ストームクルーザーはモンベル製レインウェアの主軸と位置付けられている商品です。その理由や要因は、ストームクルーザーの卓越した機能や性能や使い勝手の良さにあります。今回は、それが具体的に何であるか、どうであるかを奥深くまで掘り下げて紹介いたします。
目次
国内有力メーカの製品
モンベルは日本にある有力アウトドアメーカーの一つです。つまり、日本の気候(例えば雨の特徴)や日本の山岳事情や日本人の体形、体格について良く知っていて、それに合わせた製品作りができます。メーカーが持つこの強み(メリット)や優位性(アドバンテージ)は、同時に、製品の強みや優位性に直結します。
モンベル社製レインウェアの主軸製品
ストームクルーザーは、日本の有力アウトドアメーカーの一つであるモンベル社製レインウェアの主軸製品です。このことは、登山者が要求する様々な機能をバランス良く備えた製品であることを意味します。ストームクルーザーを軸にして、何かの要素を重視すると別の製品になり、また、別の機能を優先させると別の製品になるというような具合で、その中心にあるのがストームクルーザーです。
具体的には、例えば、ストームクルーザーよりも軽量性と透湿性が高い物としてトレントフライヤーが、ストームクルーザーよりも耐久性が高い物としてレインダンサーがあります。ストームクルーザーは、何かの機能や性能に特化している訳ではなく、登山者が要求する様々な機能をバランス良く備えた製品です。ストームクルーザーが、重いとか、透湿性が低いとか、耐久性が低いとかいう訳では決してありませんのでご安心下さい。
高性能をもたらすもの = 生地の特長
防水透湿性素材は、高性能で信頼性も高いゴアテックスが用いられています。
耐水圧は50,000mm以上、透湿性は35,000g/m2・24hrです。
表地には20デニール・バリスティックナイロン・リップストップが使われています。
20デニールとは生地を構成している糸の太さを示す数値で、大きいほど糸が太いことを示します。ちなみに、先程引き合いに出したトレントフライヤーの表地には12デニールの生地が、レインダンサーの表地には50デニールの生地が使われています。
バリスティックナイロンとは素材の種類のことで、通常のナイロンよりも強度が高められています。
リップストップとは生地の織り方を示す言葉で、裂けることをくい止める特徴が生まれます。
表地においても素材や織り方を工夫することによって、生地の強度を損なうことなく軽量化を実現している訳です。
裏地にはGORE C-ニットバッカーテクノロジーが取り入れられています。これは、ゴアテックスメンブレンの裏地に、軽量性と耐久性を両立した、極めて薄いニット素材を使用した新しいテクノロジーです。このような裏地を採用することによって、生地全体においても透湿性が向上したほか、耐久性を損なわずに大幅な軽量化を実現し、極めてしなやかで、着用しやすい質感を備え、従来のレインウエアにない着心地の良さを実現しています。
実用性の高い機能が結集
ストームクルーザーは、登山という用途において使い勝手を良くするための様々な工夫が施されています。
ジャケットのポケットにみられる工夫
登山中はザックを背負って行動することがほとんどです。容量がある程度大きいザックにはウエストストラップが付いています。ストームクルーザーのジャケットにおいては、ザックのウエストストラップを絞めてもポケットが圧迫されないように、両脇ポケットの下端は裾の位置よりも少し上にとどめてあります。
街で使うならば、ジャケットの両脇ポケットの下端は、裾いっぱいにまで拡がっていた方が使いやすいかもしれません。ですが、ストームクルーザーは登山で使うことを前提にしているため、このような設計になっているのです。
ジャケットのフードにみられる工夫
ジャケットのフードにも、実用性の高い機能が満載です。
トライアクスルフード
顔面からの雨水の侵入をくい止めつつ、頭を動かしても視界をしっかり確保できるように、ストームクルーザーのフードにはフードのフィット具合をきめ細かく調節することが可能な「トライアクスルフード」という機能が採用されています。
