夏に登山に行く際にはどのようなインナーを選べば良いかがわからずにお困りの人もいるのではないでしょうか。
インナーは、アンダーウェアともベースレイヤーとも呼ばれ、要は素肌に一番近い所に着る服だと思って構いません。
麓に近い所に居たり、急坂を上っている時は暑くて大量の汗をかくことでしょう。
その一方で、標高の高い所まで上ったり、じっとしていたりすると寒く感じるかもしれません。
他にも、強い日差しに照り付けられたり、強風にさらされたりするかもしれません。
そんな過酷な大自然の只中に出掛けても快適に過ごせる登山用インナーを今回は紹介いたします。
目次
夏の登山用インナーに求められる機能
例えば真冬の寒さが厳しい中で道路の片隅に陣取り交通量調査をしなければならないとしたら、ほとんど防寒だけを考えて服装を選べば良いかもしれません。
ですが、夏に登山をする場合は、暑さ、汗、紫外線、岩や植物で肌を擦る、冷え、風、雨等々の広く多様な状況に対処できる服装選びが必要になります。
インナーと言うからには、その外側にも服を着る想定ですから、服装全体でこれらの状況に対処できればそれで構いません。
その中には、インナーに必須の機能もあれば、外側に着る服が主に受け持つ機能もあれば、仮にこの機能を受け持たせるならばインナーが最適という位置付けの機能もあります。
それら、夏の登山用インナーに求められる機能には次のものが挙げられます。
- 吸汗速乾性
- 保温性
- 抗菌防臭性
- UVカット
吸汗速乾性(必須)
吸汗速乾性とは、発生した汗を素早く吸い上げ、なおかつ、吸い上げた汗を保持することなく外に素早く排出しドライな状態を保つ、これら二つを兼ね備えた機能のことです。
夏の登山で着るインナーでは、この吸汗速乾性が最優先で求められる機能です。
なぜならば、登山をする場合に限らず、夏は大量の汗をかきます。
しかも、登山で行く先は標高が高く、従って気温の低い所です。
気温の低い所で汗で濡れた服を着たままでいると、体に貼り付いて動きづらいだけでなく、必要以上に体温を奪われてとても危険です。
なので、この様な汗による悪影響を防ぐために、素肌に一番近い所に着るインナーには吸汗速乾性が必須なのです。
保温性(第二優先)
登山においては、インナーの最重要な役割は吸汗速乾性で、保温が必要な場合はインナーの外に着る服によって主に対処するのが一般的です。
ですが、インナーに吸汗速乾性があることを前提に、更に保温性もあるに越したことはありません。
例えば富士山の頂上付近は、夏の暑い盛りの時季でも朝晩の気温は10℃にも満たず、下界においては真冬の環境です。
ここまで極端じゃなくても標高がそれなりに高い所へ行く場合や、あなたが暑さよりも寒さに弱い人であるならば、吸汗速乾性に加えて、保温性も備わったインナーを選んだ方が得策かもしれません。
抗菌防臭性(高級機能)
汗による悪影響として、他にも、雑菌が繁殖して悪臭が発生することも考えられます。
仲間に不快感を与えたり自分自身が不快に感じたりしないためにも、インナーには抗菌防臭性が有ることが好ましいです。
先の吸汗速乾性が無いと命にかかわりかねませんが、この抗菌防臭性はそこまで重大な機能ではないかもしれません。
ですが、臭いを気にする人は選ぶ上での条件に入れても良いかもしれません。
UVカット(副次的機能)
インナーと言うからには、その外側にも何か服を着ているはずなので、その服がUVカットもしてくれます。
ですが、あまりにも暑くて、インナーを残して全て脱いで行動することが(下半身は無いとしても)上半身の場合はあるかもしれません。
そんな場合に備えて、インナーでもUVカットできる仕様の物を選ぶと良いかもしれません。
その際には、素材にUVカット加工が施されているかどうかを考えなくても、素肌が露出しない長袖のシャツを選ぶだけで効果が有ります。
夏の登山用インナーに適した(適さない)素材
ポリエステル = 速乾性重視
ポリエステルは夏の登山用インナーに適した素材です。
ポリエステルは吸汗速乾性に優れています。
また、値段も比較的安いです。
保温性は程々でも、吸汗速乾性を最優先するならば、ポリエステルがおすすめです。
メリノウール = 保温性重視
メリノウールは普通のウールのようなチクチク感が無く、肌触りが良く、インナーにも適した素材です。
メリノウールはポリエステル程の速乾性はありませんが、吸汗性も有り、保温性に優れていて、また、濡れても保温性を保ちます。
保温性も重視する場合はメリノウールがおすすめです。
メリノウールには温度調節機能があるため、保温性がある一方で、夏は涼しく過ごせます。
