モンベル レインダンサー ジャケット、パンツ Men’s
ジャケット→https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1128618
パンツ→https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1128567
先のストームクルーザーと同様にゴアテックス採用モデルですから、言うまでも無く、優れた防水性も透湿性も備えています。その上、細かい機能や使い勝手にまでしっかり配慮されています。
ストームクルーザーと比べると生地が厚いため、頑丈である反面、硬い着心地になります。
ですが、モンベル社のゴアテックス採用モデルとして最安値である点は魅力です。
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ゴアテックス採用モデルですから、言うまでも無く、優れた防水性も透湿性も備えています。その上、細かい機能や使い勝手にまでしっかり配慮されています。
色柄という意味でのデザインの面でもおしゃれです。
レインウェアは登山の必携品
レインウェアは、雨具としてはもちろんのこと、防寒着や防風着としても活用する、登山における必携品です。十分な機能性能を持ったお気に入りのレインウェアを見付けて、安全快適な登山を是非楽しんで下さい。