トライアクスルフードでは、①顔面の周囲と②頭部の奥行きと③ひさしの深さの三箇所の調節が可能です。①顔面の周囲の調節機能に関しては、登山用のレインウェアであればほとんどどれにでも付いているように見受けられます。③ひさしの深さの調節機能に関しては、付いている物も付いていない物もどちらもありますが、比較的多くみられるように思います。それに比べると②頭部の奥行きの調節機能が付いている物は少ないように思いますが、こちらの調節機能の方がはるかに重宝します。ストームクルーザーには、これら三箇所の調節機能がどれも付いています。
フードのフィット具合を調節する時は、①顔面の周囲、②頭部の奥行き、③ひさしの深さの順番で行ないます。①顔面の周囲の調節を終えた時点では、後頭部とフードの間に隙間が残っています。②頭部の奥行きの調節機能が無く、後頭部とフードの間に隙間が残ったまま③ひさしの深さを調節しても、後頭部とフードの間の隙間は依然として残ったままです。後頭部とフードの間に隙間が残ったままで首を左右に捻ると、フードは固定されたまま中の頭だけが空回りするという現象が起こります。頭の動きにフードが付いて来てくれないのです。そうなると、大きく首を捻った時に、捻った側の目がフードの中に隠れてしまい視界が遮られてしまいます。雨降りというただでさえ周囲の状況が見えづらい状況の上に、フードで片目が隠されてしまうと更に視界が悪くなり大変危険です。②頭部の奥行きの調節機能が無いと使い勝手が非常に悪いです。ですが、ストームクルーザーにはこれら三箇所の調節機能がどれも付いているので、頭にしっかりフィットしてくれます。ヘルメットを被っても、脱いでも、どちらでも大丈夫です。
ロールアップフード
以前は、フードを襟の中に収納できるタイプの物が主流だったように思いますが、最近では、襟が無く、フードを出しっ放しにしたものが主流になっているように思います。襟がある方が機能的だとか、襟が無い方がオシャレだとか安く作れるとか、それぞれに一長一短あります。ストームクルーザーには襟は無く、襟の中にフードを収納することはできません。ですが、フードを出しっ放しにして風でバタついたり、中に雨水が溜まってしまったりということを避けるために、フードを使わないときは、襟裏のループとベルクロでまとめることが可能です。
フード着脱式モデルあり
ストームクルーザーには、フード着脱式のモデルがあります。フードはジッパーとホックで簡単に取り外すことができます。レインウェアを、雨具としてではなく、防寒着や防風着として使う場合もあります。そのような場合にはフードを取り外してしまうのもありです。
パンツの股下長を選べる
パンツの股下長が標準のレギュラーモデルと、ウエストサイズはそのままで股下長を標準よりも6㎝増減させた、ロングモデルとショートモデルの三つの選択肢が各サイズにおいて用意されています。
先程、雨具としてではなく防寒着として使うこともあるとお話しいたしました。内側に重ね着をしても窮屈に感じなくて済むように、ややゆったりめのサイズの物を選ぶと重宝します。ストームクルーザーのパンツなら、このゆったり目のサイズの物を選びやすいです。
パンツの裾が大きく開く
登山靴は、日常で使う靴よりも大きくて頑丈です。山にいて急に雨に降られた時、レインウェアを素早く身に着けて濡れから身を守ったり、雨が上がってレインウェアを着ている必要が無くなった時、レインウェアを素早く脱いで無駄に停滞している時間を省いたりするためにも、また、登山靴についてしまった泥でパンツをむやみに汚さないようにするためにも、着脱のしやすさも使い勝手を良くする重要な要素です。
ストームクルーザーは、この点の配慮も抜群です。
ロングボトムジッパー
ストームクルーザーのパンツは、サイドジッパーによって裾が膝の位置まで開きます。全く開かない、あるいは、足首より少し上まで程度しか開かないパンツよりもはるかに楽に、登山靴を履いたままでも着脱ができます。
サイドフルオープンジッパーモデルあり
ストームクルーザーにはサイドジッパーを裾から腰まで(腰から裾までではない)全開にできるモデルもあります。これであれば、着脱のしやすさは抜群に良いです。
裁断および縫製にみられる工夫
ストームクルーザーでは裁断および縫製のパターンに工夫が凝らされ、動きやすさを追求しつつ、同時に、縫製箇所を極限まで減らすことによって、動きやすい上に、高い防水性や軽量性や耐久性を実現しています。
独自のカットパターン「K-Monoカット」
レインウェアが出来上がるまでには、縫製という工程は避けて通れません。縫製することによって次のようなことが起こることが考えられます。