他にも抗菌防臭性があり、縮みにくいなど利点の多い優れ物の素材です。
ポリエステルとメリノウールの混紡素材もあり、これだとポリエステルの速乾性とメリノウールの保温性を兼ね備えています。
メリノウールの難点は値段が比較的高いことです。
木綿(綿、コットン) = 論外
インナーに限らず登山用の衣類全般に言えることとして、絶対に避けるべき素材は木綿(綿、コットン)です。
なぜならば、木綿には速乾性が無いからです。
濡れたままの服を着ていると、体に貼り付いて動きにくいだけでなく、過度に体温を奪われかねません。
そうなると、行動不能に陥ったり、最悪の場合は命を落としかねません。
なので、木綿(綿、コットン)素材は登山用インナーには適しません。
夏の登山用インナーの選び方
素材の選び方
こんな人にはポリエステルがおすすめ
夏の登山なら、インナーの素材の第一候補はポリエステルが良いでしょう。
汗かきの人や、速乾性を重視する人や、価格を重視する人には、ポリエステルがおすすめです。
他の素材のインナーを着る場合にも当てはまることですが、特にポリエステル製のインナーを着る場合は、保温が必要な時は外側に着る服で対処しましょう。
こんな人にはポリエステルとメリノウールの混紡素材がおすすめ
速乾性も保温性もどちらも求める人や、汗の臭いを気にする人には、ポリエステルとメリノウールの混紡素材がおすすめです。
メリノウールよりも速く乾き、ポリエステルよりも保温性が高い、良いとこどりの素材です。
こんな人にはメリノウールがおすすめ
冷え性の人や、寒さに弱い人や、夏以外の季節も登山に行く可能性がある人には、メリノウールがふんだんに使われた素材がおすすめです。
メリノウールが使われると値段が高くなりがちですが、着心地は良好です。
半袖か長袖か
結論から言うなら、夏の登山で着るインナーならば、半袖で十分だが長袖でも悪くはないです。
なぜならば、夏の登山用インナーに求められる最優先の機能は吸汗速乾性です。
そして、一般的に、腕や脚よりも、胸や背中や脇の下のような体幹の方が汗をたくさんかきます。
ですから、たくさん汗をかく体幹だけは、吸汗を目的として、インナーでカバーする必要があります。
私は、行動時は、基本的にはインナーの上にもう一枚、長袖シャツと長ズボンを着ます。
その目的は、上に着ているもう一枚によって日焼けや擦り傷などから肌を守ってもらうためです。
私と同じ様に、インナーの上に長袖シャツも着て行動する人は、インナーは半袖で十分です。
ですが、あまりにも暑いため、上半身はインナーだけを着て行動するという選択をする人もいるかもしれません。
その様な可能性がある人にとっては、汗の処理だけでなく、肌の保護もインナーが受け持つ必要が生じます。
行動時にインナーしか着ない可能性もある人には長袖のシャツをおすすめします。
大きさはジャストフィットがおすすめ
大きさは、ゆる過ぎず、きつ過ぎず、ジャストフィットする物がおすすめです。
なぜならば、インナーの最優先の機能は吸汗速乾性ですが、ゆる過ぎると、インナーが体に接していない部分ができてその部分の汗が吸い取られないので、インナーとして用を為しません。
逆に、きつ過ぎると、体が締め付けられて動きづらくなります。
なので、ジャストフィットする物がおすすめです。
おすすめ3選
モンベル:ジオライン L.W. Tシャツ
吸汗速乾性に優れたポリエステル(100%)の製品をご希望の方にはこちらがおすすめです。
激しく汗をかく夏の登山にも適しています。
制菌加工も施されています。
男性用:ジオライン L.W. Tシャツ Men’s
女性用:ジオライン L.W. UネックTシャツ Women’s
ファイントラック:メリノスピンライトロングスリーブ
吸汗速乾性に優れたポリエステル(63%)と保温性に優れたメリノウール(37%)の混紡素材をご希望の方にはこちらがおすすめです。
蒸れにくく、また、消臭効果が長持ちします。
男性用:
女性用:
スマートウール:メリノ150ベースレイヤーロングスリーブ
保温性を優先したい人には、メリノウール(87%)がメイン素材に(残りはナイロン13%)使われているこちらの製品がおすすめです。
登山だけでなく日常にも使うことができます。
男性用:Men’s メリノ150ベースレイヤーロングスリーブ
女性用:Women’s メリノ150ベースレイヤーロングスリーブ
高機能高性能のインナーで安全快適な登山を
夏の登山では、暑さや汗や冷えなどから身体を守るために、インナーはとても重要な道具です。
あなたの体質や目的に合ったインナーを着て、安全に快適に山を楽しんで下さい。