縫製により継ぎ合わされた生地は、ひとつながりの生地と比べると、縫製部分において強度が下がってしまいます。また、縫製により、生地に多数の針穴が開きます。この針穴からは雨水が侵入してきてしまうため、レインウェアに仕上げる過程で、縫い目に沿ってシームテープを貼り合せることで防水性能を回復させます。シームテープを貼り合せるのですから、その分重量は増えます。また、シームテープ部分は水を通しませんが、同時に湿気も通しません。シームテープを貼り合わせることで防水性能は回復する一方で、その部分の透湿性能は無くなってしまいます。また、長年使っているうちに、接着剤の劣化によってシームテープが剥離するということも起こります。そうなると、針穴から結局水が浸み込んで来る(防水性能が下がる)ということも起こってしまいます。
つまり、縫製することによって、生地の強度も、また透湿性能も、更には防水性能も下がってしまい、重量は増えてしまう訳です。
ですから、縫製箇所は少ないに越したことはありません。ストームクルーザーは、K-Monoカットという独自のカットパターンを採用することによって、縫製箇所を極限まで減らすように生地が裁断されています。ですから、耐久性や透湿性や防水性や軽量性を損なうことなく、動きやすさが高められているのです。
立体裁断(肘や膝部分)
肘や膝部分には立体裁断が取り入れられています。これも動きやすさを増す要因の一つになっています。
モンベル社製ゴアテックス採用の他のレインウェアとの比較
同じモンベル社から出ているゴアテックスが採用された他のレインウェアと比較してみました。
比較商品としては、先程と同じく、レインダンサーとトレントフライヤーを取り上げてみました。ストームクルーザーにはジャケットにはフード着脱式モデルも、パンツにはサイドフルオープンジッパーモデルもありますが、ここでは、比較商品と条件を揃えるために、どちらもそうでない物を取り上げてあります。
表中の透湿度と平均重量と定価の項目の括弧内は、比較商品のストームクルーザーと比べての差異を示します。
比較表
商品名 | ストームクルーザー | レインダンサー | トレントフライヤー |
特長、特性 | 優れた防水性、透湿性、軽量性、着心地の良さ等全てを備えた究極のレインウエア。 モンベル社がレインウェアの主軸に置いている商品。 | ややゆとりのあるシルエットのため、厚みのある中間着の上からも着用しやすい。 モンベル社製ゴアテックス採用レインウェアの中では最も低価格。 | スピードハイクやトレイルランニング等、運動量が多い場面を想定して作られた商品。 軽量化を追求。 |
生地 | ゴアテックス ファブリックス 3レイヤー 表地:20デニール・バリスティックナイロン・リップストップ | ゴアテックス ファブリックス 3レイヤー 表地:50デニール・ナイロン・リップストップ | ゴアテックス パックライトプラス ファブリクス 2レイヤー 表地:12デニール・バリスティック エアライトナイロン・リップストップ |
耐水圧 | 50,000 mm以上 | 50,000 mm以上 | 50,000 mm以上 |
透湿度 | 35,000 g/m2・24hr | 25,000 g/m2・24hr (-10,000 g/m2・24hr) | 44,000 g/m2・24hr (+ 9,000 g/m2・24hr) |
平均重量 | ジャケット:254 g パ ン ツ:195 g 合 計:449 g | ジャケット:335 g パ ン ツ:258 g 合 計:593 g(+144 g) | ジャケット:194 g パ ン ツ:162 g 合 計:356 g(-93 g) |
定価 | ジャケット:22,880 円 パ ン ツ:14,850 円 合 計:37,730 円 | ジャケット:18,480 円 パ ン ツ:12,650 円 合 計:31,130 円(-6,600 円) | ジャケット:25,080 円 パ ン ツ:15,950 円 合 計:41,030 円(+3,300 円) |
ストームクルーザーは優秀で有用な逸品
このように、ストームクルーザーは、モンベル社が主軸に置いて究極のレインウェアと位置付けている通りで、優れた機能や性能を備えており、あなたにピッタリの最適の商品です。嵐のような荒天でも乗り切れるほど優れ物のストームクルーザーをお供に従えて、どうぞ安全に安心に快適に山を楽しんで下さい。